いち+10
放課後。
心配だったため、トウタと共に、キタムラレイと帰ることにした
けれど、
「ちょっと用事がありますので」
と言われた。
途中までトウタと帰っていたけれど僕は忘れ物をしてしまった。
という口実で学校へ戻った。
なんか嫌な予感がしたのだ
僕はそんな予感がよく当たる。
ドアの外から僕は中を確かめ、入らずに話を盗み聞きした。
「俺は幻滅だよキタムラさん。みんなを騙すなんて」
性格の悪そうな声。イイヌマだっけ?
「べ、別に騙してなんか、、、」
「年齢詐称でしょ?」
バカだ。コイツ。
彼女は一度も15歳とは言ってない。
詐称はしてない。
「私は、、、騙してなんて」
「これ、キタムラさんだよね?兄貴の友達から借りたんだけど。」
そう言って取り出した卒業アルバム
「わ、私です、、、」
「これ、みんなに言うべきだよね?」
「え、、、」
「言いたくない?ならいいよ僕は黙っといてあげるよ」
意外といいやつなのかな?
「俺の言うことを聞けばね。」
最低野郎だ
「どっちがいいかなー。俺の言うことを聞いて一緒に楽しむのと、みんなに嘘つき呼ばわりされて三年間辛い思いで過ごすのか」
「う、、、、」
「さぁ、答えは?」
「両方NOだ」
僕は教室にはいった。
なんで人間はこうなんだろう。
悲しくなる。
「お前、、、どこから聞いてた!?」
「全然聞いてないよ。」
「どこからだ?」
「俺は幻滅だよ。からかな」
「最初からじゃねぇか!」
「あっそうなの?」
どうでもいい。
「おい。お前あんまり調子のるなよ」
目を吊り上げて僕に言ってくる。
「どっちだよ。」
「あぁん?」
「調子のってんのはどっちだっていってんだよ。クソヤロー」
僕は本気でキレていた。
そんなこととは知らずイイヌマはケンカを吹っ掛けてくる
「おい、ちょっとちやほやされてるからって調子乗んなよ。」
「はぁ。気持ち悪い。性欲に踊らされて女の子に脅迫だなんて人間のクズだね。」
「女なんて性欲の処理道具なんだよ」
高飛車に笑う。
「気持ち悪い。吐きそうだ、ゲスだね君は」
「偽善者が!黙ってやがれ!」
「喋らないで唾が飛ぶ」
「うぜーよ!バーカ」
「というか息を吸わないで、お前のような虫けら以下が地球の酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す自体が迷惑だから」
「あぁ!?」
「いや、君も頑張って光合成する力くらい手に入れたら?存在自体迷惑なんだからちょっとは役にたちなよ。」
「ふざけんな!」
殴りかかってきそうになったところで
「まさかケンカをしてるんじゃないだろうな?」
先生が入ってきた。
「い、いえしてません!」
イイヌマはそのまま逃げ帰った。
「大丈夫?」
「、、、歳が10歳上だと学校に来ちゃいけないのでしょうか?」
「、、、」
「みんなに10歳上だって言わないようにするためにはそれなりの代償を払わないといけないのでしょうか?」
「、、、」
「彼に何がわかるんでしょうか?」
泣きながら言うキタムラレイに僕は何も言葉をかけれない。
何て言えばいい?
何て言えば彼女を救える?
上っ面だけの綺麗な言葉をだらだら語ればいいのか?
見てきた空想世界の言葉を引用するればいいのか?
そんな物、、、すぐに剥がれ落ちちゃいそうだ。
だけど、僕は言える言葉がある
僕は言いたい言葉がある。
僕だけの言葉だ
泣いている彼女に僕は
10歳年上の人生の先輩に僕は
言ってあげることが出来る
「僕と一緒に帰ってくれませか?」
「、、、え?」
「そして、僕ん家でゲームをしよう。トウタと三人でさ。」
「、、、」
「僕らは、ほら友達だろ?友達ってのは隣にいるべきなんだよ。どんな時も。」
「、、、よろしくお願いします」
涙をぬぐいながらそういうキタムラレイ。
僕にはどうしたらいいかなんてわからない。
でも友達ってのが遊ぶってのはわかる。
だから。僕はそう提案した。
夜9時まで遊び、送り届けた。