いつもごめんね。ありがとう (原題:その青い背中が)
その青い背中が、
昔と比べて小さくなったのは
それはやっぱり私のせいなんだろう。
そのかっこよかった顔が、
昔と比べて年老いて見えるのは、
それはやっぱり私のせいなんだろう。
私が無理を言わなければ。
私が貴方を好きになれなければ。
こんなことにはならなかった?
確かに
私たちは結婚するべきではなかった、のかもしれない。
別に、いけない恋をしたのではなかった。
不倫でもないし、兄妹での恋とかそういうこともなくて。
禁忌の恋なんて言ったものじゃなかった。
そう、普通の恋。
ただ。
二人はまだ大学生で。
就職したわけでもないのに、お互いしか見えてなくて。
だから、子供ができた時、夢から覚めたってだけで。
ただ、現実を知ったっていうだけで。
何も考えてない『早熟な』愛。
収入も、地位も金もなかったのに。
世間なんて見えなくて。だから今、こんなにも戸惑って。
堕せるわけないじゃない。
こんなにも愛しい貴方との子。
それに、子供に罪はない。
悪かったのは全て、私だから。
だけど、貴方は私と子供の苦労を背負って。
働いて働いて。
ただ働いて。働いて。働いて。
働き詰めの、よれよれの青いスーツをしながら
堪えきれずにうたた寝をしている貴方。
昨日も遅くまで、睡眠時間を削りながら
仕事をしていたあなた。
その青い背中が、
昔と比べて小さくなったのは
それはやっぱり私のせいなんだろう。
そんな、そんな貴方の
小さくなったその背中に掛ける言葉は
いつも負担をかけてごめん。
家族のためにありがとう。
貴方の事を愛してる。
今はただ貴方を支えているから。
支えることしか、できないから。