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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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閑話 源乃明海

 お正月をおじいちゃんの実家ですごした後に、比売神家本家で新年会を迎えた。その後は各自家へ帰るのだけど、家についた所で母さんに呼び出された。


 そしてすごく怒られた、私はただ怜ちゃんの漫画を貸してあげただけなのに解せない。一緒にいた姉さんがお腹を抱えて爆笑している。


「あははははは、キスで、あはは、妊娠する、ふふふ怜ちゃんってやっぱり面白い子よね、くふふふふ、それも女の子同士だなんて、あははははは」


 貸した本の内容は普通の漫画なのにちょっと女の子と女の子がイチャイチャしたり、抱き合ったり、キスしたり、一緒にお風呂に入ったり、一緒のベッドで裸で寝たりするだけのすごく健全な内容の本なのに怒られるなんて理不尽だと思う、そうでしょ?


「ちなみにあけちゃんどんな本なの? 母さんにも見せてくれないかな」


 そんなキラキラした目で言われたら拒否できない、仕方がないので部屋に置いてある布教用のを母さんに渡した。しばらく「ほうほう」やら「ふむふむ」やら真剣な表情をして読んでいる、そのうち「あらあらまあまあ」とか「うふふふいいわー」やら「キマシ」とか言いはじめ表情がゆるゆるになっている。


 こんな母さん見たこと無くてすごく戸惑っていると姉さんが肩に手をおいて、ふるふると首を振って来る、多分処置なしと言う事だと思う。もう一度母さんらしき人に目をやってみる、この人は一体だれなのだろうか。


「こほん、ねえ明ちゃん他にはないの?」


 本当にこの人はいつもキリッとしていて神樹女学院の学院長をしている母さんなのだろうか、見た目はそうなのだけど……。いやここは身近に同士が出来たことを喜ぶべき? とりあえずさっきのとは別の秘蔵の一品と種類の違う商業のを合わせて何冊か取ってきて渡した。


 しばらく母さんが本をめくる音だけが聞こえる、姉さんも適当に一冊手に取りパラパラと読み始めたけどすぐに閉じて首を振ると「お風呂入ってくる」と部屋を出て行った。


 途中トイレに行ったりお茶を飲んだりして母さんが読み終わるのを待つ。姉さんが「お風呂上がったよ、明海も入っておいで」と声をかけてくれたので母さんを置いてお風呂を済ます。


 部屋に戻ると母さんが本を2種類に分けている。その分け方を見て私はここが私と母さんとの分水嶺なのだとわかった、この選択によって私と母さんの今後が決まると言っても良いかもしれない、ええ選択によっては戦争も辞さない。


「明ちゃん、あなたはどっち派なのかな?」


 私は自然にゴクリとつばを飲み込んでいた。そして私は並べられた2種類のうち一方を選び指さした。


「私はこっち派」


「そう……そうなのね、流石は私の娘だわ、わかっているじゃない」


 手を組みキラキラと輝く瞳で私を見てくる。


「そうなのよ私たちは自分がその中に入るのではなくてそっと見守るべきなのよだから尊いのであって自分がその中に入るなんて以ての外よだからそっちのは駄目なの明けちゃんもわかっているようにねだから良いという人もいるけど大人もいけないわ愛欲方向は駄目やっぱり少女と少女の愛とも恋とも取れない淡い関係が美しいのよわかるわかるわよね──────」


 急に早口で語り始める母さんの様子にちょっと引いてしまう、なんとなく言いたい事はわかるけど。


「ね、明ちゃんもそうでしょ」


 やっと終わったようけど、殆ど聞いていなかった。


「う、うん、私もそう思おうよ」


「うんうん、そうよねだから怜ちゃんと咲夜ちゃんに手を出すのは駄目よ、見守るだけにしておきなさい」


 そういう話だったかな? もう考えるのはやめよう、なんか疲れた。


「わかってるそうするよ」


「わかってるならもう良いわよ」


 私は本を一通り集めて自分の部屋に戻ることにした。


「あっ、そうそうこれの続き持ってきてね」


 そう言って母さんが何冊かの本を指さした。


「うん持って来るよ……」


 疲れている所に追い打ちをかけられて更に疲れがどっと来た、そっと1つため息を付くと私は本を抱えて自分の部屋へ戻った。

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