はち
翌日。
僕は高校生活二日目を過ごす。
今日はキタムラレイと話す機会はなく、なんだか寂しく感じた。
寂しく感じること事態が不思議だ。
まぁ友達ってそんなものなのかな。
放課後、当たり前のようにトウタと帰る。
すると前から女子高生がこちらに指を指しながら走ってきた。
元クラスメート。
僕は嫌な汗が出てくるのを感じた。
「トウタじゃーん久しぶり、、、あっ、ワカイくんも久しぶり、、、」
「よぉ。まだ1ヶ月も経ってねぇけどな。」
トウタは応える。
僕は会釈をするだけ。
そこから二人は話し込む。
だから僕は。
「用事があるから」
なんて嘘をついて帰る。
なのに、
「はぁ?今日はお前ん家に遊びに行く約束じゃねぇか。」
と、トウタの空気読めない最低の言葉が聞こえた。
まて、、、
実際、腹立つ。
「考えろよ!僕は空気を読んだの!今、空気担当だったけど空気を読んだの!僕がいたら気まずくなるだろ!わかれよ!」
普通に怒った。
「え?」
「逆に、え?」
「は?」
「いや、言葉を変えれば応えてくれるシステムじゃないし!」
「わけわかんねーよ」
「えっー!?何?トウタの頭ん中って何が入ってんの?中学の時の僕の存在考えろよ、エアー担当をしたいのに、いるだけで邪魔な奴だぜ?」
「そんなこと無かったよ」
「無理しなくていいんだよ。」
ごめんなさい。実際君の名前覚えてない。
「なるほど。でも今、お前モテてるから良いじゃんか。」
「いや、なんでトウタそんなにカッコいいんだよ。過去をすぐ忘れられるんだよ!?いや、つーかトウタは僕の気持ちわかるはずないだろ?まず、僕モテてないし。」
「確かにワカイくん顔だけは良いもんね。」
「だけはって何!?一番傷ついたよその言葉!酷い、酷すぎるよ。一人なら声出しながら泣いてるよ普通!」
かわいいだけって言われて神になった女の子もいるんだから!
噛み付かれて、髪切られて、紙食べて、神憑かれた女の子がいるんだから!
本だけど。
「ワカイくんって意外に話すんだね。」
「え?いや、、、まぁ」
ラノベのお陰で口は達者だ。
「俺のお陰かな、、、(照)」
「気持ち悪いし、トウタのお陰じゃないし。」
「いや、そんな真顔で言うなよ。傷付くだろう?」
帰ろう。
本気で思った。
「ごめんなさい!ワカイくんのこと私勘違いしてたよ!」
勘違い?
「は?」
「面白い人だね。ワカイくんって。三年間同じクラスなのに会話したことなかったから。」
三年間。
ヤバイな。
そんな彼女の名前を覚えていないなんて僕は、、、
最低だ。
「勝手なイメージでうまく話せなくって、、、私って最低よね。」
あぁ。僕の罪悪感が、、、
「本当私ってば最低!」
「いーや構わないよ!僕も声をかけなかったのが悪かったんだよ!ね、ねぇトウタ?」
「なんかへんな汗出てるけど大丈夫か?」
うるせえよトウタ!
「本当にどうしたの?」
「いやいや何でもないよ。」
「体調悪そう。」
「あぁ、そっかやっぱりお肉傷んでたんだ!だからちょっと味が!」
嘘だけどね。
「そ、そうなんだ、、、」
「料理って大変だな、ばあちゃんがいて良かったぜ」
「うん。羨ましいよ」
「そっかワカイくんって一人暮らしだったね」
「うん」
一人暮らしというより独り暮らしのほうが合うのかな、、、
「ワカイくん、、、私、、、今からでも友達になってくれるかな?」
え?、、、
「は、はい!ワカイサクラです。15歳、最近の趣味はギターです。」
?を頭に浮かべる彼女。
「と、友達になるんだから一番最初に自己紹介しなきゃと思って」
「あっ。そうだね。サカミココロです。最近の趣味は、、、携帯かな?」
その後、メールアドレスを交換した。
現在の青春ポイ、、、アドレス帳3件。
トウタとキタムラレイとサカミココロ
実際携帯はね、、、買うつもり無かったんだけど。
買っていて良かったかも知れない。
あぁ。因みにキタムラレイの携帯には15件ほど登録されている。
チャラい男子をも全て受け入れるキタムラレイは一日にしてそれくらい手に入れたらしい。
キタムラレイは容易く友達が出来る容姿と性格をもっていると思うんだ。
しかし、それを妬む者も、、、
キタムラレイは全然気付いてないみたいだけど、、、
「んじゃまた」
「バイバイ」
こ、こはナチュラルにいこう
「まちゃね」
、、、
、、
「、、、」
「僕をいっそのこと殺してくてください。」
「あははははは」
「ははは、、、」
和んだ。
僕は社会的に死なずに済んだみたいだ。
さて、帰ろう。
話込んでしまったらしく、夕陽が沈みかけていた。
「今日、来るの?」
トウタに聞く。
「まぁ、行く。」
ゲームに対する想いが強すぎんぞコイツ。と軽いジョークを交え川辺を歩いていると、一人、土手に座っている女子がいた。
明らかにキタムラレイだった。
「キタムラさーん」
と叫んだのは
僕ではない。
隣のトウタ。である
キタムラレイはこちらを見て立ち、会釈して
バランスを崩し転けた。
転げ落ちた。
足腰弱っ
昨日の話聞く分には当たり前だろうけど
僕は全力で走る。
実際トウタと僕はそんなに足の速さは変わらないのに僕の方が数秒速かった。
手を抜きやがって薄情な奴め。
と一瞬思ったがトウタはそんな人間ではない。
僕以上に息を切らして走っていた。
「大丈夫?」
「痛たたです。」
萌えた。
「ケガは?」
「ちょっとだけ、、、」
「み、、、」
「見せて!」
トウタが割り込んできた。
心配なのか、萌えただけなのかわからないんだけど、、、
「うっ、、、」
膝には予想以上のケガをしていた。
まぁ擦り傷だから安心だけど。
「僕ん家来なよ。」
当然のように言った。
「ナンパしてんの?」
高い声でそう言ってきたトウタを殴った。
「いいんですか?」
「もちろん。昨日のこともあるしね」
「昨日?」
トウタが不思議そうに言う。
「まぁ、後で話すよ。さぁキタムラさん立って。」
なんて僕はバカなのだろう。
こんなケガでも10年間寝ていた彼女には多きなケガ、そして、病気がある彼女には「恐怖」なのだ。
「た、立ち上がれません、、、」
その一言に僕は多少気付かされ、
「乗りなよ。」
おんぶのポーズをした。
戸惑うキタムラレイをトウタが促し、乗った。
背中に柔らかい感触を感じ、僕はちょっと戸惑った。
胸当たってますけど。
「俺がしたかったな」
トウタが言う。
僕の表情で気付いたらしい。
背中のキタムラレイは?を浮かべていることだろう。
兎に角、そうして、僕の家を目指した。