0.5話~死と葬儀~
『葬儀』とは、人の死を弔う為の儀式であり、人生の集大成ともいえる場でもある。
古来より人は死というモノを恐れ敬い、死という不定形の概念に意味を見出そうとしてきた。
その最たる例が信仰であり、宗教の根源にあるモノでもある。
勿論、成り立ちや地域性によって死というモノの捉え方は様々だが、
日常とは切り離された『葬儀』という儀式の中で死を扱い、己の日常から死の恐怖を遠ざけようとしてきた。
時代の流れと共に形を変え、時に形骸化してきてはいるものの、人が本能的に死を恐れる以上、『葬儀』というモノ自体がなくなる事は無いだろう。
多くの人が集まる葬儀……
ひっそりと行われる葬儀……
和やかな葬儀……
剣呑な雰囲気の葬儀……
エゴと見栄に塗れた葬儀……
想いに溢れた温かな葬儀……
人の人生が千差万別な様に、葬儀もまた千差万別だ。
生老病死。人は産まれた瞬間から老い、生きる上で病み、そして死ぬ……
死とは産まれながらにして決められた終着点であり、この世で唯一の平等だ。
人種、性別、貧富、思想……人それぞれ、様々ある生き方に関係無く、死というモノは全ての者に等しく与えられる。
恐れ、悲しみ、不安……そんな死に対する様々な想いを形にしたのが葬儀であり、形の無い死という概念を葬儀という形あるモノに創造するのが『葬儀屋』である。
これより語られるは、怠惰な葬儀屋と無口な少女の織り成す、ちょっと不思議な生と死の物語……