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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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2-27

 ペリーが持ってきた物のリストを見て、改めてアメリカは、国としては友好的に関係を結びたかったと感じる。そして、まあもう良いか。終わったことだ。


 本、辞典の類は一足先に調所に来た。英蘭辞典片手に皆で調べてる。ジョンさんもそこに混ざる。俺は友さんの試作の手伝い、帳簿の整理、職人さんたちとの打ち合わせ。分かってる。ほんとはみんな、蒸気機関車の模型を見たい、というよりは、許されるならバラしたいんだよね。それはグッと抑えてる。船の試作もようやく完成し、処女航海を控えたある日、オランダ船が下田に来て、俺を指名しているとの連絡が来た。友さんと顔を見合わせ、親指立てる。ちょうど良い。


 勝様に許可を取り、早速出航。巨大マスト船の出航。歓声が凄い。ほぼほぼ俺は関与してないのに、なぜか誇らしい。


 築地の造船施設から下田まで1日で着いた。凄い。時間短縮こそ技術革新の結果。そこで待っていたのは、毎度お馴染みカピタンと、見知らぬオッサンだった。


 「お前が天才少年のトージか?」


 いきなり肩を掴まれ困惑。よくよく話を聞いてみると、この人、ピーターさんって名前のオランダの学者らしい。持ってった数学書を見て、強引に船に乗り込んで来たらしい。佐久間氏みたいなオッサンか?そんな人を国から出しちゃって大丈夫か?


 「天才ではないと思いますが、藤二です」


 「数学書見て、居ても立っても居られず日本まで来てしまった。実に美しい。あんな解き方も見たことなければ、あんなにも美しく高度な問題も見たことなかった」


 美しい?この人美しいって言った?思わず友さんの方を見ると、友さんもこっちを見てる。目が合う。やっぱり数学の美しさは伝わるんだ。駆け寄ってきた友さんと3人で握手。


 「そうだよね。数学は美しいよね?でも違うんだ。俺が天才なんじゃない。和算を理解し、且つオランダ語に翻訳出来た天才たちがいたから出来たんだよ」


 「なんと。この国にはそんな天才が溢れているのか?それを聞いただけでも長い船旅の甲斐がある。それで彼は?」


 「彼はこの国でも1番の天才だよ。この国において、日本式数学も西洋式数学も、両方扱えるのは彼だけだ。あの船の設計も彼。紛れもない天才は、この小野友五郎だ」


 「そうか!君が著者名に書いてあった小野か。君にも会えて嬉しいよ!!!じゃあここにいるメンバーは、海外研究所のメンバーか?もう一人の著者の内田もいるのか?」


 おい、余計なこと言うな。俺が内緒で書いたのにバラすな。ほら、全員がこっち見てるじゃないか。ピーターさんの勢いに押されてたら、カピタンが助けてくれた。


 「先生、彼らは到着したばかりじゃないか。こちらの手続きが済んでからにしてくれないか?長崎で『下田も開港したらしい』って話を聞いて、恐る恐るここまで来たんだけどさ、本当にこの下田も開港したのか?」


 「そこらの手続き関係は俺たちは分からないんだ。この船の初出航を見計らったようなタイミングで、下田で俺を呼ぶ人がいるって聞いて急いで来たから。その関係はどうしたら良いか確認させて。とりあえずは、前に寝泊まりした所を仮宿舎ってことにさせてもらうから」


 「寺の一角だよな、覚えてるから大丈夫だぞ」


 そこから急ぎ、江戸との、主に勝様と箕作様と内田様と、諸々の確認と船の具合の確認したりとバタバタ。何せ普段の長崎での手続きなんか、杉先生ですら当然知らない。またタイミング悪く、諸々の事情で城内が落ち着いてない、だから待てなんて返事が来た。


 おいおい、ちょっと待て。勝様の役職が何かは知らない。少なくとも取締役クラスじゃねーだろ。部長レベルなのか、課長レベルなのか、はたまた係長クラスなのか。取締役会の機能が落ちるのなら分かる。心情的に落ち着かないなら理解できる。でも「組織として機能を停止」、意味分からん。そして、他人の時間を何だと思ってんのか。待てって言うなら期限切るべきだろ。 


 良いこと思い付いた。


 「友さん、これ勝様からの返事。俺、オランダ船で一眠りさせてもらう。旧交を深めるために乗せてもらったらそのまま寝ちゃう。オランダ船、下田で結局寄港出来ず、出島戻るしかないよね?」


 そこまで言えば友さん、当然理解する。杉先生青くなってる。周りは口ポカーン。


 「じゃあそう言うことで」


 「待て、ワシも保護者として着いて行く」


 おう、その展開は想定外。そりゃ周りの人も「えっ?」って顔になるよね。


 「でもそしたらさ、あの船どうすんの?友さんいなくても操縦できるの?」


 「ワシがおらんと操縦出来んなど、それこそ効率悪いだろ?」


 一本取られました。そしたら今度は、俺も俺も状態。どうしようかと思ったら、友さんが取り仕切ってくれた。


 「『待て』と言う命令違反にはなる。そんな危険な橋を渡らんでも良い。あの船ならオランダ船と同等の速度が出るはず。ワシらを取り返しに行けと命じられたら、それこそ名はまだないあの船で迎えに来れば良い。歩くよりも何倍も早いはず。オランダ船に航路も教わっておこう」


 お見事。全部俺の想定と一緒。迎えに来るのが友さんじゃないってとこだけ。それでも数人は乗り込むことになったけど。最悪江戸どころか、日本にすら戻れない覚悟ある?って聞いたけど、それでも良いって。そこまでしても学びたいってこの人たち、絶対頭イカれてる。


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― 新着の感想 ―
この時点で勝は無役では? さらっと交渉の場に立ってたけども。
 一番イカれてるのはオメーだよッ!?
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