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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 改めて市中での狂乱に辟易とさせられた帰省だった。府中でも日野でも道中でも、どこでもかんでも「黒船」「攘夷」「開国」、このフレーズを聞かない場所はなかった。この一年でやったことを聞かれて適当に誤魔化しといた。守秘義務がどこまで適用されるのか分かんないし、ましてや俺は幕府から金を貰ってない。なんなら自力で稼いでる。報酬を得てない。でも何となく言える空気じゃない感じがして。


 無駄な緊張もあったせいか、無駄に疲れた帰省になった。もちろん土産の石鹸は喜ばれたが。女性たちにのみ。


 ところで内弟子にも関わらず、最近全然内田様の仕事の手伝いしてない。不安になって尋ねたら「こちらから指示するまで、お前が一番効率良く動ける所で動いてろ」とのお達し。つまりこれまでと同じで良いのね。


 友さんと職人さんのところへ向かう。精巧な部品をオーダー通り作ってあった。作りたかったのは六分儀。用途も分かる。設計図もあった。何なら本物の使い方まで、オランダ船で教えてもらった。なかったのは鏡。そのたった一つのパーツ、ようやくその穴を埋められた。伊豆に長くいた人間ほどオーバーアクション気味になってるのは抜けきれてない。2人で顔を合わせて親指立て合う。


 友さんは早くも造船班を手伝い、その目で確認したことを参考に試作を試みてる。同じものを見たはずなのに、理解度がここまで違うのって、やっぱり相当賢いな。同じの見て前世のうっすら記憶があり初めて、友さんのやりたいこと、言ってることについていけてる。前世の記憶ないのに、友さんの話聞いて「なるほど」と言える他の人たちも、正直着いていけない。


 ペリーは今年はいつ頃来るのかな、なんて呑気に構えてたら、新年早々来やがった。調所内の空気も一変。とりあえずジョンさんと箕作様が呼び出された。


 それからは去年以上にバタバタしてる。市中は黒船2回目だからか、昨年ほどの騒ぎはないけど、調所内は昨年以上に忙しない。みんなが当事者意識持って動いてる。こういう組織は強い。


 会談場所は横浜になったらしい。急いでみんな横浜に大移動。調所の資金で宿を借り上げ。バッタバタ。向こうからの書面はオランダ語。一応こちらに合わせるように用意してたみたい。でも向こうのオランダ語のレベル分からん。訳し方、捉え方によって解釈が分かれる可能性がある。英語での要望書も別途貰うよう依頼。箕作様曰く、こちらのオランダ語の方が流暢そうだとのこと。そりゃそうさ。約半年みっちりオランダ語漬けの日々を過ごしたんだから。


 役人さんたちは、土産の量と種類の多さに浮き足立ってる。それが罠だと気付かずに。勝様には年末にレクチャーしたのに、やっぱり伝わってない。期待してなかったけど。何よりも、「来年来る」が年明け早々だなんて予想してなかった。そこだけは想定外。


 勝様に依頼したのはまず2点。ある程度の歓待を江戸近くでやるのは仕方ない。でもそれが終わったら、実際の交渉は下田で行うべし。そして、交渉窓口に勝様が何としてでも加わること。それさえできれば、勝様は手柄を立てられる。武功ではなく交渉で、しかも実利を得られる手柄。勝様さえいれば、我々のうち誰かが交渉の場に混ざっても違和感はなくなる。


 これを伝えてあったため、友さんは黒船来航の知らせと同時に下田にスタンバイ。色々と準備を進めてるはず。


 なかなか黒船が移動しないまま、時間ばかりが過ぎていく。イライラし始めた頃、ようやく勝様が飛び込んできた。「下田で協議、俺も交渉役に入った」。


 これで勝ち筋が見えて来た。


 勝様と一緒に移動しながら、諸々確認。当然、全権委任ではない。だが、日本の不利にならないことならある程度認められてる。大砲撃ち込まれるくらいなら、開国やむなしが基本スタンス。


 よし、言質は取れた。あくまでも、日本不利であって、幕府不利ではないわけね。あと、英蘭両方の書状の写しもジョンさんと箕作様で作成済み。差出人は大統領。ここでこんな役立つと思わなかった英語経験。英蘭辞典片手に読めちゃう。英語好きじゃなかったのに。書状の段階では、英語蘭語ともに内容に相違なし。実は今の俺、相当使えるヤツじゃない?相違ないことをネイティブ並みの蘭語スキルと、前世の英語経験とカピタンから学んだ英語で読み解ける。俺にないのは権限だけ。それが一番大事なんだけど。


 下田に到着し友さんを見つけると、友さんは親指立ててる。準備万端の様子。さすが友さん。


 いざ、下田会談開幕。


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― 新着の感想 ―
あらすじで、論破される運命がネタバレなペリーさん…
( ^ω^)bd(^ω^ )  ペリーにどう対抗するのか楽しみだ。
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