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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
6章 最悪と最善の狭間の結末

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第02話 源頼光の血を引く者たち

 車はどこかの山道を進んでいる、案内板も何もない。ただ山の入口には鉄の門と私有地と書かれた看板があるのみだった。そして車が止まったので降りるとそこは少し広めの空き地のような場所だった、ここからは歩きらしい。みんな持ってきている荷物を背負い、人一人歩ける程度の山道を登っていく。


 何か結界らしきものが張ってある気がする、何も知らずに入り込むと迷うかいつの間にか入り口に戻るタイプのように感じる。体感的には数時間、実際のところは1時間ほどで目的地であるおじいちゃんの里に到着した。


 山の上から見えるその集落は田舎というよりも時代が飛んだような家屋がぽつりぽつりと存在する、武家屋敷を彷彿とさせる木造住宅。思った以上に家屋の数はあるようで50件くらいはあるように見える、そして一際大きい武家屋敷が最奥に見える。


 案の定おじいちゃんご実家はその一番大きい武家屋敷だった。


「おぉ、よくきなすったご一同、兄者も正月以来か」


「ああ、そうなるな」


 おじいちゃんと多分その弟さんがやり取りしている、いやねおじいちゃんがまともに会話することにびっくりだわ。


「おーい刀矢、それに茜こっちに来てくれ」


 弟さんの呼び声でわたしたちと同じくらいの年の男の子と女の子が屋敷の方から出てきた。


「この方たちの宿泊される客間に案内してあげてくれ」


「おっ、詩織に明海正月ぶりだな、他の方は初めまして俺は穏斬刀矢おにきりとうやだよろしくな」


「初めまして、私は穏斬茜おにきりあかねです刀矢ちゃんのお姉ちゃんですよ~」


 それぞれが自己紹介を済ます、刀矢くんが高校2年で茜さんは高校3年と言うことだった。話しながら宿泊先の部屋へ案内してもらう、荷物をおいたら着替えを持って村にある共同浴場に入ることになった、山道を歩いて来たから汗もかいてるから願ったり叶ったりとはこの事だろう。


 親睦を深めるために茜さんも一緒に入ることになった、刀矢君はお留守番。

 というわけで、色々と聞いてみた所、今この村には100人ほどが暮らしているらしい、それも大半がお年寄りなんだとか。では他の若い人たちはどうしているかというと、普通に山を降りて暮らしている。


 茜さんや刀矢君も普段は山の下の町で暮らしている、今は夏休みという事で村に戻ってきて、おじいちゃんの弟の幻夜さんに鍛えてもらっているとか、刀矢君は将来この村の村長になるみたい。


 はっきりいって時代錯誤とは思うし、こんな小さな村なんて捨てて下の町に移住したらいいのにと思うのだけど、そうもいかない事情があるとか、それは後ほど聞かせてもらえるみたいだ、お風呂に浸かりながらする話では無いってさ。


 お風呂をすまし、少し遅めのお昼ごはんを頂いた所で全員集められての話が始まった。


「わしがこの村の長をしている穏斬幻夜おにきりげんやだよろしく頼む」


 それを皮切りに俺と咲夜さん、桜さんと楓さんが自己紹介をする、織ねぇと明海ちゃんは既に馴染みなので自己紹介はなし。


「さて自己紹介も済んだ所で今回無理を言って来てもらった理由を話そうと思う」


 幻夜さんが居住まいを正して話し始める。


「既に知っている者もいるが新たに話しておこう、この村の成り立ちとこの村が守っているもの事を」


 そうして始まったお話を軽くまとめようと思う。

 まずこの村の成り立ちは源氏の源頼光みなもとのらいこうの庶子の一人が作ったと伝わっている。最初はその人が休むだけの小屋が1つあり、ここを拠点にアヤカシ退治特に鬼退治を生業とし諸国を旅していたようだ。


 男はアヤカシにより親をなくした孤児を引き取り、旅の途中で意気投合したアヤカシ狩りの女性と出会い夫婦となる、そんな感じでいつの間にか家屋が増え隠れ里となった。それが鬼斬の隠れ里の始まり。


 そして時は進みある時一人の鬼神がこの地に降り立った、その鬼神はあの鬼子母神の子供の一人だったようだ。鬼子母神とは自らの多くの子供のために人の子を捕まえて食べさせていたという、その後釈迦に諭され改心をし子供と安産の神になった由来を持つ神だ。


 そしてその鬼神と初代の血を継ぐ男が戦い鬼神に勝ったことにより鬼神を娶り子をなした、その子供の血の直系が今の穏斬家となり、おじいちゃんにも受け継がれそしてソレを今現在最も色濃く引いているのが、織ねぇと言うことだった。


 そして話は一旦休憩をはさみ俺たちが呼ばれた理由に移る。

 まず第一に、織ねぇの昇人の儀式をするため、昇人の義式とはこの地の奥にある山にて未だ住み続ける鬼神の血を戴き鬼人となるための儀式だ。


 そして第二にその鬼神、名前を紅姫くれないのひめというのだが、その紅姫から予言が1つもたらされた。それは今回の儀式を邪魔するものが現れるというものだった。俺たちはその妨害する者から儀式をそして織ねぇを守るために呼ばれたみたいだ、そしてその予言には何故か俺がキーとなっているらしいのだけど詳しくはわからないとの事だ。


 そして儀式は3日後行われる、ここ最近の嫌な予感はきっとこの事なのだろう、そんな不安の中で話は終わり夕食の時間という事でお開きとなった。

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