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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
5章 2年目、そして新入生

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閑話 ??? その3の3

「助かったよ、この子の名前は阿部星来あべせいら、今の阿部家当主の末娘でね私の所に頻繁に遊びに来る娘っ子さね」


 つまりはこの娘が行方不明になり心配でここまで出張ってきたってことだろうね、実際もう少し遅ければどうなっていたかわからないからね。しばらく周りを警戒しながら治療を見守る。治療が一段落した所で土蜘蛛の事を聞いてみる事にした。


「それで土蜘蛛の気配は辿れたの?」


「どうやらもうこの辺りには居ないようだよ、どうやら西の方へ向かったみたいさね」


「ええ、私も探ってみましたが葛の葉様と同じように思えました」


「それじゃあもうここは安全なんだね」


 椿が嬉しそうにしているけどどうなんだろうね。


「その事だけど少しの間は戻れないと思うさね、どうも奥にある洞窟にこの娘以外の者の死体がある感じさね、つまりしばらく阿部家預かりになると思うさね」


「そ、そんなー」


「そんな期待するような目で見てくるんじゃないさね、わかったわかった阿部家に話してなんとかしてもらうさね、操られていたとは言えあんたのお陰でこの娘が助かったわけさね、よし治療は一通り終わった事だし一度戻ってここは阿部家の任せるとするさね」


 葛の葉おばちゃんはそう言って立ちあがり、茨木姉さんが星来を抱き上げまた道なき道を戻り待たせていた車に乗り込んだ。車に乗り込むと葛の葉のおばちゃんが阿部家に連絡を済ませ結論が出たようだ。


「とりあえず阿部家があの里を調べている間は別の場所を用意するということだ、逃したモノ達を連れてそこでしばらくすごすといいさね、明日には用意するとのことさねそれまでにどうするか決めれば良いさね」


「お、おう、感謝します葛の葉様」


 神社についた所で椿は仲間を探しに行きますと出ていった、はじめ君は明日まで預かってもらう事になった。星来はまだ目を覚まさないようで今は社務所奥にある宿坊で寝かせている。


「改めて礼を言っておくよ、ありがとうさね」


「別に礼なんて良いよボクと葛の葉おばちゃんの仲だし、肝心の土蜘蛛もいなかったし大して役に立ったわけでもないからね」


「それであんた達はこの後どうするのさね」


「そうだね、ボクと茨木姉さんで土蜘蛛を追ってみるよ、葛の葉おばちゃんは西に行ったと言ったけどボクの感だと東に向かった気がするんだよね」


 そんな話をしていると隣の部屋から星来が起きる気配を感じた、目を覚ましたようだ、続いてふすまが開かれそこには膝たちの姿勢で襖を開けた星来の姿が見えた。星来は膝たちから正座になるとこちらに向かい三指をついて頭を下げる。


「この度は助けて頂きありがとうございます」


「まだ寝ていれば良いものを、傷は治っても流した血はすぐには戻らないからね、それと星来そういうのは良いからこちらにきて座りなさいな」


「はい、失礼致します」


 なんかすごく礼儀正しい子とでも言えば良いのだろうか、今は白い狩衣を着て烏帽子は被っていない、胸元あたりまである黒髪は一房ずつ前に垂れている。


「貴方様にお願いがあります、わたくしも土蜘蛛退治の旅に同行させていただけないでしょうか」


「えーっと、葛の葉おばちゃん?」


「はぁ、まあそう言うだろうとは思ってたさね、どうするかはあんたに任せるさね」


「茨木姉さん的にはどう思う」


「姫のお望みのままに」


「はは、そう言うと思ったよ、そうだね別にいいよ、と言ってもまずは君のご両親に許可をとってからだね」


「そうだね、星来はまず両親の説得をしてくるさね、ついていく云々はそれからさね、学校をどうするかも含めて一度家に帰るといいさね、表に車は待たせてあるからソレをつかうといいさね」


「分かりました、葛の葉様の仰る通り両親に願い出て来ます」


「そうだね、3日は待っているよ、3日すぎたらボク達は先に行くから」


「はい、3日以内に再びここでお会い致しましょう、葛の葉様それではわたくしはお暇させていただきます」


 そう言うと再び頭を深く下げたのち立ち上がり社務所から出ていった。


「さてと、あんた達はあの子が戻るまで好きにしておくといいさね」


「葛の葉おばちゃんはあの子が3日以内に来ると思ってる?」


「来るだろうさね、一度言い出したら聞かない娘だし今回はあの子以外全滅だから、色々思う所もあるだろうさね、さて私は阿部家に色々と連絡してくるさね」


「わかったボクと茨木姉さんは3日ほどここでゆっくりさせてもらうよ」


「好きにするといいさね、ご飯と寝床と風呂は用意させるさね」


「ん、ありがとう」


 葛の葉のおばちゃんが社務所から出ていった後ボクは畳の上に寝転がる。多分土蜘蛛は西に逃げると見せかけて東へ向かった、と思う。東に向かうならそろそろ母さんの実家に行くのも良いかもね。


 それから3日の間にあった事は、椿が火女蜘蛛の里のモノを連れてきてはじめと一緒に出ていったくらいだろうか。その間は土蜘蛛の痕跡を探したり移動ルートを探したり過ごした。それで決まったことと言えば、西方面は阿部家が担当する事になり東は葛の葉おばちゃんに一任、つまりはボク達に任されることとなった。


「さてそれじゃあ行くとしますか、葛の葉おばちゃん世話になったね、また来るよ」


「はいはいいつでも戻っておいで、それでは気をつけて行きな星来のことは任せたさね」


「任された、それじゃ茨木姉さん、星来行くよ」


「はい、どこまでもお供します」


「よろしくお願い致します」


 半妖のボク、アヤカシの茨木姉さん、そして人間の星来との3人旅、なんだか面白いメンツが揃ったものだね。こうしてボク達は土蜘蛛を追って旅立つのであった。

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