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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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第09話 女の子のバレンタインデー

 新年会は特に何事もなく終わった、あえて言うなら渡家が比売神の一族に加わったと言う事を再度知らされた事と、大厄災に向けてアヤカシが活発になるから気をつけるようになど例年と違う事を知らされたくらいだろうか。


 あとは朱天がサラッと混ざりお酒を飲んでいた、なんだか普通のお酒はすぐ酔うので余り飲めないらしいのだけど、一度奉納された御神酒なら大丈夫という事がわかり大いに飲み食いしていた。俺と契約して神気を糧としているので飲み食いしなくてもいいみたいなのだけどまあいいだろう。帰る時にはおばあちゃんに大きな酒樽貰ってたのは良いけど学院では呑まないように注意しておいた。


 年末年始バタバタしていたせいで気付けば学院に戻る時期になっていた。6日の新年会が終わると急ぎ帰宅して、俺と咲夜さんに織ねぇと明海ちゃんは7日にはまた本家に集まり一泊して8日には学院に戻るという超過密スケジュールだった。


 生徒会として学院に先に帰ってきているので、毎度のことながら授業の予習と2月中旬には後期の期末テストが有るので勉強をして過ごした。テストが終わり3月に入ればすぐに卒業式がある。そちらの準備も生徒会として色々やることが有るのだろう、まだ何も聞いてないのでどうなるかわからないけど。


 ああ、あと大事な日が2月に待っているんだった、おわかりだと思うけどバレンタインデーの事だ、テスト前ということもあるので手作りは断念した方がいいだろう。なら代わりに何をとなるのだけど普通にチョコレートでいいのか他の物がいいのかまだ迷い中、休日にでも明海ちゃんと一緒に買物に行くのも良いかもしれない。


 土曜日の見回りは普段から朱天が好き勝手やっているおかげか、普通に見回っていても黒いモヤを全然見かけなくなっている。新生徒会長の美玲さんなんかは「ほんま助かるわおおきに」と言ってくれているので良い事なのだろう。

 そんな感じなので、余った時間で俺と咲夜さんは屋上の神楽殿を借りて舞の練習をしたりもしている、予習復習をして実際に体を動かしておかないといざという時役に立たないからね。



「姫ちゃんバレンタインのプレゼントもう買いに行った?」


「ねえ柚、いい加減その姫ちゃんていうのやめない」


「えぇー良いじゃない姫神だから姫ちゃんで怜ちゃよりかわいいよ」


「はぁまあいいけどね、えっとバレンタインのプレゼントだっけ? まだ何にしようか迷ってるんだよね」


「じゃあさ、今日の放課後みんなで買いに行こうよ」


「みんなって?」


「んと、クラスメイトでお姉さまがいる同士のみんなだよ」


 教室を見回すと幾人かの子が苦笑を浮かべながら集まってきた、きっと柚に押し切られたのだろう。


「みんなはそれでいいの? 正直迷ってたから一緒に選ぶのは助かるのだけど」


「柚はこんなだしいいんじゃない」


「柚だし仕方ないよね」


「うんうん」


「ねえみんな、なにげに私のことディスってない」


「「「そんな事ないよ」」」


 このクラスのムードメーカーでまとめ役の木嶋柚きじまゆず、少し子供っぽいと思うが結構しっかり者で編入組を纏めている。


「ちょっと待って、私も一緒に行って良いかしら?」


「静ちゃんも一緒に行くの?」


「だめかしら、その、ね、バレンタインの時に告白をね」


「「「おぉー」」」


「そうなんだ、静ちゃんもやっと覚悟を決めたんだね、みんなー他に一緒に行く人いないかなー、静ちゃんみたいにこの機会にって事なら一緒に行こう」


「ちょ、ちょっと柚やめてよ恥ずかしいじゃない」


 柚が大声で教室にいるクラスメイトに声をかけた結果数人追加で行くことになった。静ちゃんこと霧谷静流きりたにしずるは、普段は大人の雰囲気を醸し出している子だけど結構おっちょこちょいな所がある、このクラスの新入組をまとめている。


