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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 ピーターさんは江戸に行きたがったけど、流石にその許可をすぐに得られない。ただし、下田は自由に。それが出来るなら、一月前にも出来ただろ。1ヶ月間を無駄にしないためでしかない。マイナス分をマイナスにしない努力を、こっちが勝手にしただけに過ぎない。オランダからの品を見て満足気にしてるけど。まあ、この早さから考えると誰かが進言したんだろうな。何も決められないのはきっと、この国の悪しき伝統なんだろう。責任転嫁と先延ばし。困った時の思考停止による踏襲。令和までも続く悪習。


 そうだ、良いこと考えた。


 「ピーターさん、確認なんだけどさ、これらの品とか情報とかって、数学書のお礼って言ってたよね?」


 数人はピンと来てる。


 「そうだ。あんな素晴らしいものを貰って、お返ししなきゃいかんと思ってな」


 「くどいようだけど、この国では確認しなくちゃうるさいんだよ。ごめんね。オランダ国から日本国でもなく、国王から将軍でもなく、カピタンの商売のためでもない。ピーターさんから研究所へ、で間違いないね」


 気付いた人増えた増えた。


 「あぁ、そうだ。知り合いの印刷工が仕事を辞めるって言ったから引き取ったんだ。まだまだ使えるゴミだ」


 杉先生はちゃんと勝様と内田様に訳してる。あの人が一番俺の魂胆読めてるくせに。


 「勝様、そういう話です。ですので、我らが研究させてもらうことに異論はございませんね?」


 「いや、しかし、日本に入って来た新たな技術は」


 「では、ご自身で交渉して下さい。どうぞ」





 「藤二、その辺にしとけ。意趣返ししたいならもっと狡猾にやれ。とは言え勝様、その理屈ですと、幕府は輸入品を全て検めなければなりませぬな。どこかの藩が密貿易してたとしても、それらを含めて全て。そこまでやれますか?そしてせっかく入ってきた技術を、『さて、どうする?』などと呑気に構えるわけですか?」


 「ではどうしろと」


 「目を瞑るだけ。それだけで結構。ワシらはこの印刷機とやらに興味を持ちます。それは相違ない。しかし、仕組み、理屈が理解できればそれで良い。あとは作りたい者がいれば作ってみるし、飽きればそれまで。それ以降はそちらでどうぞ、如何様にでもすれば良い」


 さすが友さん。


 「しかしな」


 「勝様、私からの助言、もうお忘れか?調所で飽きたら引き渡すと言っています。それまで勝様は知らなかった。それで良いのではないですか?」


 やっぱりバックには箕作様が居たか。







 「…分かった。ワシは何も見ておらん。報告も受けておらん。ワシの知らんところで調所が受け取った。それで良いのだな?」


 「「「「ハハっ」」」」


 こういう時だけは息ぴったり。


 「あとは可及的速やかに、ピーターさんが江戸入り出来るよう、段取りを取っていただきたく。なに、蕃書調所という名が、ここでこそ生きましょう。調所の客人とでもすればよろしいではありませんか。それまで私はピーターさんにいろんな話を聞きたいので、下田におります。なお、無駄な出島との往復、下田を開港すると決めたにも関わらず何もしていなかった幕府の不手際が原因かと。オランダとの友好的関係にヒビかぬよう、燃料くらいは負担すべきかと存じます。そちらも重ねてお願い致します」


 また俺も俺もになったので、ほとんどの人が下田に残りそう。今後下田は第二蕃書調所って感じになるかも。職人さんたちもこっちに来れれば良いんだけど、そうするとお抱えになるから、そこまでは難しいだろう。


 ピーターさんの定位置はちょうど部屋の真ん中。午前中はそこで講義。午後からは今度は質疑応答。もちろん向こうからの質問もある。基本的に自由参加。聞きたければ聞けば良い。誰も強要しない。俺はちょこちょこカピタンと今後のやり取りとか、こっそり持ち込んでくれた最新の造船技術や蒸気機関の本を受け取り。その本よりも当然ながら詳しい話をピーターさんはしてくれてるんだけど、何事もエビデンスは大事。世のニーズの低い専門書が高いのは世の常。奮発したねって聞いたら数独で一儲けしたらしい。カピタンは数独、ピーターさんは数学書ね。了解。


 ちなみにカピタンの先生がピーターさんみたい。ヨーロッパでも著名なんだと。ピーター・ハルディング。うん、知らない。ちなみに今回の予定は、やっぱり半年ほど滞在、本当は今回の来日から別の人だったらしいんだけど、立候補してまた来たらしい。で、ここからビックリ。ピーターさんを置いていく。次の航海の時に、次の人が拾って帰る予定だからよろしくだって。


 トータル1年以上の滞在。これは何とかして江戸に行かせてあげないと。おもてなしは大事。


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― 新着の感想 ―
勝さんに詰められてる物語は数あれど勝さんを詰めてる物語はなかなか無いので新鮮ですね
日本では活字はなかなか普及しませんでしたね 慶長の役で銅版活字の存在を知った国内の有志が古活字本(木活字本)で後陽成天皇や家康の本、あとは寺院勢のお経を出版していますが費用と場所の問題か寛永以降は廃れ…
ピーターさんかなり面白い人みたいですね。 テレビやラジオ、飛行船に度量衡や言語や通貨の統一を予想して世界標準時の必要性や都市の電化を説いてる。
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