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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 流石にデカい船は停泊出来ない。小舟に乗り換えて上陸して来た杉先生を介して、カピタンと打ち合わせする。1日だけ沖に係留させておいて、その間にスケジューリング。先方の予定、こちらの要望の擦り合わせ。佐久間氏が姿を現したのでその抑えのためにも、こちらの最大権力者である箕作様を前面に立たせる。平気な顔して入って来そうだし。カピタンからすれば、この場に子供がいることこそ1番謎なんだろうが、気にしてる時間すら勿体無い。サクサク決めていこう。


 出島から下田まで5日と掛からない。長崎でないと出来ない仕事は特に無い。月1くらいは長崎に戻らないと何があるかは分からない。こちらは国際情勢を知りたい。出来れば同時並行で技術指導なんかの場もあると嬉しい。蘭書に書かれていることを教えられる人も欲しい。くれくればかりでは申し訳ないので、そちらが欲しいと思うものがあれば言ってくれ。リスト化してくれれば、どれをどれくらいいつまでという返答を準備出来る。あとは、それぞれの禁止事項等は都度都度決めていこう。でも、許可なく船に近づく人は捕まえても文句は言わないってことを先にこちらから伝えておいた。若干1名、やりそうな人がいるし。そんなくだらないことで時間使いたくない。


 こんな話をしてたら大枠は決まった。オランダ人の数人がこちらに残る。残る人は要望に応えられるそうな人材を置く。3週下田、2週長崎で1ターン。計4ターンくらいなら付き合える。半年後にインドに向かう必要がある。長崎下田間の燃料はこちらで可能な限り用意。ってことで話がついた。入れなくて、いろんなところでチョロチョロしてる佐久間氏には、「勝手に船に近づいたら捕縛されます。今これを伝えましたので、これ以降勝手に近づいて捕まっても、我々は助命嘆願する気は毛頭ありません」とだけ伝えておいた。


 翌日、3人が選抜されて船は出島に帰って行った。3週のうち1週は、ヒアリングのための時間を用意してもらう。じゃないと杉先生に負荷がかかり過ぎる。読めても書けても、聞く話すが出来なければ手間が多い。幸いにして蘭学者ばかり。向学心は半端ない。一言一句聞き逃さない。そんな気迫を感じる。3日もすれば耳が慣れる。5日もすれば口が動き出す。結果辿々しく話せるようになる。それで良い。そこだけはお互いのためにも急がば回れだ。


 江戸の方々からも返事来た。勝様からは「叩き切れ。俺が許す」なんて過激なものから、内田様からは「絶対にやり過ぎるな」、そして友さんからは「砲術の目処が立った。船に回って手伝った方が良いか、すぐ向かうのが良いかを決めろ。返事が来るまでは船の手伝いをする」とあった。本当に三者三様、面白い。


 決まった流れを記した返事と、友さんには追記で「ここなら定期的にオランダ船が来るから実物は見れるよ。考えるのと見るのと、友さんがどっちが効率的か選べば良い。ただ、相談相手として友さんがいてくれたら嬉しいかも」と感傷的なこと書いちゃったばかりに、すぐに来ちゃった。相談をそんなにするわけじゃない。でも、相談できる相手がそばにいる、それだけで安心出来るんだ。自分の判断が正しいかどうか不安になるから。勝様から佐久間氏への手紙を携えて。




 オランダ人からの話は、なかなか飲み込むのに時間がかかりそう、みたい。みたいってのは、感覚的なとこなんだと思う。この時代の人に決定的に足りない視点、それは俯瞰で見ることだと思う。常に一人称と二人称。だから、日本とオランダ、日本と中国、みたいな視点でしか考えられない。そりゃそうなんだよね。テレビつければ国営放送で世界情勢のニュースやってる、なんてことは一切ないんだから。殿様が誰でも将軍が誰でも、隣近所と取引相手の顔と名前さえ分かれば、極論生きていける。そこから脱却した蘭学者でも理解しきれない感じ。イギリス、スペイン、フランス、アメリカで世界の海を争ってることを想像させるなんて、土台無理な話かもしれない。さらに困惑してるのが、儲けるって感覚。自分で商売しなくても生活してるから、何のための植民地支配って理解が及ばなそう。


 さっ、ここの感覚的なところはちょうど第一ターンが終わったとこなので、その間に調整入れて理解しておかないと、世界の貿易の常識についていけなさそう。ここに関しては俺も予備知識ゼロだから、真剣に聞かないといけないだろうし。杉先生は他の人よりは感覚的に分かってそう。長崎の出身だからか、そういう感覚は他の人よりはあるのかもしれない。杉先生に合間の2週の間に感覚論の理解の所をやってもらおう。始めはずっと居てくれればラクなのに、なんて思ってたけど、2週間のインターバル、理解度の目線合わせにちょうど良いかも。


 ちなみに佐久間氏、勝様からの手紙を渡される所までは見かけたけど、いつの間にか気付いたら居なくなってた。ほんとに嵐みたいな人だな。


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