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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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side 佐久間象山


 このような屈辱、なぜワシがこんな小僧に頭を下げねばならん。しかもこれで三度目だぞ。たかだか実験の披露とその解説のためだけに。こんなことになるなら、原因を作った弟子を破門にしようか。しかし、正直塾代の収入も捨てがたい。それでもこの仕打ちを、どうにか晴らさずにはおれん。実際結果を大々的に喧伝し、「佐久間象山ここにあり」と示さねば割に合わん。くそっ!



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 五月塾に行くに当たり、条件を突き付けた。今度は杉先生と俺は講師の真似事。教える立場。科学館での実演みたいな感じだな。条件3つだけ。

① 威嚇、恫喝禁止

② ①を破った者、もしくは講師のどちらかが退席

③ ②が起きたら①を起こした本人及び監督者の両名が謝りに来るまで、講義の再開はしない


 前世では小学生でも出来ること、それを求めただけ。佐久間氏も簡単に署名した。もちろん書面に残したさ。言った言わない論になったら、確実に約束を反故する手合いだもん。


 書面を見て、箕作様と顔を見合わせて笑ったよ。お主も悪よのぅ、を体現した感じ。杉先生だけが2人を見ながら軽く引いてたけど、引くのはまだ早いよ、きっと。


 電池で泡が出れば騒ぎ、鉛が最終的に溶ければ騒ぎ。何に使えるのかを問われて、「それはまだこれからです」と答えれば騒ぎ。この人たち、実験を舐めすぎ。そのくせ大半の人がやろうとはしない。もちろん何人かは「実際にやってみたが上手くいかない、どうして?」と個人的にわざわざ聞きに来た人がいる。そういう人こそ大事にしたい。佐久間氏は何度来てもプルプルしてるもん。プライドが許さないんだろうね。杉先生は困った顔してる。もっと堂々としとけば良いのに。何も悪いことしてないよ。


 この後は塩水だとちょっと弱いけど、電気で金属をメッキ加工するのとか、磁石があれば砂鉄を集めてとかあるけど、前世のうっすら知識とここで集められる材料と道具でどこまでできるかな。読めた、理屈は分かる、でも材料がない。今度はこの苦しみだ。


 結局、簡易熱気球までを説明した所で講義は打ち切りになった。もう佐久間氏は来なくなった。そこから1ヶ月もたたないうちに、佐久間氏が大々的に成功アピールをしたらしい。ガラス製の熱気球と、地震予知装置と、鉛の消えない電池を開発したって。物理法則無視出来るなんてすごいね。そんな夢の技術、俺も知りたいな。その後は知らない。


 今まで出会った賢い人は人格者ばかりだったから、ある意味、賢くてもやっぱりこういう人いるよねというのが教訓。正直せいせいした、と思っていた。そして忘れてた。この人が「しつこい」と評されていたことを。



 季節も完全に変わった頃、箕作様の屋敷の前で叫んでる人かいた。ちょうど小間使いを頼まれて、その帰りにばったり。


 「藤二殿をお願いしたい」


 大声が聞こえたので遠巻きに見てみると、佐久間氏だった。


 「杉殿!藤二殿!どちらでも良い」


 思わず後ずさり。裏口に回ろうとした所で人とぶつかってしまい、その音でこっちを見られた。


 「藤二殿!会いたかったぞ!!」


 俺は別に会いたくなかった。気付かれた以上しょうがない。


 「これはこれは稀代の発明家であられる佐久間様ではございませんか。何でも蘭書にもないものまで発明してしまわれたとか?名を轟かせる天才は、やはりやることが違いますな」。


 これくらいの嫌味くらい許されるだろ。


 「そのことでな、相談があって参った。とりあえず中で話を聞いてくれ」


 「なりませぬ。私はただの内弟子。主人の許可なく、人を招くことなどできません。人の往来のある門の前でならお話を伺いますが、どうなさいますか?」


 「箕作殿の帰りを待つ」


 「そうですか。それでは私はこれにて失礼。使いを頼まれておりましたので。」


 やっぱりこの人、こういう人だ。時間の無駄よりもプライドの方が大事。助けてくれって言うわりに偉そう。あれ、絶対前回謝りに来てないの忘れてるな。都合の良い改竄するタイプだ。こういう人は嫌いだ。


 結局3、4時間は待ったんじゃないかな?ケータイがあれば「今日は裏口から」って連絡出来たのに残念。


 話は簡単だった。お偉いさんからガラスが浮くのを見たいと言われた。やってみたが全然出来ない。助けてくれ、と。口が裂けてもできませんでしたは言えない、と。


 ふざけんな、知らんがな。重力よりも浮力が強いなら上がるよって言っただけで、重力無視出来るよ、だなんて一言も言ってない。まず、前回の謝罪も受けてませんけど。礼儀も道理も知らん奴の相手なんか、正直したくない。


 一旦お引き取り願ったが、翌日もその翌日も、そのまた翌日も来た。だんだん家人からの「もう来させんな」の圧が強くなって来てる。


 内田様も含めての協議。ずっと部外者の立場を貫けてる内田様だけ楽しんでる。ああなったらこちらが引き受けるまでずっと来続ける。なんならそのうち、出来るのにこっちが協力しないせいで出来ません、くらいの話にしかねない。そこまでが共通見解。その後の付き合いを減らすことが肝要。何か良いアイディアないかな?


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― 新着の感想 ―
 いっそ大々的に失敗して干されたらいい。その方が五月塾の人達(参加者)の為だよ。
この佐久間は酷いな。 お付き合いは最低限が良いですな。
現代政治家にも居るなぁ、東京大学出て地頭が良いのに プライドと思想がズレて人格が残念な人、鳩山〇郎 菅〇人 小西〇之 米山〇一 国民をコントロールイオン岡田
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