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第一話

俺の名前は相楽祐一。県内の高校に今年の春からいきはじめた高校生だ。

部活は、この競技カッコいいと部活動紹介の時に思い勢いで入部した。県内では昔から強く県ベスト4には常に入るような部活だった。入部して一週間ぐらいしてからわかったことだった。

夏の高校総体、三年の先輩達はインターハイに行った。場所が地元だったので俺も競技の補助員として大会に参加することになった。

大会は順調に進み、残すは今日の午後と明日の決勝となっていた。

「なあ、可愛い女子おったかー?やっぱりインハイだから他県からいっぱい女子が集まってくるし、その女子もレベルが高い!ナンパでもしたいくらいだわ!」

俺にそう話してくるのは同期の薄井将大。俺と同じ日に入部して一気に仲良くなった。

しかし、場所が受付である。いくら競技中で人が少ないとはいえ、こんな話をしてていいものなのか。

「やっぱり関東勢はレベル高いよな!俺ら田舎じゃ全然違うわ!」

と聞いてもいないのに一方的に話しかけてくる。今日の日程も終盤に差し掛かったとき一人の女子がかけよってくる。

「あの、今って何試合目ですか?」

受付を今日始まってからしていたので競技の進行状況は把握していなかった。

「確認してきますね。」

と薄井が席を立ち会場へと行った。行ったはいいがこのなんとも言えぬ沈黙がつらい。彼女もそう思っているのだろう。さっきから何回か目があってはそらされるという繰り返しだ。そんなこんなしている内に薄井が帰ってきた。

「今男子の決勝トーナメント第3試合目ですね。今日はどこかの高校の応援にきたんですか?」

薄井はさっきの雰囲気を察したのか話題を降ってくれた。

「女子の先輩の応援に来たんです。予選に通っていれば今日の試合にでてると思うんですけど」

そう言ってたので俺は近くにある結果掲示板を教えた。

ありがとうございますと言って彼女はそこの掲示板にかけよった。彼女の顔からは安堵の表情が見え、先輩達は予選突破したんだなと理解できた。

「しかし、あの制服どこだろうな。少なくとも県内ではないな。県内で出場の2校だけだし、その2校の制服も知っている。ということは同じ九州県内で間違いないということは確かだ。」

と薄井が自信ありげに解説を始めた。

「まあわざわざ県外から来てるってことは、よほど先輩が好きなんだろうな。」

「まああの感じじゃ二年生って感じかな。あいにく俺は歳上は苦手なもんでね。」

と聞いてもいないことをペラペラとしゃべり始める。まあ、話すのは苦手だし聞くのは好きなのでこっちとしてはありがたい。

そんな談笑を続けている内に今日の日程は終わった。

片付けなどを終わらせ、解散となった。先輩達は予選敗退となったが補助員の仕事は明日まであるのでまた明日もこなければならない。先輩達が出ない試合の補助員をしてなんの意味があると思ったが行かなければいけないものは行かなければいけない。そんなだるい気持ちを胸に押さえながら会場をでて最寄りの駅に向かった。薄井や他の人は会場からチャリで行ける距離だったので現地解散となった。話す相手もおらず、次の電車まで40分待たなければならなかった。

本屋でも行くかと思ったとき、駅周辺の案内図を凝視している女子を見かけた。よくみると今日会場に来ていた彼女だった。困っているらしく、なんども周りの景色と案内図を確認していた。暇だったので

「ホテルか駅か探しているんですか?よかったら力になりますけど」

と声をかけると、すごい気持ち悪そうなまるでおっさんに話かけられたような顔をしていた。三秒くらい静止していると、

「ああ!受付の人ですか!」

と誤解がとけたようだ。ホテルを探していたようなのでホテルの場所を教えてあげると

「一人で県外まできてホテルとってたんですけど、案内図にのっていなくておまけにスマホの充電は切れてたのですごい助かりました。ありがとうございます。」

「今回は先輩の応援にきたんですか?」

案内をしただけじゃおもしろくないので話かけてみた

「はい!やっぱり二、三年生の先輩方はすごく綺麗で来ようと思ったんです!それに全国レベルの試合もみれるので!」

「一年生?一年生だったら一緒だね。」

同じ学年かもしれないという親近感が湧いた。

「一緒なの?もしかして君もこの競技してるの?」

「してなかったら補助員として参加してないだろ」

「そうなんだ、私一般生徒が補助員して部活動生は応援してるかと思ってた。」

「そっちのほうが応援できるからいんだけどね」

そんな話をしている内に電車の時刻がきた。彼女もバスの時間があるらしく、ここで解散となった。

「私、松ノ浜千瀬っていうの」

「俺は、相楽祐一」

じゃあまた明日会えたらね、とお互いに軽く手を降りながら別れた。

まさか、彼女との出会いがこれからの人生を大きく変えることになるとは思ってもいなかった。


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