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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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閑話 ??? その2

「ふっ!」


 ボクの一撃がアヤカシをふっとばす。


「おじいさん大丈夫?」


「おおう、じょうちゃん助かったわい」


 琵琶湖についた時に山の方向から変な気配を感じた、その方向へ向かうと山を丸々囲うように作られたアヤカシの領域を見つけた。閉じられていたその領域をこじ開け潜り込むと、目の前の坊主姿のおじいちゃんが一人でアヤカシと戦っていたんだ。


「おじいちゃん、なんでこんな事になっているの」


「はて? よく覚えておらんの」


「そうなの? まあ良いやとりあえずコイツラ倒しても良いんだよね」


「そうしてくれると助かるの」


「あのでっかいのもいいんだよね」


「良いがじょうちゃんは大丈夫かの、あれでも由来持ちのアヤカシじゃぞ」


「へぇそうなんだ、なおさら面白そうだね、じゃああれはボクが貰うね」


「無理はせぬようにな」


「うんわかってる、姉さんはここでおじいちゃんのサポートをしてあげて」


「承りました、姫もお気をつけて」


 ボクは雷の模様の付いた手斧の雷太(ボク命名)を手に持ち、山に巻き付いているのオオムカデへと駆ける。オオムカデはこちらに気づいたのか蛇のように鎌首をもたげてこちらを睥睨してくる、ギチギチと無数の足が鳴らす気持ちの悪い音がそこらじゅうから聞こえる。


 オオムカデがボクを獲物と定めたのか、その顎でボクを噛み砕こうと向かってくる。ボクは雷太に力を注ぎ込み雷をまとわせる、まずは小手調べだ。


「貫け雷太!」


 まっすぐとこちらへ向かってくるオオムカデへ向けて雷太を投げる、オオムカデは向かってくる雷太など気にもせずそのまま受け雷太を弾き飛ばす。


「おいで雷太」


 弾き飛ばされた雷太に手をのばすと、雷太はブーメランのようにボクの手元に戻ってきた。あのオオムカデずいぶんと硬い、オオムカデの突撃をかわしつつ触覚に攻撃をするもこれも弾かれた。


 しばらく攻防が続く、オオムカデの攻撃が今の所突進しか無いのでなんとかなっている、時には外殻に登り隙間を攻撃しようとしてもそこも硬くて通じなかった。


「むー、こいつ硬すぎ、えっとオオムカデって弱点何だったかな」


 右へ左へ避け攻撃を加えながら考えるが思い出せない、姉さんと勉強したのにな。


「姫おまたせしました」


 考え事をしていたせいか、いつの間にか姉さんが近くに来ていた。


「姉さん良い所に、こいつの弱点ってなんだったかなと思ってさ」


「オオムカデですね、このアヤカシの弱点は人間の唾ですね、そういうわけでこちらをどうぞ、あのご老人の唾を塗り込んだ破魔矢です」


「さすが姉さん準備バッチリだね」


「それよりも姫はお勉強のやり直しをしたほうが良さそうですね」


「うへぇ、やっぱりやらなきゃ駄目?」


「駄目です、最初から弱点がわかっていればこの程度のアヤカシすぐに倒せたのですからね」


 ギチギチと怒りを表すように顎を動かす音が聞こえる、ボクと姉さんがオオムカデの突進をいなしつつ会話をしていたのが気に入らなかったようだ。ボクは姉さんから破魔矢を受け取りオオムカデと向かい合う、はっきり言ってこいつは硬いだけで強くない。


 攻撃は突進だけだし下手にサイズがデカイから僕らに巻き付いたりも出来ない、流石に攻撃を喰らえばただではすまないだろうけど、まさしく当たらなければどうということはないだよ。


「さてと、じゃあ行くよ」


「お手伝いします」


 ボクと姉さんはオオムカデの頭へと駆け出す、オオムカデは警戒しているのか、鎌首をもたげ左右に体を揺らしている。姉さんが分銅鎖を振りかぶりオオムカデに投げる、それが当たったオオムカデは衝撃のためか仰け反り身悶える、外殻など関係なく衝撃が中まで浸透したのだろう痛そうだ。


 オオムカデは一度仰け反ったためにボクを見失ったはず、ボクはその隙きにオオムカデの体を利用して空高く飛び上がる、再び姉さんの分銅鎖が当たったのか再び仰け反る、仰け反った所で上空から落ち始めたボクと目が合った、ギチギチと顎が高速に動いている。


 そのままボクを噛み砕こうと伸び上がろうとするも、姉さんが分銅鎖を巻き付けそれを阻んでいるのが見える。ボクは空を蹴り下方へ加速し、手に持つ破魔矢を振りかぶりオオムカデの眉間へ投げ込む、それが額を貫いたのを確認したボクは破魔矢に向け蹴りを放つ。


 破魔矢に当たったボクの蹴りは破魔矢ごとオオムカデの体を貫いた、破魔矢を中心に左右に割れたオオムカデは大きな音を立てて倒れると黒い粒子となり消えていく。それを眺めているとおじいちゃんがこちらに向かってくるのが見えた。


「おじいちゃん大丈夫だった?」


「おおう、わしは大丈夫じゃよ、おじょうちゃんには助けられたの」


「いいよいいよ、悪いアヤカシ退治はボクの趣味みたいなものだしね」


「そうか、ふむならこれを持っていくがええ」


 おじいちゃんが懐から1つの鈴を取り出しボクに渡してくれた。


「この鈴は?」


 振っても音がならないみたいだ。


「それを身につけておればわしの仲間が何かと手を貸してくれるであろうよ、それもおじょうちゃん達の素性を聞くことなくな」


「あーやっぱりわかっちゃった」


「これでも相応に長生きしておるでな、何かあればそれを活用しなされ、必要ないかも知れぬし助けになるかも知れぬ」


「そう、なら貰っておくよ、ありがとうねおじいちゃん」


 ボクは雷太の持ち手にそれをくくりつける、数度雷太を振ってみても邪魔にならないことを確認して腰に戻す。


「それじゃあボク達は行くね、おじいちゃんも元気でね」


「おじょうちゃん達も息災でな」


 一期一会の出会いは旅の醍醐味だね、おじいちゃんに別れを告げ姉さんと山を降りる。あー動いたからかお腹すいた、ここって何が名物なのかな。


「姉さんお腹すいたからご飯にしようよ」


「そうですね、ここなら近江牛でしょうかもしくは鮒ずしか鴨鍋辺りも名物みたいですね」


「あぁーお肉って聞いたらもうお肉しか思い浮かばないよ、お肉お肉食べよう」


「わかりました、ではお店を探しますね」


 姉さんがスマホで近場の美味しい店を探しているのを横目に見ながら見えてきた琵琶湖を眺める、さてと次はどこへ行こうかな京都方面は面倒くさい事になるから却下としてこのまま西へ行こうか。まだまだ続けるつもりの旅の事を考えながら、ボクは春の温かい日差しを浴び伸びをした。

これにて第一部完結となります。

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