第06話 初めての聖夜
お腹も落ち着いて朱天も寝てしまったのでお風呂に入ることに。夏季休暇中は俺と咲夜さんは本家のお風呂では明海ちゃんや織ねぇと4人で入っていたので、一緒に入ることに関しては特に思うことはない。
「お姉さまお風呂入りましょうか」
「そうね久しぶりに怜の髪を洗ってもいいかしら」
「えっと、よろしければお願いします、私も洗わせてもらいますね」
「お願いするわ」
「着替え持ってくるので先に入っていてくださいね、クレンジングオイルは置いているものを使ってください」
俺は一度自分の部屋へ行き着替えを持ってさっそく脱衣所に着替えを置く。お風呂場に入ると咲夜さんは既に浴槽につかっていた。椅子に座りまずは顔のクレンジングをしてぬるま湯で何回かすすいで洗い流す。その次にシャワーでかけ湯をして浴槽の咲夜さんの横に入る、家のお風呂は結構大きめで二人並んでも余裕がある、流石に足は伸ばせないけど。
適度に体が温まった所でまずは俺が咲夜さんの髪を洗う、シャンプーから始まりトリートメントをして、続けて背中をスポンジで軽く洗って俺は再び浴槽へ入る。咲夜さんが体を洗い洗顔まで終えシャワーで泡を流した所で交代だ。
変わって俺の髪を洗ってもらう、俺はこの時間が好きだ咲夜さんの指がマッサージするように俺の頭を洗ってくれる、続けて背中を軽く撫でるように洗って貰う。それが終われば咲夜さんには湯船に浸かってもらい俺は体を洗い洗顔を済ますとシャワーで泡を洗い流し再び湯船に浸かる。
適度に温まった所でさっと上がり水気をとって化粧水と美容液を付けてボディークリームを付けて、寝間着に着替えた所で髪を乾かす、お風呂は毎度のことながら時間との勝負な所があって忙しい。風呂上がりは水分補給をした後軽くストレッチをして終わり。
リビングの様子を見てみると朱天はまだ寝入ったままのようだ、わざわざ起こす必要もないのでそのまま寝かせておくことにした。
「朱天はこのまま寝かせておいてわたしの部屋に行きましょうか」
「怜の部屋に行くのって初めてね」
そうかもしれない、家には何度か来ているけど部屋に入るのは初めてだったかも、見られて困るものも無いのでいいのだけどね、男の頃持っていたあれやこれやはとっくに処分済みなのだよ。
部屋へは紅茶を入れたポットをお盆に乗せて持って行き、部屋中央においている小さくて丸いテーブルに置いておく。
「あら何もないのね」
「学院に入ってからほとんど家に帰って来てないので服以外特に荷物が無いのですよね」
俺は机の上に置いていた小さな袋を取り咲夜さんに差し出す。
「お姉さまメリークリスマス、クリスマスプレゼントです」
「あらありがとう、私のも受け取ってもらえるかしら、メリークリスマス怜」
お互いのプレゼントを交換し合う、咲夜さんのプレゼントも俺と同じ位の大きさの。
「開けてもいいかしら」
「私も開けますね」
袋から取り出すと、中身は白い無地のお守りが入っていた、そして咲夜さんの手元にも同じ白い無地のお守りが手元にある。
「同じプレゼントという事かしら」
「そのようですね、私の方は手作りのお守りです、中には私の神気を込めた御札が入っていまして危険が迫った時に結界が張られる様になっています」
「私のも手作りのお守りよ、昔から渡家で作っていたお守りで、邪気を祓ったり持つものの幸福を願って作られるものなのよ、怜のお守りみたいな効果は無いのだけどごめんなさいね」
「謝らないでください私は嬉しいですよ、今まで貰ったプレゼントで一番嬉しいです」
「そう?それなら良いのだけど、怜もありがとうね大事にするわね」
さっそく首から下げてみる、制服なら外からは見れない長さで丁度いいかもしれない。俺のお守りも咲夜さんは首から下げてくれている。
「うふふ、それにしても二人共お守りなんておかしいわね、渡しておいてなんだけどクリスマスプレゼントというのも面白いわね」
「そうですね、キリストの誕生祭のプレゼントがお守りはおかしいですね」
二人してしばらく笑いあった、本当に二人共同じプレゼントと言う所が繋がっている感があるなと思う。俺の渡したお守りだけど明海ちゃんに作り方を教えてもらった、明海ちゃんはこういう小物を作るのが得意なようで助かった。そして中には御札に神気をいっぱい込めて持つ人の身に何かあれば複数の結界が張られるようになっている、この辺りは朱天の知識が役に立った。
笑い合って紅茶を飲みおしゃべりしていると少し眠くなってきた。
「怜そろそろ眠そうね、明日は駅前の方に行くのでしょ早めに寝ましょうか」
「そうですね、早めに寝て明日に備えましょうか」
お盆に食器とポットを乗せ手に持ち一緒に一階へ降りて、咲夜さんが洗面所で歯磨きをしている間に食器などを洗う。咲夜さんが戻ってきたので交代するように洗面所へ向かい歯磨きをして用を足して戻るとカーテンを開けて外を見ている咲夜さんが見えた。
「怜ほら雪が降っているみたいよ」
咲夜さんの横へ行き外を見ると雪がチラチラと降っているのが見えた、部屋は暖房がついているのに少し足元が寒く感じる。
「ホワイトクリスマスですね」
「そうね」
自然とお互いの手が繋がれ、しばらくその場で雪が振り続けているのを眺めた、明日雪が積もらなければ良いのだけど積もったら移動がめんどくさいかもしれない。ちらりと後ろを見ると朱天はまだ寝ている、あのままで風邪ひかないかなと思ったけど、そもそもアヤカシって風邪引くのだろうか?
カーテンを閉め手を繋いだまま俺の部屋に移動する、忘れないうちにナイトキャップを頭にかぶる。テーブルをどけてお布団を敷こうとしている咲夜さんを押し留めて、俺は無言で咲夜さんの手を取りベッドへ引っぱり込む、布団は冷えていて二人の体温がちょうどいい暖かさだ、ベッドの大きさは二人寝ても余裕があるからいいよね。
「別々に寝ても寒いですし一緒に寝ていいですかお姉さま」
「怜が良いのなら私はいいのだけど……」
俺と咲夜さんは身を寄せるように腕を絡めて見つめ合う、咲夜さんの頬が少し赤らんでいるようにみえる、きっと俺の顔も赤らんでいるのだろう。手元にあるリモコンで部屋の電気を常夜灯に変える、顔色はわからないけど繋いでいる手の温度がより一層感じられる気がする。
だけどここまでだこれ以上の関係になるのを俺は恐れているのかもしれない、だってキスなんてしてしまったら……。今回はこれでいいと思う、俺と咲夜さんの関係はまだまだこれからも続いていくのだから、でも咲夜さんに迫られたらわからないな。
「おやすみなさいお姉さま」
「おやすみなさい怜」
こうして俺は咲夜さんとお布団の心地よいぬくもりに包まれながら眠りに落ちるのだった。




