2.精霊と初めての人間
投稿が遅れてしまいすみません...ほんとは8月1日に投稿しようと思ったんですが色々と忙しくて...
「さむ...」
恐らく深夜をまわった頃、薄暗い森の中を俺は彷徨っている。
頼りになるものもなく森を抜け出すためにとにかく歩いているところだ。
心の拠り所は俺が出した炎のみ。もちろんこんな状況で抜け出せるわけもなく...
俺は完全に迷っていた...
「どうするものか...」
空を飛んだとして森は抜けられるかもしれないが王国の道までわかるわけでもないし、飛んでいるところを見られたらまずい状況になる。
索敵をしても分かる人には分かるしその場合も誤魔化したりするのが面倒だ。
どうすれば...
「これはボクの出番だね!」
どうするか考えているとどこからともなく声が聞こえてきた。
「誰だ?」
俺は無意識に身構えていた。
「ボクだよボク。精霊のリーアだよ。」
「名前を聞かれても...ん、精霊?」
「そーだよ。精霊のリーア。」
俺はメルから精霊の住むペンダントを貰ったことを思い出した。
ペンダントを見ると光がきれいな青に光っていた。
光に見惚れていると白いオーブのようなものがペンダントから飛び出していき俺の目の前で止まった。
すると白い光はシルエット様な形になり、やがてそこから人型の何かが姿を現した。
「お前がリーアか?」
「そうだよ!ボクがリーアだよ!」
「その…なんだか、想像通りの姿であまり驚かないな。」
翡翠色の体に青色の瞳を持ち、肩には葉の様な物が生えていた。
よくもまぁこんなThe・精霊なやつを見つけたなぁメルは。
「それで?何でこんな時に出てきたんだ?」
「そうそう忘れてたよ。リーベルは今困ってるんだよね?」
「まあそうだな。迷ってしまってな。」
「じゃあボクに任せて!」
そう言ってリーアはどこかへと行ってしまった。
「何がしたいんだ?」
とりあえずなにか目的があると思いその場で待つことにした。
「にしても、一日でかなりの距離移動できたな。」
もうこの森を抜けたら人族の領地になる。そこからは魔王の息子であることをバレないように行動しなければ作戦は失敗する。それだけは許されない。
「準備完了ー!じゃあテレポートさせるよー!」
なるほど。リーアのところまで瞬間移動させるのが目的だったのか。
俺は変装できていることを確認し、心の準備を済ませる。
「じゃあ頼む。」
「おっけー!」
突如俺は白い光に包まれ、光が輝きを失うと目の前にはリーアがいた。
「面白い力を持ってるんだなお前。」
「へへ〜ん。役に立つでしょ?」
リーアは鼻を伸ばしながらそんな事を言う。
「そういえばリーアは他のやつからは姿が見えるのか?」
「リーベルが許可した相手なら見させることはできるよ?」
「じゃあ姿を出し続けることはできるんだな。」
「そうでもないよ〜?精霊だって他の種族みたいに休息は必要だから。でもあんまり気にしなくていいよ。」
「気にしなくていいならいいが。」
それよりも今は早く王国へ着くことだ。
とりあえずあそこの明かりのついた村に人に王国の場所でも聞こう。
そう思い俺が歩きだそうとした瞬間だった。
「キャアアアアアアアアア!!!!!」
森の方から悲鳴が聞こえた。
俺は咄嗟に身構え、森の方を見て警戒した。
すると草むらから少女が飛び出してきた。
少女は無我夢中だったのか、目の前に俺がいることに気が付かずぶつかってしまい、俺が下敷きになる形で倒れた。
「おい!大丈夫か!」
勿論大丈夫じゃないと思いつつも心配の言葉をかけた。
少女は気がついたかのように上体を起こし、馬乗りなった状態になった。
「あ、あの!助けてください!」
「ええと...助けてほしいならそこをどいてほしいんだが...」
少女は自分が今どのような状態で話しているのかに気づき「すみません!」といい立ち上がった。
俺も立ち上がりとてつもない殺気がするのを感じた。すると森から体長4mほどの角の生えた赤いゴブリンを現れた。
「レッドスペシャルモンスター...!なぜここに...!」
魔物には、色別と等級で分けられて危険度を表しており、色別は魔物の身体の色によって決められており、赤色は火属性、青色には水、氷属性など、主に属性の区別の役割がある。等級は魔物自体の体長や種類、特別性によって決められており、例えば王冠のようなものを被っているゴブリンはキングゴブリンと名付けられる。特別性というのは主にゴブリンとスライムが合わさったような混合体だったり、珍しいものを見に付けている魔物であればあるほど高くなる。
この魔物の場合、身体は赤くて大きく、角がついているゴブリンのため、水または氷属性の兵士千体でやっと殺せるくらい。千体は等級が特級に分けられており、スペシャルモンスターと名付けられる。そして火属性であることからレッドスペシャルモンスターになる。ということだ。
要は村十個分は滅びるってことだ。
そんなやつを勿論俺が見過ごすわけもなく。というか、助けを求められたからにはやるしかない。
特級を一人で倒せるのは魔王軍隊の上層部には余裕で入れるくらいだからすまないが後でこの少女には記憶を消させるしかないな。
「久々に腕がなるぜ。」
俺はゆっくりとそいつに近づく。なるべく、殺気を出さないように。
そいつは怯えたのか少し後ずさる、が、覚悟を決めたのか棍棒を思い切り振り上げ俺に向けておろした。
俺はそんなことも気にせず着々と、ゆっくり、歩き続けた。
「危ない!」
少女がそんな事言うのも束の間、棍棒が俺の頭へとあたり、その勢いであたりは強い衝撃波が伝わる。
やがて衝撃波がなくなり、そいつが気がついた頃には棍棒が壊れ、俺とそいつは拳の攻撃が当たる距離まで近づいていた。
そして俺はゆっくりとそいつの腹に向けて手を伸ばした。
そいつは死を覚悟したのか、逃げることはしなかった。
俺は俺の手とそいつの腹の距離が数ミリメートルのところで動きを止めた。
「逃げなかったことは、称賛に値する。」
最後に俺はそう言い、人差し指でちょん、と一回突いた。すると、またあたりに強い衝撃波が伝わり、終わることにはそいつの身体は頭だけになっていた。
ふう、と俺は息を吐き、振り向いて少女の方に歩いていった。
少女は衝撃波に耐えられなかったのか、尻もちをついていた。
そして俺は少女に手を差し伸べ、言った。
「大丈夫?怪我してない?」
「え、えぇっと...」
「―――ありがとう、ございます?」
そうして俺は、初めての人間と出会ったのであった。
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