5.入学
やっと書き終わりました!遅れてすいません…
今日は合格発表と入学式の日。
制服は学校側で配られるらしく、用意周到なのが分かる。でもそれは合格したらの話であり、不合格になれば俺は王国に入ってからの三日間を無駄にしていることになる。それだけは絶対に避けたいんだが…模擬戦がすぐ終わったのが気がかりで合格できているかどうかわからない所で不安が払拭できない。
「何思い詰めた顔してるのリーベル?」
「大丈夫ですか?リーベルさん?」
リーアとシナが不安そうに訊く。
「合格できるかどうか不安で…」
「リーベルなら大丈夫だよ!強いし!」
「そうですよ!この小人さんの言うとおりです!」
「確かに強さには自信があるけど…」
「「え?」」
「今…小人って…」
小人…それは恐らくリーアの事だろう。だが問題なのはそこじゃない。
「はい。助けてくれたときもいましたよね?名前を知らないので小人さんって呼んでましたけど…違いました?」
「いや…そうじゃなくて…いやまあ小人ではないけど…」
どう説明するか…
「ボクは精霊のリーアだよ!ボクはリーベルの守護精霊だよ!わかりやすく例えると、使い魔の精霊版みたいな?」
「全部言うんだな…こいつの言う通りリーアは精霊で、このペンダントに住んでるんだ。」
ペンダントを指さして俺は説明をした。
「そうなんですね!よろしくお願いします、リーアさん!」
「それで俺達が驚いたのは理由があって、実は精霊って普通は他の種族には見えないんだ。でも俺みたいな使い主や使い主が許可した者には見えるって性質があるらしい。でも俺はシナに許可した覚えがない。その矛盾に俺とリーアは驚いたんだ。」
リーアが自分から名乗ったし、このくらい言っても構わないだろう。それに今嘘を付く理由がないしな。
「なるほど…確かにそれは驚いても仕方ないことです。なぜ見えるのか私にはわかりませんが…きっと、悪い理由じゃないと思います。」
悪い理由じゃない…根拠のないことだ。いつも人間はそうやって物事は良い方向に続くと逃げるのだろうか。シナを助けたときのモンスターでさえ死ぬときは逃げなかった。普通なら野生の本能やらなんやらで生きようとするだろう。それでも逃げずに死を受け入れた。
今のところモンスターのほうが俺は高貴だと思っている。でも…たまにはそう思うのも、いいかもしれない。
「そうであると…願いたいな。」
今のところは何もわからないし、放っておこう。それよりも…
「受かってるかな〜ほんと。」
「いや、絶対受かってますって!」
「そうそう。シナちゃんの言う通りだよ〜」
きっと受かってる。そう思っとこう。
「言ってる間に着いたな。」
俺達は合格者番号の看板にできた人盛りの中に混ざり、自分の受験番号を探す。
「あれ?ない…やっぱり魔術試験のせいなのかな…?」
「俺は…ない…」
まさか二人とも落ちるとは…思いもしなかった事態だ。
初めての友達なんだから、せめて一緒に学校生活を送ってみたかったな。それに、さっきのことでよりシナに興味が湧いてるから、もあるかな。
「仕方ない…帰るか…」
「そうですね…お父さんになんて言おう…」
どうやって王国の邪魔をしようか…
「そこの君たち、アイゴット兄妹か?」
後ろから声が聞こえて振り返る。
「君たちにはちょっと着いてきてほしい。」
「何が目的です?」
「そんな警戒しないでくれ。何も襲うわけではないからな。私は君たちを理事長室に案内するだけだ。」
「そうですか…でもなぜ俺達が?」
なんとなく何がしたいのかは分かるが一応聞いてみることにした。
「理事長室まで来たらちゃんと説明するから、お願いだ。」
「断る理由もないですし…私はいいですよ。」
「お願いと言われなくても行く気ではあったけどな…」
「では私に着いてきてください。」
俺達は言われるままに着いていく。やがて理事長室に着き、中に入る。そこには試験の時のあいつがいた。
「あれ?お前も呼ばれたのか?」
「知り合いですか?」
「試験の時にちょっとな。」
あいつがここにいるのは、恐らく俺たちと同じ理由だろう。そうでないと説明がつかない。
