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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
5章 2年目、そして新入生

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第03話 神生成り 神宿りし髪 雫

 一度仕切り直しするようにみんなのお茶を入れ直す。


「では話を聞きましょうか」


「はい、まずはこの学院に来た経緯からですが───」


 そして話し始めた斉穏寺楓さんの話をまとめるとこんな感じになる。

 楓さんは一般家庭に生まれた、出生後病院で何日か過ごし退院となり家へと帰宅途中の車がアヤカシに襲われて事故を起こした。


 事故で両親は亡くなり楓さんはしばらく病院で過ごすことになる。両親は親戚付き合いもなく、お互いの両親とは死別していた事から引き取り手がいなかった。そんな折病院に一人は常駐していて病院で発生する陰気などを祓う仕事をしている人物が楓さんの目の事に気づいて養子として引き取ったそうだ。


 それが斉穏寺家で斉穏寺と言うお寺の住職だった、奥さんは元々体が弱く子供が産めない身だった事から揉めることもなく引き取られ、我が子のように可愛がられて育った。引き取られた家も良かったみたいで斉穏寺は寺社関係の隠匿の結界術に精通していて楓さんの目を隠すのにうってつけだったようだ。


 霊視過敏症と言う病気は直ぐに判明して対処法を探したけど、目に集中的に力が使われているので、他のことに力を使うようにしたら良いという話になり色々試したそうだ、その1つが真咲流の道場だったようでそこで同じ年齢である真咲桜さんと出会いを果たした。


 色々と試した結果はどうにもならなかったようだけど、それ以降も真咲流の道場には通っていた。陰陽系の人に相談した所昔からある病気だというのがわかり、霊視遮断の術式が掛けられたメガネをする事で外部からは分からなくなり、見る方も抑えられる様になった。


 それでも成長をするにつれ少しずつ見る力が強まって来た、そんなおり大厄災が近づいている報告が入った。それ関係で養父が仏に祈祷した所目の能力を安定させ使いこなす方法の助言をお教えくださったとの事らしい。


 その内容は、「神生成り、神宿りし髪、雫」と言う内容だったと、そして近年稀に見る神気持ちと裏の世界で噂されている俺の事を知り、一縷の望みを持ってこの学院へ入学を果たした。神樹女学院は寺社系の授業がないので普通は寺社関係者は入らないのだけど、実は別に拒んでいるわけではないので入学はできたようだ。最後の面接でその事を聞かれたが正直に話した結果入学が認められたみたい。


 真咲桜さんは、そんな斉穏寺楓さんを心配して親を説得し付いてきたと言う事になる。そこで話は終わり再び俺に視線が集中することになった、いやそんなに見つめられても俺にはどうしようもないのだけど。


 神生成り、確かに俺の状況にピッタリなのかな、そして神宿りし髪とは俺の髪の事とも思える、そして雫が一番分からない別に俺の髪を濡らして雫を垂らしても何もないと思うのだけど。


 ガラガラと生徒会室の扉が唐突に開いた「話は聞かせてもらった」と言いながらマリナさんが入ってくる……あれ? いつの間に出ていっていたのだろうか。


「えと、マリナさんはいつの間に外へ出ていかれたのですか」


 室内のみんなが顔を見合わせて疑問を思ったのか、代表として結衣さんが声をかけた。


「いま来た所ですが……影が薄いのは自覚していますが流石にひどい」


 そっと目線だけでお湯呑の数を数えてみたら確かにひとつ少ない、マリナさんの分が足りない。こっそり明海ちゃんに目配せして何気ない感じで空いている席にお湯呑を用意してお茶を入れる。いじけたように座り込みのの字を書いているマリナさんには気づかれていないはずだ。


 誰か声を掛けなさいよと言う無言のやり取りに根負けした俺が声をかける。


「あのマリナさんとりあえず座りましょうか」


 手を差し出すと掴んできたので立たせて空いている席に座ってもらう。一口お茶を飲んで落ち着いてもらった所で声をかけてみる。


「その、マリナさんはどこから話を聞いていたのですか?」


「彼女が自分語りを初めて所から聞いていた、入るに入れなくなった」


 マリナさん言い方ー、自分語りとか言わないであげて、楓さんが居た堪れない顔をしてるから。みなの非難の視線に気づいたのか「こほん」と咳払いをする。


「先程の、かん生成り、かみ宿りし髪、雫、に心当たりがある」


 そう言って、胸元から紐に吊るされた小瓶を取り出して机の上に置いた。


「まずは神生成りと言うのは怜さんと咲夜さんの事、次に神宿りし髪はこれの材料が怜さんと咲夜さんの神気の残った抜け毛を使っている、最後に雫はこの小瓶の液体の事」


「なんか聞き捨てなら無い単語が各所に見受けられるのですが、確かに抜け毛なら好きにしていいとは言った気がしますがクスリの材料にするとは聞いてませんよ」


 ジト目で問いただすも目を逸らされた上に俺の問なんて無かったように話し始める。


「この小瓶に入っている液体が雫、ユグドラシルの雫もしくは世界樹の雫や宇宙樹の雫とも言われている物」


 俺にはピンとこないが、何人かは驚いた表情をしている。材料が俺と咲夜さんの抜け毛の時点でありがたみは無いのだけど。


「わかっていない人もいるけど、これは万能薬でありとあらゆる病を治すとも死者すら蘇らすとも言われているもの、死者に使った事ないから本当かは知らない、だけど彼女の目には有効……のはず」


「その、それを私に頂けると言う事でしょうか?」


「うん、多分あなたに渡すために出来たものだと思う、だけどいくつか条件がある」


「条件ですか、私にできることなら何でもさせていただきます」


「そう? 条件は──」

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