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出逢い

 洞窟の中に男性の声が響いている。

「おい、ここは心霊スポットじゃねえか」

「そうそう。意外と知られてないけど霊がいっぱいいるらしいよ」

「おまえ、霊からパワーもらうって、おかしくねえか?」

「いやいや、霊に生気を吸い取られるっていう解釈は旧いんだ。本当は心霊スポットは最高のパワースポットなんだぜ」

「何かおまえが言うと余計に嘘っぽいなあ」

「大丈夫。ほら、いっぱい霊がいるってのに、何ともないだろう。問題ない問題ない」


……何の話? 誰よあんたたちは。霊がいっぱいだなんて、私一人ぼっちよ! 何テキトーなこと言ってるのよ! ……


「おい。その辺に霊がいるぞ。ほら、その辺りだ」

「やめてくれよ。やっぱり俺帰る」

「ばか、本当にいるんだ。俺には見えるぜ」

「おまえ一人で行ってくれ。もうだめだ俺は」


 弱気なその男は回れ右をして、腰が抜けたようにふらふらしながら洞窟の入り口へと戻っていった。

 そして血まみれの服を着た和華子は残った男の真正面に姿を現した。一瞬その男はひるんだが、すぐさま和華子のほうに歩み寄ってきた。


「君。名前はなんていうの?」

「私、和華子。里藤和華子」

「そう、わかちゃんね」

「ううん、わかちゃんじゃなくて和華子よ」

 和華子は中学校でいじめをしていた男子生徒が『和華ちゃん』と言って彼女をからかっていたことを思い出して、きっぱりと言った。

「そう。和華子ちゃん。君、可愛いね。でも、その服どうしちゃったの?」

「崖から落ちたの。鳥みたいに飛ぼうと思って……」

「着替えようか。そのままじゃあ人前に出られないよ。さあ、ここでお脱ぎなさい。山の下の店でジャージ売ってたから買ってきてあげるよ」

「ありがとう」

「…………」


「ありがとう」

「…………」


「ありが……。あんた何でそこにいるわけ?」

「だから早くお脱ぎなさい。心配いらないから」

「ぶーーーーっ! あんた単なる『どヘンタイ』じゃないの? 幽霊脱がしてどうするのよ! 」

「僕には霊能力があるんだ。何でもお見通しだよ。君の心の中までもね。君は今、寂しいんだろう? 僕は君の悪いようにはしないから安心して脱いでね」

……『安心して』まではいいけど、『脱いでね』と全然、話つながってないよ。何だか、とんでもないヤツに出会っちゃった……

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