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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 理解はしてる。理解はしてるが納得出来ない小さなモヤモヤが残ってる。だから府中で泊まった際に、爺様に愚痴った。そしたら怒られた。


 「バカモノ!!!」


 どうもかなり早い段階から、府中にも俺の噂は届いてた。関流から直々にお誘いを受けた神童がいる、と。お前みたいなのが出ると、有象無象の声が無遠慮に家族へ降りかかるのが人の世。お前の家はそれを上手いこと収めたようだが、それでも話は広がる。全ての元凶はお前だ。あの唐変木で一本木なお前の父ですら悩み、ここへ相談に来たこともある。大人は察する。だが子供は違う。遠慮も作法も知らん。弥一はお前の想像を遥かに超える重圧と、心無い声に打ち勝つために努力しておる。自覚を促すためにも少し早かったが元服をさせたんだ。お前と繋がりを持てればいい思いができるかもしれぬ、そういう甘い発想の人間からのあらゆる誘いと、お前の家族は今でも戦っておるのだ。美祢にも縁談の話が多かろう。お前の内弟子は、お前一人だけの話だと思うな。お前こそ目の前のことしか見えぬバカモノだ。








 すいません。俺が甘かった。そうだよね、兄弟って、兄弟ってだけで比べられるよね。

そんな当たり前のことを忘れてた。これ、このままにしとくと、距離と接点の少なさのせいで話できなくなるやつだ。夜のうちに家への手紙を書き、爺様にお願いし、江戸へ向かうことにした。




 江戸に着いたら着いたで、やることが山積み。ニュー◯ンのゆりかごや石鹸をどう販売するのが良いか、具体的な生産工程の確認。それを考えていたら、素晴らしいアイディアが湧いてきたので、箕作様へ相談。上手くいけば生産体制と生産量を整える時間と、資金調達に役立てそうだ。


 箕作様は「勝様と相談しろ。これ以上ワシを挟むな。ワシの仕事を増やすな。ワシも研究がしたい。雑事ばっかりで研究の時間も作れん」と愚痴り始めたので、ついでに「俺を秘書として使えば良い。内田様の内弟子ではあるが、箕作様の内弟子でもあるでしょ?ある程度の裁量を与えてもらえれば、箕作様の負担を軽くできますよ」って伝えたら、即食いついた。ついでに内田様にも、その日の晩に同様のこと伝えたら、同じく即食いついた。2人ともこんな見え見えの誘いに乗るなんて、だいぶ疲れてるな。


 勝様が翌週来てくれる段取りになった。その準備をしていたら、和紙職人のおっちゃんがリストを持って来た。今回は10人。その中に見覚えのある名前。吉田松陰、福沢諭吉。




 えっ?マジで?待って待って待って待って。


 福沢諭吉、一万円札、早稲◯か慶◯かどっちか。早◯田は大隈か。そしたら◯應だな。ん?大坂から来た?桃太◯電鉄、略して◯鉄だと大分とか中津とか、あの辺じゃなかったか?吉田松陰は分かる。長州、山口。塾作って、後の幕末志士を育てたはず。


 ちょっと待て。佐久間氏ってそんな人たちの師匠筋?あんな吠えるだけだった人が?むしろ師匠だったからこそ、名前が残ってたのか?そしてその人らが、ここにいる人たちに教えを乞う。そのここにいる人たちに、俺は偉そうに話してんの?まだ元服もしてないクソガキなのに?


 急に薄寒くなってきた。


 先送りにしてた立ち回り方について考えようと思ったが、ふと気付いた。史実を変えることで俺が困ることが何かあるのか?もちろんオーパーツはマズイ。発展の先にあるもんじゃない。でも、ニュートンのゆりか◯は、俺は完全にノータッチ。この世界の知の産物。パラレルワールドだろうが、俺の知ってる過去だろうが、今を生きてる俺に関係あんのか?ないじゃん。極論、これから会う福沢諭吉さんが慶◯ではなく◯稲田を「将来」作っても、「今」の俺には関係ない。強いて言うなら、史実通りだったとして、勝海舟と西郷隆盛の間での無血開城さえなされれば、俺が死ぬ可能性は低くなる。


 もっとシンプルに考えれば良かったんだ。これから会う福沢諭吉さんに「あなた将来、紙幣の顔になるよ」って言ったところで、紙幣すらないんだから誰もがポカーンだ。


 知ってるからって無駄に気負ってたけど、別に俺一人の影響なんて大したことない。俺がやってることなんて、大したことはやってない。外国語を読んで実験しただけ。結局俺が目指すのは、自分の周りの人だけは助けたい。そのために、独立採算目指すし、実験手伝うし、翻訳も討論も手伝うし、これまでもこれからも変わらない。


 ちょっとだけスッキリした。スッキリしてたら向こうから、友さんが砲弾形の木の模型を持って来た。ほらね、賢い人はこうやって0.1から10まで簡単に辿り着いちゃうんだ。俺が何かすることもできることもないんだよ。


 新たに増えた権限をフルに使って、お金周りのデータの整理をしてたら、勝様がやって来た。さ、知で稼ぐ。その第一歩目だ。

 


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― 新着の感想 ―
「幼女戦記」の主人公の台詞を思い出しました。リストラした部下に恨まれて線路に突き落とされて轢死した主人公が、人は理性ではなく不合理な感情に突き動かされて行動すると語る説得力。藤二もその辺りを認識できて…
鏡見ろ爺! 藤二が考え無なんじゃなくて、普通のガキが当たり前に経験できる情操教育すっ飛ばして 天才に目を焼かれて元服前のガキ大人の闇に振り回して知識経験が偏った以上、 判断が狂うのは当然で、「ガキとし…
福沢諭吉はともかく、吉田松陰はマズいような・・・ それともあれか、佐久間象山が(ある程度)マトモになったからこの人もきれいな松陰になっている?
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