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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 結論から言うと、知識のない俺には、湯の花から酸性の液体を作れなかった。なので結局、温泉の素として楽しむことにした。佐久間氏が苦労して集めたものを、自らの楽しみだけのために使う、これが後世に伝わればどんな悪魔的所業として描かれるんだろう?


 ガラスを空中に浮かせる、というミッション。成功の基準を、手を触れることなくガラスの風鈴が鳴らすこととした。だんだんと気分は、某国営放送の◯改造の夜とかロボコ〇とか。ルール内でどう勝つか、みたいな感じ。一番大変だったのは杉先生だ。表向きはね。本当のところは台本読んでるだけ。仕込みは全部俺だった。とは言え、杉先生をちょっとコキ使っちゃったかもしれない。なんか労わないと。



 お偉いさんを呼んだ興行は、結果成功。パターンは4つ用意した。子供のイタズラっぽく釣り糸の先に風鈴を付けて鳴らす。凧に風鈴を付けて飛ばす。ここまでで思いっきりハードルを下げる。何も知らされてない佐久間氏と、お偉いさんの前で話す杉先生だけが真っ青。本番はここから。


 炭の熱源の下に風鈴を付けて、浮力を受け止める力を強めた和紙製の熱気球もどき。最後に、電池の塩水をお酢に変更、さらに熱する。咽せるのは仕方ない。それは化学反応じゃない。生理反応。お酢の酸で水素の発生量を増やして、水素の軽さで気球を浮かせる。そこに風鈴を括り付けて浮かせる。最後は杉先生と2人でジャンガジャンガのポーズ。手伝ってもらってお招きした職人さんたち大喜び。和紙、竹ひご、提灯、木工、いろんな人の笑顔。水素で浮かした時の歓声と嬉しそうな顔、やって良かった。「次なんかやる時にも声かけろよ」なんて言われて嬉しかった。


 結果残った事実は、お偉いさんが箕作様の所で、箕作様の弟子がやった実験を見たってことだけ。佐久間氏は、ギリギリメンツを潰さないために連れて来ただけ。


 本当に大変だったのはこの先だった。だって先送りにしてた「原理」の説明を、お客様達が帰ってからじっくりと求められたから。詰められたって言い方の方が正しいかも。水素とは?空気と水素は何が違う?何故水素が軽い?一応全部が1冊の本にまとまってたから、解説はそっちの蘭書にお任せ。この理屈を利用しました、で最終的には逃げたけど。相変わらず、「そもそも」に弱いな、俺。一番困ったのはジャンガジャンガの意味。意味なんかねえよ。寿司ざ◯まいのポーズでも良かったけど、2人だったからそっちを選んだだけで。


 あっ、そうそう、佐久間氏。「またいつでも来て良いですよ。手土産持参なら」と優しく声をかけてやった。にも関わらず、「もうお前の顔も湯の花も見たくもない」なんて言われちゃった。追われると逃げたくなるし、逃げてると追いたくなっちゃうよ?絶対あの契約書捨てないでおこう。



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side 内田五観&箕作阮甫


 「一難去ってまた一難だな。まさかあの人を連れて来るなんて」


 「全くだ。藤二に辿り着くのも時間の問題だな。どうする、今から日野に戻すか?」


 「それをしてもな、その気になれば一日の距離だぞ」


 「もしかしたらアイツの命運は、お主に見つかった時点で終わってたのかな?」


 「否定しきれんところが辛いな」


 「せめて松代藩の役人程度ならどうにか出来たかもしれんが」


 「さすがにな」


 「元服はまだ先だろ?それで何とか先延ばし出来んかな?」


 「それで引くような人でもないだろ。むしろ藤二が食い付きそうなもんを出されると、アイツは弱い。それで言うと………(藤二の言う議論と内田殿の内省についてのトーク)………」


 「ということはなにか、今ワシらがしてる藤二の今後についても、議論であると言うのか?」


 「藤二流ならそうなるだろ」


 「藤二流、良いな、その呼び方。分かりやすい」


 「ただ残念だが、呼び方が決まったとて、藤二の今後は何も変わらんがな」


 「そう言うな、一つ考えがある」


 「どんな?」


 「前話したことあるだろ?蘭書を集めて云々って」


 「あぁ、あの計画な。それぞれの専門分野が違う蘭学者を集めて、蘭書を集めてってやつ」

 

 「そうじゃそうじゃ、その計画をあの人に手伝ってもらう。で、藤二はその生徒候補並びに教師候補として、ワシらが今育ててる最中だから、そう簡単には出せんってことで」


 「なるほど、その立ち位置だと、無理に寄越せとは言えなくなるか。早く欲しければ早く作れ、と。なかなか腹黒いな。そんな計略立てる性格だったか?」


 「なんだかな、藤二と付き合ってから、徐々にこうなってしまった感じだ」


 「それは分からんでもないわ」


 ガハハハハ

 


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― 新着の感想 ―
後世の視点だと同時代に剣の天才と数学の天才を輩出した日野は魔境ですねw
> パターンは4つ用意した 1.釣り糸 2.凧揚げ 3.本番の水素気球 4つ目は何でしょうか。
毎日の楽しみのひとつ。楽しみがあるって最高。
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