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僕はよく友達というものを知らない。
いや、知っているのだけれど
それはあくまでも小説の中。
言葉の中。
頭の中。
だけなのだ。
トウタは友人が沢山いたが僕と接する時は対応が違う。
それが裏か表か。
考えたらなんか寂しくなりそうなので考えないようにしてる。
これだろう阿良々木くんが言っていたのは。
人間強度が下がっている。
孤独感を無くせる変わりに恐怖感を得る。
等価交換なんだ。
だから、僕があの瞬間に「もちろん」と言った時点でいろんな覚悟と戦わないといけなくなったのだ。
これから一生を掛けて、駆けて、賭けて、翔て。
こんな話してるんだけど、、、
混乱してます。
いやぁ、、、なんでことになってしまったのかなぁ
「ここが我が家です!」
「いやいや、、、なんで友達になって即日、そしてずぶ濡れの状態で家に招待!?」
初めて女の子の家。
けど、、、ここは僕らと同じ小、中学の圏内じゃ?
まぁ、この家の大きさから私立のお嬢様学校に行ったかも知れないってのは容易に考えつく。
「ただいま。」
「ぼ、僕やっぱり帰るよ」
「な、なんでですか!?」
「出会って一日の男の子家に呼ばないよ普通。」
「そうですかね、、、?」
首を傾げ全然解らないという表情を浮かべるキタムラレイ。
僕もよく解らないのだけれど、、、
現実ではそうじゃないのかな?
「ラノベでは普通によんでましたけど?」
「ラノベと現実世界は違うよ。」
この瞬間に気まずい空気が流れた。
二人の間に切り裂きたい空間が出来た。
それは何かを言うだけで切り裂けたはず、だけれど切り裂いたのは僕でも、彼女でも、はたまたそういう「必要」な言葉でもなく
「お帰りなさい!あら?彼氏?友達?まぁいらっしゃい」
と泣き出す彼女の母親の言葉だった。
「ちょ、お母さん、、、なんでいきなり泣き出すのよ?」
「だってレイちゃんが、、、き、今日は赤飯ね。あなたお名前は?」
「あっ、、、えっとワカイサクラです。」
「サクラくん!よろしくね!」
無理矢理握手された。
40後半くらいか。妥当だろう。
「おとーさん、レイちゃんが彼氏連れて帰ってきたわよ!」
「違うよ!友達だよ!友達!」
僕無言。
顔が真っ赤だったことは間違いないだろう。
「んで、なんであなたたちずぶ濡れなの?」
急に冷淡に問い質してきた。
恥ずかしそうにキタムラレイは経緯を話した。
「あら、そう。ならレイは上のに入ってきなさい。」
「サクラくんはこっち」
誘われるままについていく。
デカイ風呂だなぁ。
、、、ってことはこの家庭は風呂が二つあるのか、、、?
なんていう金持ち家庭なんだ。
気取ったところが無いのは何故だろう。
演技、、、
まぁそこは気にしないでおこう
悲しくなるから。
シャワーを浴びていると扉の向こうから
「下着は乾いたんだけど、制服が乾かなかったからお父さんの服置いて置くわね」
という声が聞こえてきた。
「あっありがとうございます。」
「後ね、、、もうひとつだけ、、、」
「はい?」
「多分、レイ、あなたに、きっと凄いことを、言う、だろうけど、出来れば、出来ればでいいの、離れないであげて」
出来れば離れないであげて。しかうまく聞こえなかったけれど
大体、この重い空気で理解できた。
「はい。」
一応そんな風に返して置くべきだと思った。
シャワーをあがり、置いてあった浴衣を着、、、
浴衣!?
まさかの浴衣!?
えっ何?おとうさん、野比のび助ですか!?
テンパり過ぎてよく解らないツッコミをしてしまった!
一応、着て廊下にでる。
「ワカイくん!こっちです!」
「う、うん。」
「制服が乾くまで待ってくださいね」
笑顔で案内された彼女の部屋。
それは。
ピンク基調で
いい匂いがして
凄くきれいで
クマやパンダのぬいぐるみが置いてあって
本の並びとかあいうえお順にしてあって
あー兎に角もう!凄く可愛い!
ヤバい。
これが女の子部屋なのかっ!?
一瞬天国かと思ったぜ。
っていう理想をぶち壊しにしてくれる
えっ?今まで埃一つ落ちてなかったのにどうした?
どこでもドアで飛ばされた?
ってくらいに散らかってた。
いや荒らされてた。
ウルリケ・オッティンガー監督の映画のようにフリークスたちが奇怪なことをしたみたいだ
「どこの神原駿河の部屋だよ。」
小さく呟いた。
「そ、そんなに酷いですか?」
聞こえてた。
「おい神原。」
「いえ、キタムラです。」
「僕に掃除する時間をくれ。」
「えぇー!?」
「じゃせめて他の部屋にチェンジで。」
「えぇー!?」
こんなに広い家でもかよ。
とツッコミをいれるどころかシャウトしたくなる。
僕もキャラクターチェンジが激しいなぁ。
「座るとこないじゃん。つーかこの本共、BLじゃないよね?」
なんか全部にブックカバーついてるけど。
「ち、違いますよ!」
「ふむふむ」
手にとり中をみてみる。
あぁ。思考も嗜好も同じだ。
「これ持ってる。」
きっとキタムラレイの母親が言っていたのはこのことだろう。
普通ならひくもんなぁ。
僕も身をもって経験してる
「あのさ。僕もこういう趣味あるから、大丈夫だけど、他の人にあんまり教えないほうがいいよ。」
「そうですね。」
「ってことで片付けようよ」
「あ、あの、、、あと一つ。」
この、あと一つ。は大きな大きな一つだった。