 柚と静流は俺が入学して来た時はギスギスしていたけど、今ではお互いに親友と呼べるほど仲良くなっている、きっかけが俺と咲夜さんのあれだというのが少し釈然としないけど。


 そんなわけで放課後はクラスの有志のみんなでわいわいとショッピングモールへ、この時期のショッピングモールと商店街ではバレンタイン専用の特設売り場ができている様で色々回らなくていいみたいだ。


「姫ちゃんは何にするか決めた?」


「もう無難にチョコレートで良いかなとは思ってる、そういう柚は何にするつもり」


「わたしはねー、おそろいの猫ちゃんのマグカップにしようかなと思ってるよ」


「あぁー、柚は一緒の部屋だからそういうのも有りなのか」


「そうそう、お姉さまは猫ちゃんが大好きだから部屋は猫グッズいっぱいだけどね、マグカップは猫ちゃんじゃないから丁度いいかなと思ったの」


「それならホットチョコもとマシュマロも一緒に買ったらいいかもね」


「おぉー、さすが姫ちゃん冴えてる、その案採用だよ」


 柚はそう言って俺の手を掴んでブンブンと上下に振りまくる。そんな中静流が遠慮がちに声をかけてきた。


「柚と怜さん、ちょっと相談に乗ってくれないかしら」


 了承の返事を返しつつ静流の相談を受けた、告白したいけどどうしたら良いのか、何を渡せば良いのかというものだったけど、いつの間にかこのバレンタインを利用して告白しようと思っている子達が集まって大相談会となった。


 告白するなら定番の鏡池がーとか、でも考えることはみんな一緒だから混むよねとか、じゃあ校舎裏? 手紙で呼び出し? などなど話は尽きない、渡すものはいきなり物品は重いかもしれないからチョコで良いんじゃないかなとなり、告白方法は各自考えなさいという事でまとまった。


 結局俺は自分でも食べたことのない様な、ちょっとお高めのトリュフのチョコを買っておいた。後は友チョコをクラス全員分の板チョコと、織ねぇと明海ちゃんと朱天と生徒会の面々用にも別途購入しておいた。


「はーい、もう暗いし寒いしみんな帰るよ、そろそろ帰らないと晩ごはんに間に合わないよ、買い逃したとか買い忘れた人はまたあした集まって買いに来ようね」


 柚の掛け声とともに俺たちはぞろぞろと寮へ帰る、街頭が等間隔に建っているのと月明かりで意外と明るい。何人かが寒そうにしているので俺が一言言ってその子らに結界を張る。


「怜さんはすごいのね、これだけの人数に結界を一瞬で印も結ばず張ることができるなんて」


「あはは、夏季休暇の時ほぼ毎日修練してたからね」


 照れ笑いしつつ静流に答える。


「一家に一台姫ちゃんだね」


「私は家電じゃないから」


 柚の物言いに抗議したりして周りに笑いを起こしたりしているうちに、寮にたどり着いたので挨拶を交わしつつ解散。いやー今日はめちゃ女の子やってたなと思うけど普段からああいう感じなんだよ、そりゃあもう一年近く女の子の中で女の子として生活してたら自然とああもなりますわ。


 そしてバレンタイン当日は友チョコを渡し渡され生徒会の面々にも渡した。咲夜さんには放課後に生徒会室の休憩所で渡し俺も受け取り、お互いチョコを交代で食べさせ合うという甘い時間を過ごすこととなりましたとさ。それにしても友チョコのお返しが大量すぎてしばらく甘味には困らなそうだけど、ホントこの大量のチョコどうしたものだろうか。


 静流の告白だけど結果はあえて聞いてないけど、ここ何日か楽しそうにしているとう事だけ言っておくとしよう。

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