水底
少しずつ、少しずつ…手探りで潜り込む。
そして、深く、深くいつの間にかはまり込んでいった恋。
手が届くと思ったのに、微かに触れて傷付いた。
広がる鮮血。
早く水面に上がらなきゃ…
もがくけれど…
夢中だったからこんなに深く沈み込んでいたなんて気付かなかった…
苦しい…
もがけばもがくほど苦しくなる…
更に沈み込む…
暗くて冷たい…
このまま、消えてしまおうか…
傷口、更にえぐって。
流しきった頃、きっと眠るように消えてしまえる。
好きなんだもの…忘れられない…
偽れない…これが私…今の想い…
たとえ報われなくても…
力を抜いた時、ふっと身体が軽くなった。
広がった鮮血も時の中に溶け込む。
傷口の痛みが和らぐような気がした。
このままで?
苦しいよ?だけど…
この方が確実に水面に近付ける…ゆっくりだけども。
またあのキラキラした水面で恋を見つけられる…
それまでは…この切ない恋に身を沈めたまま、この水底をたゆたう。
そう、それしかできない自分がいる。
だから、このまま…切ないままで…