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変化した生活 3

**


 三人で食事を取りたわいもない話しをしていた。エドモンドは絵の構造に迷って結局今日一日は悩んで過ごしただけだと言った。そんな話を茉莉花は笑いながら聞いていた。その矢先ベルナルトが口を開き、茉莉花とエドモンドはベルナルトに注目を注いだのだった。


 「そろそろ、新婚旅行をしようと思う」


 エドモンドは楽しそうに笑い、茉莉花はキョトンとした。


 「いいね! もう結婚して結構経つんでしょ? いいじゃん行ってきなよ?」

 「新婚旅行?」

 「なんだ茉莉花。新婚旅行が分からないのか?」


 ベルナルトは小ばかにしたように鼻で笑った。


 「夫婦が初めてする旅行だ」

 「そういうことじゃなくて! 急ですね?」

 「私とは行きたくないのか?」


 茉莉花は苦い顔をし俯いた。


 (うっ……。そうかベルナルトさんと二人きりになるんだ……。前程この人と居るのは嫌じゃないけど……)


 ちらりとベルナルトを盗み見た茉莉花は顔を少し赤くした。


 「ベル、そうじゃないだろう? ほらちゃんとジャスミンに、私と一緒に行ってください、ジャスミンと一緒に行きたいんですぅ! ってお願いしなきゃ」


 エドモンドは悪戯っぽくベルナルトにそう言った。ベルナルトは小さく舌打ちをした。


 「茉莉花、拒否権はないぞ? だが後悔はさせない。君の願い通りにしてやろう。行きたい場所も食べたいものも何でも好きに言うといい」

 「うぅ」

 「ベルは本当にもう……。行先は? もう決めてるの?」

 「イタリアに行こうと思っている。あそこなら近年観光も盛んだし、東洋人にもツアーが組まれていて人気だそうだ」

 「じゃあ、安心だね?」

 「ああ」


 茉莉花はベルナルトのイタリアという発言にピクリと耳を動かしていた。イタリアには行きたかったのだ。何度も見返した映画のワンシーンを思い返し、その場所に立ってみたいのだ。


 「イタリア……」


 目を輝かせ茉莉花は呟いた。


 「違うところの方がいいか?」


 少し自信なさげにベルナルトは茉莉花に問うた。


 「イ、イタリア行きたい!!」

 「なら決まりだ」


 ふっと安心したようにベルナルトは微笑んでいた。茉莉花も先ほどまでの不安を忘れ、心はすっかりイタリアに行く事でいっぱいになっていた。


 (わぁ! どうしよう! イタリアに行けるなんて! 絶対ジェラートとピザは食べないとね! あと、ジュリエットの家とか行ってみたいなぁ。ベルナルトさんは興味ないかな?)


 「楽しそうだで何よりだ。明日参考までにガイドブックを買ってこよう」

 「うん!」


 茉莉花は満面の笑みで答えていた。


 「いつから行くの?」


 エドモンドが小首を傾げ茉莉花とベルナルトの間に入った。


 「そうだな。仕事の予定もあるし……。一か月後くらい先になりそうだな。茉莉花その間少し待っていてくれ」

 「一か月後にはイタリアに居るんですね! 楽しみ!」

 「じゃあ俺もそれまでに絵を描き上げるとしよう」

 「……そうだな」

 「今、それまで居るのかよ、って思っただろ!?」

 「ああ」

 「芸術には時間が掛かるんだよ。分かってないなぁベルは」

 「いいように言って滞在しようとしているだけだろ」


 ベルナルトは呆れた様に溜め息を吐きエドモンドから視線を外した。エドモンドはわざとらしく拗ねた子どものように頬を膨らませていた。茉莉花はそんな二人を気にも留めず、一人イタリアに思いを馳せていた。



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