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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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第08話 性教育のちお正月

 家に帰り着くと望姉さんと母さんが待ち受けていた、咲夜さんが連絡していたようだ。そして始まる家族会議、父さんは「ちょっと散歩でも行ってきてね」と母さんに追い出されていたけど。


「はぁ怜あなた本気でそう思ってたの?」


「いやだってさ明海ちゃんが持ってた本に書いてたからてっきり」


「私も失念していたわ、言われてみたらそうよね」


「そうね母さんの時はもう大学生だったし、そう言う心配はなかったから思いつきもしなかったわ」


 そこから始まる女の子の体のあれこれなお話、どうしたら子供ができるとか、キスだけでも女の子同士でも子供が出来ないとか色々と、ホント色々と頭が茹だるくらい教育された。おれは自分自身が恥ずかしいよ、それにしても明海ちゃんの持っていたあの本は何だったのだろうか。


「それとね怜に咲夜ちゃん、貞操は成人するまでは守りなさいよ、怜はきっと男の人とは添い遂げるなんて出来ないでしょう? 比売神の家は私が継ぐからその後は好きにしていいからね」


 望姉さんの真剣な目を見て俺は何も言えなくなった、確かに今の俺は男性とどうこうなんて考えられない、だからといって咲夜さんにいだいているこの思いはどういうものなのかまだ分からない。


 とりあえず貞操と言うものを成人まで守れば良いことはわかった、それよりも貞操って何? と聞いたら変な目をされた、そんな目で見られても知らないものは知らないんだよ。結局開放されたのは夕方で、咲夜さんは迎えに来た車で帰っていった。なんか今日は色々ありすぎて疲れた。


「望姉さんいつもありがとう」


「良いのよ私もうっかりしていたし、それにしても明海ちゃんには一言言っておく必要があるかもね」


「お手柔らかにしてあげてね、いつもお世話になっているのは変わらないし、私の知識不足が原因なわけだし」


「それはそれこれはこれよ、まあそこまで問い詰めるつもりはないわよ。さてと明日からの用意を済ませて今日は早めに寝るわよ、しばらく忙しくなるからね」


「はーい」


 晩御飯とお風呂を済ませて明日から10日くらい泊まり込みになるので下着などの着替えを用意して今日は就寝する。それにしても咲夜さんとのキスはもったいなかったな、自然と手が額を触っていて唇の感触を思い出す、心臓の鼓動が早まり顔が熱くなる。そんな事をしているといつの間にか眠りに落ちていた。


 ◆


 朝からバタバタと本家へ移動しておばあちゃんに挨拶をすますと、休む間もなく神社へ移動する。神社は本家から車で5分ほど離れた山の中腹に建っている。まず階段の手前に大鳥居があり長い階段を登ると神門がある、そこをくぐるとしばらく参道が続く、この正月には参道の左右に露天が軒を連ねることになる。


 そのまま参道を進むと赤い鳥居がありその横には手水舎がある。鳥居をくぐると左手に神楽殿、右手に絵馬堂、正面に拝殿が見える感じだ。授与所は拝殿の左横にありそこでお守りやおみくじなどを買うことができる。


 俺たち比売神の人間は更にその奥の一般人と男性の立ち入りを禁じている場所にある本殿で奉納などをする事になる。表の方は母さんの妹で三女の平宮清華(きよか)さんが取り仕切り、旦那さんと助勤の巫女さんでやりくりすると教えれれた。ちなみに朱天は早々に依代のブレスレットの中に避難している、流石に神社の中にそのまま入るのはしんどいようだ。


 俺たち比売神の女達のまずやる事は本殿の掃除だ、煤払いは既に終えているらしいので基本的に雑巾での拭き掃除から始まる、といっても普段から毎日されているのでそれを引き継ぐ形での掃除なのでそれほど時間はかからない。それが終われば竹箒で境内の掃除になる。


 掃除は内側から外へ外へと移動していき大鳥居の所まで続く、朝は日の出と共に始まる掃除だけど人数が多いので1時間ほどで終わる事ができる。


 掃除が終われば奉納の練習をしたり、神社での作法を習ったりして過ごす。俺は基本的に咲夜さんとセットで動いている、なんか二人で一人みたいな扱いを受けているが願ったり叶ったりなので何も言うまい。それとここには織ねぇと明海ちゃんは来ていない、源乃一家はおじいちゃんと共に年末年始はおじいちゃんの実家に行っているとの事だ。


 さて今俺と咲夜さんの前では二人の女の子が神楽を舞っている。神社を任されている清華さんの双子の娘だ。確か今は小学5年生だったと思う。五秒奉書で纏められた腰まである黒い髪、幼さの残る膨らんだ頬、目元や眉はスッキリしていて整った顔立ち、身長は140cmに届かないくらいでちっちゃくてかわいい、見る人が見れば幼い天女とでも見れるかもしれない。


 五色絹ごしきぎぬの付いた鈴を右手に持ち、左手には弊の付いた榊を持っている。今舞っているのは鈴の舞と呼ばれる物だ、そしてその舞を俺と咲夜さんも舞う事になるのでまずは見て覚える。


 大体10分ほど続いた舞が終わり交代して咲夜さんと共に舞を舞う、所々でダメ出しされながら舞終わる。


「お二人共初めてにしては上手だと思いますよ」


「……(こくこく)」


 最初に声をかけてくれたのが、平宮(しの)ちゃんで妹の方で、無言でこくこくとうなずいている子が姉の平宮(すず)ちゃんとなる、双子なので喋らなければ申し訳ないけど見分けがつかない。


 ここで俺が久しぶりと言ったら何度も本当に怜お兄ちゃんですか? と聞かれた、事情は聞いてたみたいだけど信じられなかったようだ、確かに身長も体つきも変わっているからそう言われても仕方がない。


「それでは少し休憩をしてご一緒に練習しましょうか」


「……(こくこく)」


「「ご指導のほどよろしくお願いします」」


「ふふ、お二人共私達と同じくらい息がぴったりですね」


 そう言われて俺と咲夜さんは顔を合わせて笑いあう、少し気恥ずかしいけど嬉しいものだ。


 そうこうしているうちに正月となった、大晦日は掃除が終わると順番に寝て夜になる頃には皆起きてきて遅めのご飯を済ます、ここから3日は大忙しとの事で今日もこのまま徹夜で年を明かすことになる。平宮姉妹と母さんと望姉さん達大人組は表の助勤さんのサポート要員として授与所や拝殿を行ったり来たりで大忙しだとか、特に平宮姉妹は清祓いの神楽舞などをやっているので大変だ。


 一方本殿の方では俺と咲夜さんが中心となって日付が変わると同時に音楽にお合わせ奉納舞を始める、神気を込め、心を込め舞う、時間にして10分ほどだろうか、その間ずっと俺と咲夜さんの放つ神気は祭壇へと吸い込まれて行く……。舞が終わると俺たちの仕事は終わりだ、去年までは望姉さんと母さんがやっていた事なんだけど今後は俺と咲夜さんの仕事になるようだ。


 その後は1月の5日が終わるまでは、表の方に欠員が出たら手伝いに行ったりと意外と忙しく過ごすことになった。

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