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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 ペリーじゃなかった。ハリスだった。俺にとってハリスは、オッサンじゃなく女性副大統領なんだけど、まあそんなことは良い。俺の姿を見た瞬間、空気がピリッとした。後ろに居た人が「デーモン…」って呟いたのが聞こえたけど、ペリーと一緒に来てた通訳さんがいた。


 どうも話を聞くと、去年下田に来たけど、一度出島に行けと強く言われた。出島へ行ったけど、貿易目的ではなく国交目的だったが上手いこと伝えられなかった。結局どうすることも出来ず、仕方なく樺太の開拓を始めた。ペリーから、この国にはトージという名の子供の悪魔がいるから、武力行使を疑われるようなことはすべきではないと聞いた。今回はオランダ語に明るく、トージを知ってる通訳を連れ、領事を置きたいと出島できちんと伝えて、日本への贈り物も用意してある。あなたがデーモンのトージですか?だって。なるほど、この情報が一部には届いてたから、下田の出島にも金が出たのか。おかしいと思ったんだよな。復興だけしか見てないはずなのに。


 こっちも当然一人じゃない。ハリスが真面目に話す。俺は理解してる。ジョンさんは顔真っ赤にして震えてる。向こうの通訳さん、苦笑いしながら真面目にオランダ語に訳す。こっちの調所の面々笑い出す。向こうの通訳さんは必死で「俺は言ってないよ」って伝える。それがさっきの「デーモン」だったわけね。ペリーめ、アイツが原因作ったくせに、あることないこと広めやがって。せっかくだしデーモンの異名を利用してやるか。


 急いで責任者に来てもらうから、ちょっと待ってね、多分明後日には来るから、で勝様に連絡。その気になれば1日で来れる。あっ、良いこと思いついた。


 「あのさ、領事として日本に来たわけだよね?ということは、領事館必要になるよね?とりあえず下田は場所が狭いから、もっと広くて良い土地があって、そっちならすぐに土地を準備出来るけど見たい?ここよりも江戸に近いんだけど」


 「ここからも近いのか?」


 「近いよ。今から船で日の入りまでには着くよ」


 「じゃあそちらに向かうとしよう」


 何としてでも領事館を横浜に置いてやる。領事と大使の違いがいまいち良く分からんけど、同じようなもんだろ。調所を敵に回すなら、俺らは領事館に逃げ込む。亡命だ。そして、領事館に攻め込むことは許されない。国対国の戦争になる。攘夷派だろうが守旧派だろうが、こっちを攻めて来れない最高の守り。外国を盾に最強の守備陣形を作ってやる。


 何より新たな知に飢えている変態たちがいる。ここぞとばかりにトリリンガルを量産出来るかも知れない。英和辞典まで作れれば最高だ。


 急に現れた黒船に横須賀も慌ててるが、そんなことは気にしない。俺らの船も一緒にいるんだし。最近、夜の海にハマってる友さんと数人が俺らを横浜に降ろした後、そのまま江戸に向かってった。六分儀を使った夜の海を航海するのが楽しいらしい。方角を計算し、自分の計算通りに進めていることが至極の体験なんだと。ごめん友さん、それは共感出来ない。船酔いはイヤだ。


 翌朝、勝様にハリスの来日目的と国際法上問題ないことを説明。その上で、江戸に置くとうるさいでしょ?横浜は我々が駐留してるから、向こうも妙なことはしないはず。横浜ならまだ未開の地。人の往来も多くない。江戸までも1日で往復可能。横浜の使用を認められている我々からすれば、生きた英語に触れられるまたとない機会。


 ほら、生きた英語って言葉に食いつく人多数。福沢さんなんか、超前のめり。その上で畳み掛ける。


 「今言ったのは表向きの理由。あと2つほど裏向きの理由が御座いますが、お聞きになられますか?」


 「二つもあるのか。知らないまま進められてもワシが後々困ることになりかねん内容か?」


 「間違いなく、黙って私が進めたら勝様は激怒します」


 「聞かせろ」


 「軽いものと重いもの、どちらからお聞きになられますか?」





 「…軽い方から聞かせろ」


 「では、先ずは人払いをお願いしたく」


 「藤二以外の者は下がれ。これで良いか?」


 「はい。ではお話ししますね。先日の守旧派の、ペリーの云々の話覚えてらっしゃいますか?」


 「ペリーに大砲撃たせるという物騒な話か?忘れるわけなかろう」


 「あれ、ハリスに依頼しましょう。領事館の建設も国交も何もかも、国際法という言葉すら知らない守旧派に丸投げです。空砲打ってもらって、激怒の演技でもして貰えば良い。どうせにっちもさっちも行かなくなって、最終的にこっちに丸投げしてきます。自分たちの無能さを気付かせれば良いんです。先ほどの内容を先にこちらで決めておき、その上でさっさとまとめるふりをする。勝様の評価鰻登りのことうけあい。どうです?」


 「オマエはあの話、真面目に言っておったのか?」


 「はい、冗談なわけないでしょう。地位だけあって頭空っぽなヤツが邪魔をしないなら何も言いません。誰か特定の人の非難してるわけじゃないですよ?切らないで下さいね。ですが、この調所を無くして自分たちが出来るなどと夢物語をいうのならば、実際にやらせてみれば良いんですよ。お手並み拝見です。どうせ出来もしないのに。道理も弁えず対案なき批判を繰り返すなど、言語道断。人に道理を説くなら、まず自分が道理を弁えてから言えって話です。勝様はハリスを連れて行ったら、下田の出島の準備とか何とか言って、箕作様と下田にでも避難して下さい。ハリスが幕府を非難している間に。もちろんそちらもどんどん進めて欲しいのは事実なんですがね」


 「おい!これが軽い方なのか?」


 「はい。では重い方をお話しさせてもらいます」


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今はいいけど日本の最新技術の情報やレベルが外国に筒抜けになりそう
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