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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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第10話 1年を振り返ろう

 バレンタインが終わり、後期期末テストも終わって残す今年度のイベントは卒業式を残すのみとなった。

 卒業式は外部からも卒業生の両親などが来るので他の学生は基本的に寮から出ないようになっている。なのでお別れは卒業式の前日までにそれぞれがそれぞれの形で済ませているようだ。


 学院内ではチラホラと泣いている生徒を見かけるが、みんな見てみないふりをするのが暗黙の了解だ。卒業しても指輪はそのまま持っていって良いので姉妹の繋がりは切れることはない、うちの望姉さんとアリアさんのように卒業した後でも関係を続けている人も多い事からあっけらかんとしている人の方が多いかもしれない。


 現生徒会役員の俺たちは、前生徒会役員の御雷先輩と百地先輩に卒業おめでとうございますと伝え、少し早いけど花束を渡して別れを済ます。生徒会役員は在校生代表として卒業式には参加はするんだけどね、その後は卒業生は各自迎えに来た車にそのまま乗って外部の貸し切られたホテルへ移動して卒業パーティーをする事になっていて直接花束を渡したりする機会は今しかないんだよ。


「御雷さん、百地さん、ご卒業おめでとうございます」


 俺たちを代表して新高等部生徒会会長の美玲さんがあいさつをする。


「美玲くんありがとう、みなも感謝する、君たちを過ごした日々はきっと忘れない、特に夏の出来事はね」


「皆も元気で」


 夏の鬼ヶ島での戦いが思い出される。


「大厄災の時が徐々に近づいている、今後は学院の生徒も外へ駆り出される事が増えるかもしれない、それは君たちも同様だろう、また同じ戦場に立つことも有るだろうその時はよろしく頼むよ」


 それぞれが別れの言葉を告げそれを受けて御雷さんと百地さんは寮へ戻っていた、この学院で直接顔を合わすのはこれで最後だろう。



 卒業式もつつがなく終わり、俺たちは普段の生活に戻る。少しだけ人数の減った寮では寂しそうにしている上級生がちらほら見えていたが、それも日が立つにつれ見かけなくなっていった。


 ちなみに中等部に卒業式なんてものは無い、普通に進学するだけだし中等部3年から高等部に進学する事で変わる物と言えば制服が変わるだけだろうか。


 そして春休みなのだけど基本的に学院で過ごす事になる、特別な用事がある生徒は外部に行くのだけどそうでもなければ半自習のような授業が有る、出ても出なくても良いようだけど。


 そしてこの春休み中に寮の移動が始まる、申請をした人を4つの寮の寮監がまとめた後に振り分けて部屋を決める。俺と咲夜さんは申請通り同室となった、一方明海ちゃんは今までの部屋を一人で使うことになる。


「ごめんね明海ちゃん一人にしちゃって」


「大丈夫だよ私の事は気にしないで、それに怜ちゃんと咲夜さんの部屋お隣だから」


 そうなんだ俺と咲夜さんの部屋は今まで明海ちゃんと使っていた部屋のお隣に決まっていた、このあたりなにがしかの配慮があったのかもしれないけど、文句はないし都合がいいので問題ない。早速明海ちゃんに手伝ってもらって部屋移動に勤しむ、俺の場合は荷物自体はそんなにないので時間はかからなかった、今年は告白ブームがあったせいか部屋移動する生徒が多かったようだ。


「お姉さま今日から一緒の部屋ですね、よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくね」


 片付けの終わった部屋で二人きり、そしてこれからは一緒の寮での生活になる、食事も一緒で、お風呂も一緒だしなんなら一緒のベッドで寝ることも……あるのかな。



 3月ももう終わりだ、もうすぐ俺は中等部2年になる、そして女の子になってそろそろ1年今年は色々あった……ほんと色々あったな。


 のじゃロリ神と会い神器を貰ったり、いきなり神になる権利の権利をやろうなどと訳の分からない事言われたり、権利の権利って何? って感じだ。そして恥ずかしい下着の買い物や気づけば成長して下着の買い直しをしたりと精神を削られるなんて事もあった。


 そして女学院への遅れての入学と咲夜さんとの出会い、織ねぇに押し切られるようにやった指輪の交換、生徒会にも強制参加になって黒いモヤとの対峙、そして咲夜さんが囚われて助けるために何もわからず頑張った。そして再び咲夜さんと心からの指輪の交換をして魂の姉妹となった、いや魂が思い出したという方が正確かな。


 夏季休暇はしょっぱなから修練修練修練……、その御蔭で助かったのは確かだけどもう二度とやりたくないな、今年の夏はどうなることやら。そして夏の後半は朱天との出会いが有り、鬼退治かと思えば桃太郎退治になったり、初めてアヤカシの存在を実感した夏だった。


 年末年始も忙しかったな、クリスマスデートと女の子としての知識不足とそれの教育、いやほんと今思い出しても恥ずかしいわ「キスなんてしたら赤ちゃんができちゃう」は、ないわーないわーないわー。


 正月も忙しかったな初めて神社の本殿へ行き咲夜さんと一緒に初めての神への奉納をした、来年からは俺と咲夜さんの仕事となるようだ。まだまだ比売神家について俺は知らない事があるようだ、いい加減蚊帳の外はやめてほしい。


 学院に戻ってからの女の子としての初めてのバレンタイン、友達やクラスメイトとのお買い物はすごく女の子女の子してたな、1年近くも女の子をしてると内面はともかくとして……ともかくとして! 外面は立派な女の子をやれてたと思う。


 このままで良いのかは分からないが、まだ身も心も女の子になる覚悟はない……かな。今の俺には男性と添い遂げるなんて考えもつかないし想像すら出来ない、だからといって女性が好きなのか言われるとそれはどうなのかな。


 咲夜さんとはどうなのと言われたら、純愛、親愛、友愛、敬愛、慈愛、恩愛、情愛、信愛、それらとは違うようでその全部かも知れないが俺には未だにわからない、ただただ好きという気持ちに嘘はない、それが今の俺の中にある想いの全てだ。


 なんて事を考えていたのが悪かったのか最近体調と肌の調子がおかしかった、そして女の子になって丁度1年の本日、とうとう俺にもあの日が来た。何かというと初めての女の子の日のことだ。少しお腹が痛いなと思ってトイレに行ったらショーツが汚れていたので、あーこれがあれかと意外と冷静に受け止めることが出来た、きっとクリスマスに望姉さんから受けた性教育のおかげだろうな。


 色々と思う事はあるけれど、最後の最後でこれかとほんとにドタバタとした一年だったなと改めて思うと共に、次の一年はもう少し落ち着いた感じで過ごせるといいなと願わずにいられなかった。



5章「2年目、そして新入生」へ続く(予定)。

これにて1部本編完結となります、ここまでお付き合いありがとうございます。

この後閑話が3話続きまして、その後に分類上の2部である5章へと入ります。

5章は出来ているのですが、6章が全然書けていない状態ですので、少し公開方法を変える予定です。

引き続きお読み頂ければ幸いです。

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