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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
5章 2年目、そして新入生

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第02話 二人の新入生

 養護教諭と共に保健室のベッドに少女を寝かせた後、俺達は保健室から外に出た後、朱天は依代に入り込んだ。ちなみに寝かせる前に濡れてしまった下着とスカートはちゃんと養護教諭が着替えさせましたよ、俺と朱天はノータッチです。


「朱天、霊視過敏症って何か教えてくれる?」


(ふむ、まあ簡単に言うと見えすぎるという事だの)


「見えすぎる……ね、つまりは人化している朱天の正体が見えてしまったって事か」


(付け加えるなら、わしの力にあの娘が付けていた靉靆あいたいが耐えられなくなって壊れてしまったようでの、そのせいであの娘にわしの隠していた力と姿が見えてしまったと言う事だの)


「それにしてもなんで私を見てあの子は気絶しちゃったの? 白目とかこっちが怖かったんだけど、見えるって言っても私のは神気だし怖がる必要ないと思わない?」


(クカカカカ、主殿あるじどのは自身の神気濃度がわかっておらぬからの、あの娘からすると主殿の神気は直接神と相対するのと変わらなかったのではないかの、ある程度見える程度では主殿の神気の濃度まではわからぬからの、あの娘の見えてしまう力は相当のものであろうの)


「その見えすぎるっていうのは、朱天が渡したメガネでどうにかなるものなのかな」


(かなり頑丈に作ったからの、神の力に触れても壊れることはなかろう、古い知人に同じ症状の者がいての、その時に作った物と同等のものだしの)


「へぇー、同じ症状の人がいたんだ、その霊視過敏症だっけ? その人は治すことが出来たの?」


(そやつは結局治らなくての、更に酷くなり最後は自ら両目をえぐり出しよったわ)


「それってあの子は大丈夫なのかな」


(さてなわからぬ、わしが知らぬだけで治療法があるのかも知れぬし、進行を止める方法があるのかもしれぬしの)


 タッタッタッタと駆けてくる足音が聞こえそちらに顔を向けると、先程の少女が走ってくる、着替えを持ってきたようだ。


「あの子なら中にいるよ、養護教諭もいるから着替えさせて上げなさい、それが終わったら少し話を聞きたいから生徒会室まで来てもらえるかな」


「えっと、はいわかりました、ありがとうございます」


 少女は一度頭を下げて保健室に入っていった。それを見送り俺は生徒会室に戻るため歩き出す。階段の踊り場からグラウンドを見てみると人っ子一人見当たらないので織ねぇと明海ちゃんがなんとか解散させたのだろう。


 生徒会室に入ると咲夜さんも戻ってきていたようで全員勢ぞろいしている。


「お姉さま入学式お疲れ様です、大丈夫でしたか?」


「ほとんど見ているだけだったから特に疲れていないし大丈夫よ、それよりあなたの方は大丈夫だったかしら」


 グラウンドであった事を聞いたのだろう、心配そうに咲夜さんが言ってきた。


「一応経緯は話しておいたよ」


 織ねぇが説明してくれたみたいだけど、あの子が漏らした事も言ったのだろうか。まあいいか、倒れた本人は保健室に寝かせているので、着替えを持っていった子が事情は知っているみたいで生徒会室に呼んだと言っておく。


「それでは今のうちにお茶の用意でもしておきますね」


「明海ちゃん私も手伝うよ」


 明海ちゃんと一緒に休憩室に向かいお茶の用意をして戻ると丁度生徒会室の扉がノックされた。織ねぇが美玲さんを一度見た後に1つうなずくと代表する形で「入ってきていいよ」と答える。そして「失礼します」という声と共に扉が開くと女の子が二人入ってきた。


 一人は着替えを持ってきた子、もう一人はあの気絶した子だった。二人は手をつなぎ着替えの子が気絶の子をひっぱる形で向かってきている、気絶の子は少し申し訳ないような情けなさそうな表情を浮かべている。


「いらっしゃい、まずはおすわりになっとぉくれやす」


 二人共美鈴さんの京言葉に戸惑うこともなく「失礼します」とソファーに座り込んだ、これは普段からそちら方面の言葉を聞き慣れているということだろうか、大体の人は美鈴さんの京言葉に一瞬だとしても反応するのだけどね。


 とりあえず俺と明海ちゃんはお茶を、自分たち二人分を除いてそれぞれ座っている所に置いて回る。


「怜ちゃんは先に座っててください、私達のカップを持ってきますので」


 そう言って明海ちゃんは休憩室へ向かいカップを2つ持って戻ってきて、俺の前に置いてくれたのでお礼を言って一口くちに含む、うんいつも通り美味しい。


「さて、まずは自己紹介をしよか、うちは高等部生徒会長をしてる藤川美玲どす、よろしゅうおたのもうします」


「「よろしくお願いします」」


 この様に始まった自己紹介も終わり、次は1年生二人組の番になった。まずは着替えを持ってきた子から。


「私は真咲桜しんざきさくらです、真咲流槍術宗家の娘です」


「真咲流と言えば関西では槍だと有名な流派だったよね、どうしてわざわざ関東のこの学校へ来たのかな」


「それは……」


「詩織さんその辺りの話はまた後ほどお願いします、今回の本題はそちらではないですし」


「結衣さんごめんなさい、先走ってしまったね」


 結衣さんに窘められ織ねぇが引き下がる。そして気絶の子が促されて自己紹介。


「私は斉穏寺楓さいおんじかえで、です、今回はご迷惑をおかけしてすみませんでした、あとこのメガネもありがとうございます」


 メガネの辺りで俺に視線が集まる、朱天をご所望と言う所だろうか。


「朱天ですね、朱天出てきていいですよ」


「ふむ、娘は目を覚ましたようだな」


 朱天の出現に一瞬びくりと肩を震わせた二人だけど、再度朱天に向かって頭を下げ謝罪をしている。


「気にするでない、わしはなんとも思うておらぬ、ただわしの正体に感しては他のものに内密での」


「「はい」」


 挨拶も済んだ所で本題に入る。今回二人をと言うよりも元は桜さんだけを呼んで事情を聞き、後日二人を生徒会にスカウトするつもりだったのだけど丁度二人で来たのでここで勧誘をすることにしたみたいだ。


「単刀直入に、真咲さん斉穏寺さんお二人には生徒会に入っていただこうかと思います」


「えっと、私達二人がですか?」


「桜ちゃんはともかくとして、私は、その、見る事しかできないのですが」


「言いたい事はわかります、見た感じ斉穏寺はんはその目に力のほぼ全てを使うてるようさかいね」


「あの、生徒会に入る入らないの前に私達の、いえ私の事情を聞いていただけませんか、私と桜ちゃんが関西からこの関東の学院に来た訳を……」


 なぜか斉穏寺さんは俺を見てそう言ってきた、えっなんで俺なの?

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