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第1章 1回 普段の朝

「また、寝ていらっしゃったのですか?いつも申し上げておりますが、評定の前は、昼寝をなさらないで下さい。彼らも今や城主。暇人な殿とは違うのです。」


「わかってるよ。そんな怒るなよ。」


俺は、いつものように家平に説教を受けながら、大広間へ向かうために廊下を奥へと進んでいった。しゃべり声が聞こえてきた。俺が襖を開けると皆の顔がこちらを向いた。俺が、昼寝をしていたことなど長年の付き合いでお見通しのようだ。俺の城の大広間には、上座も下座も存在しない。家臣たちと円になり、内政や戦に関して話しているのだ。俺は、いつもの場所に座るとこう続けた。


「さあ、評定を始めよう。」

・・・、バタン!!


「痛い…。またこの夢か…、何なんだろう。祖父ちゃんの家紋に似てる気がするんだけど。」


ここ最近の同じような夢ばかり見る。雰囲気的に戦国時代のような気がするんだけど、見たことないんだよな。あんな奴…。俺は、打ち付けた肘を摩りながらリビングへと階段を降りて行った。キッチンで洗い物をしていた母さんが俺を見て驚いたように声を上げた。


「あら、また自分で起きてきたの?まだ、7時前だってのに、最近ずいぶんと早起きね。」


「ん…。まあね、父さんと美雪は?」


「二人とも出かけたわよ。ごはん用意するから歯磨きして、顔洗ってきな。」


「へーい。」


俺は、大神竜也。家は、別段金持ちって訳じゃないが、中の上って所かな。俺の住んでるところが、高級住宅街のせいで友達からも金持ち扱いを受ける。この点はもう仕方ないと諦めている。


なにせ、俺の家族は、日本バスケット界のスターばかりだ。


母さんは元日本女子バスケットで活躍していたらしい。よく幼いころに若いころの映像を見せられたものだ。日本代表も代表監督も経験した有名人らしい。


父さんは、NBAで10年プレーしていた名選手で、現在は、日本のプロチームのキャプテン兼メインスポンサーの社長を務めている。


俺の妹の美雪は、今年から俺と同じ高校の一年だが、中学総体で二年連続優勝したチームでキャプテンを務めていた。今も、一年生でありながら、レギュラーとして活躍している。日本女子バスケットの未来のエースとしても注目を集めている。


俺?俺に絶対的な才能なんてなかった。バスケも中の上くらいの実力はあるし、両親の強い要望から始めたミニバスだって頑張って県大会までは進んだけど、レギュラーすらとれなかった。中学に上がるまえの春休みに父方の祖父ちゃんに会いに行ったときに見た甲冑に見とれ、歴史が好きになってその影響で剣道を始めた。天下無双の本田忠勝に憧れた俺は、必死になって練習に取り組んで、中学2年から全国大会に出れるまでに成長した。昨年、今の俺は、高2なのだが、1年の時に全国大会で初優勝を飾った。祖父ちゃんから記念に家宝の脇差をもらった。大神家は、東北の戦国武将斯波家の筆頭だったそうだ。


「竜くん?直樹君来てるわよ」


「はいはい。じゃ、行ってくるよ。今日も部活で帰り遅くなるから。」


「行ってらっしゃい。」


俺は、いつものように家を出た。直樹とのこれからする会話が、日常を大きく変えるとは、露にもこの時の俺は、思っていなかった。

皆様、お久しぶりです。Youtube等で信長の野望の実況動画を見ているので、夢も変化したようです。今回の作品には、いつもの私の作品と比べて、特殊能力や人外スキルも存在しません。無敵キャラでもないです。もちろん、戦国の世なので、魔法なんてもってのほかです。温かい目でご覧ください。

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