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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
6章 最悪と最善の狭間の結末

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第09話 死と生の狭間

「えっ? ……織ねぇ?」


 俺の足は自然と駆け足になっていた、大量の赤い水が水たまりのように広がっていく。予知は変わったんじゃないの? どうして?


「嘘だよね織ねぇ」


 織ねぇの元にたどり着いた俺は倒れ伏す織ねぇの《《背》》に手を添えそっと起き上がらせる。


「いちち、しっぱいしちゃった」


「織ねぇ、どうして……」


「ごめん、れいちゃん、さすがに、だめっぽいわ、あはは」


 織ねぇの体は腰から下が鋭利な刃物で切断されたようになったいる、その切断面からは今も血が流れ腹からは中身が溢れている、誰がどう見ても致命傷だろう、まだ生きているのが不思議な状態だ。


 ただただ呆然とする俺に織ねぇは何かささやきかけてくるけどよく聞き取れない、そんな俺の元に「怜」と「怜さま!」という声と共に咲夜さんと楓それから星来さんが駆け寄ってきた。


 星来さんが呪文を唱えながら陰陽札を織ねぇと俺を囲むように展開する多分これは回復術だ、と言ってもこの状態の織ねぇにはあまり効果がないと思う、そんな事をぼーっと考えている俺に咲夜さんが俺と織ねぇに抱きつき神気で覆う、それによりほんの少しだけ織ねぇの死が遠のいた気がするけどこんなのでは全然駄目なんだ。


 俺は涙をボロボロと流しながら「お姉さま、織ねぇが、俺どうしたらいいか───」と自分でも何を言っているのかわからない状態となっている。


 そんな俺に向かって楓が俺の正面に回り目を見つめながら言葉を発する。


「怜さま、まだです! まだ今なら」


 そう言って俺の首元から服のなかに手をツッコみ小瓶を引っ張り出す、その小瓶を見て俺はそれが何か思い出した。


「あ、雫?」


「そうです、それを詩織様に───」


 俺は雫だけでは駄目だと直感のようなものを感じると同時に、どうすれば良いのかも自然と理解できていた。俺は周りを見回しそれを見つけた、俺は手を伸ばしそれである楓の持つ薙刀の刃部分に指を滑らせ切れた指から流れ出る血を口に含む、続けて小瓶の蓋を取り中の雫をすべて口に含む。


 そして咲夜さんと星来さんによって状態が保たれている織ねぇの顎を軽く上向きにする、そして半開き状態になっている織ねぇの唇に口づけした。俺は口に含んでいる血と雫と俺の中に残っている神気を少しずつこぼさないように織ねぇの口の中へ流し込んだ。


 織ねぇからコクリと液体を嚥下する音が聞こえたと感じ唇を放した。そこからは一瞬の出来事だった、織ねぇの上半身は背中を支えている俺の手から空中に浮き上がった、そして下半身も浮き上がったと思えばその姿が光に包まれた、そして光が薄れて消えたと思えば無傷の織ねぇがそこにはいた。


 空中からゆっくり降りてくる織ねぇをお姫様だっこのように両腕で受ける、こんな時になんだけど空から女の子がなんて言葉が頭に浮かんだのは仕方ないだろう。軽いなと感じながらそっと地面に下ろす、胸がゆっくりと上下していることから雫がちゃんと効いていてくれたようだ。


 俺は錬金術とかわからないけど、俺の血と神気が混ざりあった雫は元の雫とは違うものになったのだと思う、雫だけではこれほどの効果はなかったはずだ。


「お姉様、楓、星来さんありがとうございます、皆さんのお陰で織ねぇを助けることが出来ました」


 俺は立ち上がり深々と頭を下げる。


「もう怜は……、詩織さんの事でお礼を言う必要はないわよ、助けるなんて当たり前のことなんだからね」


 咲夜さんがそっと俺の抱きしめてくれた。


「そうですよ詩織さまは私にとっても仲間ですから」


 楓が俺の手を取り両手で包み込んだ。ドサクサに間切りて何してるんだろうとは思ったけど、嫌ではないので何も言わないでおく。


「あまりお役に立てた気はしませんが、助かってよかったです」


 星来さんが織ねぇの状況を確認して「うん」と頷く。


 そういえば女郎蜘蛛はどうなったのだろうかと視線を向けると、椿姫と茨木さんに朱天とお祖父ちゃんに幻夜さん達の攻撃には対処が追いつかなかったようで何本かの蜘蛛脚が消失している用に見える。


 刀矢くんと茜さんは未だに倒れている迦陵カリュウの見張っているようだ、黒い九尾は疲れたというように、いつの間にか倒れている千手姫の傍らでネコみたいに丸くなっている。


 そこで俺は第2の結界を何者かが超えてのを感じてそちらに目を向けた。俺の視線の先には空を飛ぶ黒い翼の人物を確認することが出来た、見た目から黒翼とでもよぼうか。


「皆さん、新手が来たようです警戒してください」


 俺の言葉に最初に反応したのは女郎蜘蛛だった、残った蜘蛛足で周りに毒液を振りまくとなりふり構わずといったように背後に跳躍し黒翼に合流を果たした。


 女郎蜘蛛と戦っていた面々も無理に追わずに俺たちの周りに移動し集まってくる、迦陵目を覚まし俺たちと敵対する気はないという事で合流してくる。千手姫はまだ倒れたままだけど、黒い九尾は立ち上がり黒翼を警戒するように身構えている。


「あぁ、我が主様申し訳ありませぬ」


 女郎蜘蛛は空から降りてきた黒翼の足元で頭を下げている。黒翼は女郎蜘蛛に何事か話しているようだがここまでその声は聞こえない。警戒しながら見ていると黒翼が自らの指から血を一滴女郎蜘蛛の伸ばした舌へ落とすのが見えた。


「主様お慈悲を頂き感謝いたします」


 見ているうちに女郎蜘蛛の傷は癒えていきボロボロだった着物さえも修復されたようだ。傷の癒えた女郎蜘蛛は立ち上がりこちらを睥睨してくる、そして黒翼は俺たちを一瞥した後に俺と寝かせたままの織ねぇに指差し女郎蜘蛛に何か語りかけている。


「ああ申し訳ありませぬ、柘榴の子は既にここにおらず、手駒さえも失ってしまいました、この責はこの命を持って償いまする」


 そういう女郎蜘蛛に黒翼はいつの間にか取り出したのか、あの黒い杭を手に持ちそして女郎蜘蛛の背中へと突き刺した。響き渡る女郎蜘蛛の叫びに耳を塞ぎながら様子をうかがっていると黒翼は俺を一度見た後背を向け飛び去っていった。


「フフフフ、チカラガタギリヨルワ、ワガイノチモエツキルマデ、アイテヲシテモラオウゾ」


 目からは血を流しながら女郎蜘蛛はその全身に妖気を滾らせ、そこら中にクモ糸を飛ばしそれを足場とするように飛び上がった。

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