俺達はあいつの隣りに座り、理事長と思われる人と向かい合う形になった。
「三人揃ったところで、話をしよう。私はこの学校の理事長をしているアーノルドだ。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
確かに、理事長をしているほどの強さがある。だがそれよりも俺はアーノルドの能力に興味がある。
「それで?何のために俺達を呼んだんだ?」
理事長はこほん、と改めて言った。
「君たちは合格者番号の看板に自分の受験番号がなかったが、合格はしている。」
「ではなぜ看板に書かれていなかったのか。それは魔族に君たちの情報がバレてほしくないからだ。」
理事長が言うには、俺達は学校側が想定していた強さを有に超えているとのこと。俺達の情報が魔族側にバレたら俺達がより強くなる前に始末をしようとする可能性があるからあえて看板に書かずにクラスも特別なクラスに配属させようとしているとのこと。
「それで?実は合格しているから入学式に出ていいよって伝えるためだけに俺達を呼んだってことですか?」
「それもそうだが、一番大事なのはそこではない。私達は君たちに選択をしてもらいたいんだ。」
「特別なクラスに入るか、みんなと同じように普通のクラスに入るか、君たちの強さを見兼ねて教師になるか。」
なるほど。あくまでも俺達の意見を尊重するつもりか。
「とりあえず…教師になるのはナシですね…そちら側も魔族に情報がバレたくないのであれば教師になるのはメリットがないですしね…」
「俺は普通のクラスにするよ。別に明らか強いわけでもないし。」
暗躍したいのなら特別のクラスに行くべきだが…俺は人間の生活がしたいからな。正直やろうと思えば国一つくらい無くせるし余裕もって気長にやろう。
「俺もそれでお願いします。」
「わ、私もそれで。」
「では君たちはEクラスに置こう。」
俺達は理事長室を出て入学式の会場であるホールに向かった。
制服は途中の更衣室で着替えてそこで他の生徒に紛れてホールに到着した。
「かなりの人数いるな。」
一クラス50人ほどなのにEまでクラスがあるから大体300人くらいなのだが…さすがに多すぎる気もする。
まあ逆に考えれば魔族がそれほど脅威であることになるんだが。
考えているうちに入学式が始まり理事長の話とか色々あり、入学式が終わった。内容は簡潔に言うと魔族がどれだけ強いのかとか勇者の話が詳しく話されたりとかどれもこれも俺にとってはどうでもいいことばかりだ。
その後俺達はクラスに移動し、みんな楽しく話して待っていた。
「賑やかですね…」
「シナは静かな方が好きなのか?」
「私はほぼずっと森に住んでましたから静かな方がなれてるんです。」
確かにシナにとって周りに人がいっぱいいる事に違和感があるのは仕方ないか…
「それで?お前は結局誰なんだ?」
試験のときに馴れ馴れしく話しかけてきて、しかも魔術試験であんな魔法放って、挙句の果てには俺とは最初から友達かのように隣にいるが…結局何者なのかわからん。
「そういえば名前言ってなかったな!すまんすまん。」
「そこ忘れんなよ…」
「俺はレイン。お前はリーベルで…そっちは妹のシナだよな?よろしく。」
ん?なんかこいついま変なこと言ったような…
「あ、あの…!」
「ん?どうしたんだ?妹さん。」
あぁ。違和感って…
「私、お姉さんなんですけど!」
「…へ?」
唖然とした様子で俺の方を向いてきた。
「俺が15歳で、シナが16歳。一つ年上だ。」
「…」
「どうした?黙りこくって。」
「ええええええええええええええええええええ!!!!????」
…レインの叫びは、とてもうるさかった…
二章『人間追思』編スタートです!ちょっとずつシリアスにしていくので、楽しみにしててください!
面白い、応援したいと思いましたら是非☆マークを設定してくれるとありがたいです!
感想、ご意見等あればコメントで教えていただくとモチベーションや今後のストーリーの参考になるのでお願いします!




