世界で一番大嫌いなあなたへ (原題:もうあなたを)
もう貴方を愛してないなんて
私は貴方に、そう告げる。
それは唯の事実であって。
それは唯の本音であって。
だから、この頬に流れるナニカは
きっと気のせいで。
貴方の不倫を知ってしまったのは本当に偶然で。
でも仕方ないって思う私もいて。
それはやっぱり子供が出来ない私が悪いんだって。
子供好きな貴方に、それはとても残酷なことだって。
だけど、私は貴方を手放せなかった。
こんなにも愛しているから。
子供なんて、いつか生まれるって信じていたから。
それまでの辛抱だって。
そう、貴方をこんなにも、愛しているから。
だから私は、貴方と別れることを決めた。
私が別れを決めたのは、些細、なことで。
それは、とても、よく、あること、で。
…私は子供ができない体だって、分かっちゃったから。
だから、私は、貴方を縛っちゃいけない。
だから、私は貴方から離れよう。
喜んで、じゃないけれど。
胸の痛みなんて、とっくに我慢できないレベルだけど。
…本当に好きになった貴方には、幸せな家庭を持って欲しかったから。
それは私には実現できない願いだから。
だけどね、そんな事実は貴方には伝えてあげないの。
…でも、今でもまだ、貴方に捨てられるのが怖いから。
淡い思い出の最後を、貴方に振られる姿で残したくなかったから。
だから、私は貴方を振るの。
「もう貴方を愛してないから」
頬を流れるナニカを無視して、
私は貴方をこっぴどく振ってしまおう。
愛していたけど、これでさよなら。
貴方に出会えて、本当に良かった。
貴方に出会ってしまって、本当に、最悪、だった。