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よん+10

わいわいとクラスが盛り上がっている。



僕はこの状況が理解出来ない。



何故だろう?



昨日まで大して仲良くなかった人々が話をしている。



「おっすサク!」



やっとトウタが来た。



「おはよう。というかこの状況何!?」



「おー、、、知りたがりなサクくん。」



意味がわからない。



「おはよう。というかこの状況何?」



「今の一連の流れをなかったことにしようとするな。まぁ斯々然々で、、、」



「なるほどアニメ好きが多かったり、優しい人間ばかりだからか!」



「いや、なんで斯々然々で伝わったんだよ!?」



推理を話してみたのだけれど意外に合っているらしい。



今日のトウタはボケが激しい。



しかもツルツルのボケだ。



スベリ散らしている。



、、、別に僕は、僕がこのクラスで空気担当になってしまうことにはあまり感心がない、、、なんて言えば嘘だけれど、一番心配だったのはキタムラレイのことで、トウタのボケにかまっている余裕なんてなかった。



「キタムラさんはどうなったの?」



トウタに恐る恐る聞いてみたら



「あー、、、まぁ、、、お前は悪く無いよ、、、」



と意味深に深く沈んだ顔でそう言った



胸がきゅーっと苦しくなる。



可哀想。



こんな言葉では表すことの出来ない気持ち



今までこんな気持ちがあっただろうか?



なかった気がする



そう、、、



そうか、、、



自分より不幸な人間なんていないとどこかで思っていたんだ。



世界で一番不幸だって思っていた。



だから、わかったような口調で慈悲をかけて話しかけてくる人間に対して心を、、、自然に、、、いつの間にか、、、閉ざして、、、



そうか、、、



キタムラレイ、、、



彼女の泣き顔を思い出す。



僕はなんで昨日帰ってしまったんだろう。



電話をしなかったんだろう。



誰よりも一番傷付いているのは彼女だろう?



いい加減不幸ぶるのはやめろよ、、、



そう、、、そうだろ?



僕は幸せだ。



「トウタ、、、僕キタムラさんに会いに行く!」



「やめとけ」



「なんで!?」



「いいから、、、」



落ち着いた口調のトウタに怒りを感じる



「でも、、、」



「でもじゃねぇんだよ!」



トウタが叫んだ



「だって僕の所為だろ?」



怯むことなく僕は一矢報いるように言う



「あー、、、そうだよ。なんでお前は俺にキタムラさんのことを言わなかった?あぁ?全部お前の所為で彼女は、、、」



話してる最中、一人の男子生徒が



「並べ!」



と叫んだ



と同時に男子が二列に並んだ。



なんか花道的なものを作って、、、



「おはようございます!」



息をあわせて男子が大きな声で言う



その花道をキタムラレイは一人一人にペコペコしながら歩いていた



「お前の所為だろ!あんなキタムラさんがみんなのアイドルになったのは」



笑いを堪えられず吹き出したトウタ



???



「、、、?」



「彼女は優しい。お前が言った言葉だろう?そんな人を嫌うなんてあり得ない。寧ろ萌える。」



「、、、」



キタムラレイは顔が真っ赤。



そりゃ恥ずかしいだろうね



あぁ、、、よかった。



「おはようございます!サクラくん!」



たったと僕の机の前に駆けてきた彼女は緊張しているようだ。



「うん、おはよう。」



僕は自然を装いながら返す。



「ありがとうございました」



「何が?僕は別に何もしてないよ。」



「かっこつけんなって。」



トウタに頭を小突かれた



「うるさいなぁ、、、」



「本当にありがとうございました!」



「いやだから別に僕は、、、」



彼女は相当頑固なのかもしれない



「頭を上げてよキタムラさん。」



僕は耐えきれず言った。



「、、、」



「無視ですかっ!?」



「サク、、、言うべき言葉があるだろう」



「ど、どういたしまして?」



「サクラくん、、、私、、、高校生になれて、、、君に、、、このクラスのみんなに出逢えて本当に幸せでした。」



「何!?もう一年終わった感じ?」



という突っ込みたい衝動を抑えて、



「僕もだよ」



この日



僕は不幸ぶった自分が嫌いになった。



僕はいつも誰かの所為にしていた。



それは間違いだった。



そうか



中学時代の自分



結局僕の所為だ。



あの事があってもなくても自分は誰かと絡むのはしなかったろうし、、、



あー、、、



「でたでたこいつの悩んでる顔。最高潮に悩んでるぞ」



「わ、私のことでですか?」



「ウチに彼氏がいるって知ったからよ」



「イイヌマくんのこと?」



それぞれが口にする



「なんか一人だけおかしい!」



「レイちゃん、、、自意識過剰よ。」



ササヌキさんがいう!



「いや君ですけどもっ!?」



「あら?」



「あらじゃねぇ!」



トウタもつっこむ。



「はははは」



笑いが起こった。



でも、僕は知らなかった。



いや知る由なんてなかった。



こんなに笑える日々が、、、

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