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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
5章 2年目、そして新入生

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閑話 ??? その3の2

「それで結局こいつらなんだったの」


「さっき蜘蛛が大繁殖してるといったわよね、その辺りを根城にしている火女蜘蛛一族のモノさね」


「この男もそうなのかな」


「そっちの男は見たこと無いね、人間に見えるという事は火女蜘蛛一族の子供さね」


「ふーん、……じゃあ埋めとく?」


 そうボクが少し凄んだ声でいうと、気絶しているはずの男が一瞬ビクリと震えるのがわかった、やっぱり気がついていたようだ。


「そうだね、気絶している間に埋めてしまおうさね」


「それでは生きたまま埋めるのは可愛そうですし、一思いに息の根を止めましょうか」


「ま、ままままってくれ、こ、殺さないでくれ」


 本当に殺されるとでも思ったのか鎖でぐるぐる巻きにされた男が起き上がり頭を下げた。


「気がついてるならさっさと起きなよ、事情を聴きたいからさ、話してくれるさね?」


「お、おう、殺さないでくれるなら何でも聞いてくれ」


「そう? あなた何者? 何が目的でここに? 椿とはどういう関係?」


 葛の葉おばちゃんがまくし立てるように質問している。


「俺は、その母ちゃんの息子です」


 ん?


「だ、だからそこで気絶してる人が俺の母ちゃんなんだよ」


「椿いつの間にこんな大きな子供を……はぁ、つまりはあんたは母親が心配で後をつけてきてたって事さね」


「そうだよ、最近母ちゃんの様子がおかしかったから心配だったんだよ」


「あー確かになにかに操られている感じだったかな、正気でもなかったようだし」


「そうかい、事情は分かったよ、鎖はといて上げるから暴れるんじゃないさね」


「わかった」


 茨木姉さんが男を鎖から開放すると、男はまだ気絶している椿の側の寄った。


「ちなみに名前は何ていうんだい」


「あ、俺は糸繰一いとくりはじめと言います13歳です」


「うぇ、13歳? もっと上だと思ってたよ」


 13歳に……見えなくはないか? 服装が椿に似てパンクというか、髪は赤と青のツートンで、上はTシャツ下はボロボロのジーパン、身長が180近くあるんじゃないかな、そんなのだから大学生くらいに見えたが、言われてみると若くも見える、でも中学生というのは詐欺ではないだろうか。


 そんな事を考えていると椿が目を覚ましたようだ。


「母ちゃん!」


「うっ、はじめ? 痛い、ここどこ、何があったの……え、葛の葉のババア?」


 状況がわかってないようだけど、命知らずなことをつぶやいている。


「ほう、椿は命が要らないようさね」


「えっ、あっ、いや、え? 本物?」


「本物だと悪いのかい」


「いえ、そんな……ごめんなさい」


「はあ、まあいいよ、それより椿は状況を理解しているさね」


「状況は、あーそう、それだ土蜘蛛が私らの里をめちゃくちゃにしやがったんだよ、里のみんなを逃してあーしも逃げようとしたんだけど、そこから記憶がない」


「土蜘蛛が現れたってのは本当かね、土蜘蛛はあんたの里を拠点としてるって事かね。さてどうしたものかね、とりあえず阿部家にでも連絡しておこうさね」


 そう言って少し席を外すと言って葛の葉おばちゃんが部屋を出ていった。


「あーとりあえず暴れる気がないなら鎖外すけどどうする?」


「暴れない暴れない、だから外してくれ」


 茨木の姉さんに視線を向けると1つ頷いて椿の鎖を外した。そしてバタバタと忙しなく葛の葉おばちゃんが戻ってきた。


「あんた達出かけるよ、椿は里に案内しなさいな」


「葛の葉おばちゃん何があったの?」


「車を今用意させてるから話は移動しながらするよ」


 それから急いで全員車に乗り込むと移動を始める、ちなみにはじめくんは強制的にお留守番となった。


 さて何があったのかということだけど、聞いた話をまとめるとどうやら根茎の件で対処に動いていた阿部の者からの連絡が途絶えたようだ、その中には阿部家の者もいて葛の葉おばちゃんの知っている娘らしい、それで心配になった葛の葉おばちゃんがボク達を巻き込む形で連れてきたというわけだ。


 車で十数分どこかの山の麓で車を降り園から道なき道を椿の後についていくとそこに小さな集落があった。


「ここがあーしらの里だよ、今は誰も居ないけどね」


「そのようだね、少し待ちな土蜘蛛の気配を探るさね」


 葛の葉おばちゃんが土蜘蛛の気配を探っている間ボク達は茨木姉さんを護衛に残し椿を辺りを探ることにした。


「なあ、あんた葛の葉のばばあのなんなの?」


「ん? 何って言われても一時期預けられてた関係かな、大体100年ほど前になるけどね」


「100年ってあんたあーしより年上かよそれもかなり」


「はっはっは、お姉ちゃんといても良いんだよ」


「言わねーよ、見た目はあーしのほうがどう見ても年上だし」


 そんな他愛ない話をして里を回っていると一件の家から人の気配がした、椿は気が付いてないようで通り過ぎようとしたので引き止める。ボクは特に気配を消したりせずにそのまま家の中に踏み込む、そこには血濡れの少女が一人壁に背を預けるように倒れ伏していた。


「君大丈夫?」


「うぐぅ、だれ」


 傷はひどいが意識はあるようだ、着ている狩衣は所々避けたり破れたりしていて血で赤く染まっている部分もある、このまま放っていくと出血で死ぬかもしれない。


「君は阿部家の関係者で良いのかな、ボクは葛の葉の関係者だよ」


 ボクはそう言って少女に近づく、特に罠というわけでもなさそうだ。


「くずの、は様の、ここは、きけん」


「わかってるよ、すぐ葛の葉の所に連れて行くから抱き上げるよ、椿一旦戻るよ」


「お、おう、周りの警戒はあーしがするわ」


 ボクは少女を抱き上げ、傷が開かないように丁寧に葛の葉おばちゃんのもとへ戻る。少女を見た葛の葉おばちゃんが少し取り乱したけど早々に治療を始める。しばらくすると少女は体力が尽きたのか寝息が聞こえてくる。



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