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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
4章 年末年始と年度末は大忙し

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第05話 甘味は別腹

 24日になった、いわゆるクリスマスイヴだ。今日は咲夜さんが家に泊まりに来る、ちなみにデートは明日になる。部屋の片付けよし、クリスマスケーキの準備もよし、おふとんの準備よし、寝るのは俺の部屋の床にお布団を敷いて寝てもらう予定ではあるけど……。


 望姉さんは一回家に帰ってきたけど、挨拶をする間もなく「今日は帰ってこないから好きにしなさい」とだけ言って慌ただしく出かけていった。誰と何して過ごすんだろうね、お姉さまのアリアさんとなのか、それとも婚約者の清春さんとなのか気になるけど聞けない。去年までは一緒に過ごしていた母さんと父さんも外で過ごすようで家に帰ってこないとか、いい年なのに仲がよろしい様で何より。


 というわけで今日は俺と咲夜さんは家で二人きりで過ごすことになる……あっ朱天が居るから二人じゃなかったわ。ちなみに晩御飯はパーティー用のオードブルを既に買って用意している。サンタコスに着替えも完了いつでもお出迎えできる状態だ。


 今になって思いついたけど朱天を保護者代わりにしたら夜のイルミネーション見に行っても良かった気がする、来年はそうしようか。今日のパーティーに明海ちゃんも誘ったのだけど、源乃家は毎年この時期はおじいちゃんと一緒におじいちゃんの実家へ行くので年明け6日までは帰ってこないみたいだ。


 ピンポーンとインターホンの音が鳴った、モニターを確認したら咲夜さんが映っている。急いで玄関へ向かい鍵を外し扉を開けると、咲夜さんと車を運転してきた本家の使用人が立っていた。


「いらっしゃいませお姉さま、お久ぶりです高槻さん」


「お久しぶりです怜様、こちらご当主様から朱天殿にとお酒を預かっております」


 高槻さんから桐箱に入ったお酒を受け取る。


「ありがとうございます、祖母にはお礼を言っていたとお伝え下さい」


「かしこまりました、それでは咲夜様明日の夜にお向かいに上がります」


「ありがとうございます高槻さん、明日もまたお願いしますね」


 高槻さんは一度頭を下げた後車に乗り込むと帰って行った。


「えっと外は寒いのでとりあえず入ってください」


「そうね、お邪魔します」


 外はかなり寒かった、咲夜さんは厚手のコートを着ていてあまり寒そうに見えないけど、俺の着ているサンタコスは膝辺りまでの長さなので足元が寒い。


「怜その衣装似合っていてかわいいわよ」


「そう、ですか、ありがとうございます」


 ちょっと恥ずかしかったけど、似合っていてかわいいなんて言われると嬉しい。

 とりあえずリビングへ移動してもらい俺はお茶を用意する事にする、晩ごはんまでまだ時間があるので何して時間を潰すか考えてなかった。


「お姉さま、それと朱天お茶入れたのでどうぞ」


「おぉすまぬの主殿」


「怜ありがとう頂くわね」


 ソファーに座っているそれぞれの前にお茶を置き、俺も咲夜さんの横に座りお茶を一口飲む。うん、上手く入れれてると思う。


「美味しいわね」


「いいお茶っ葉使っていますから」


「そうじゃないわよ、怜が入れてくれたから美味しいのよ」


 体の温度が上がるのが分かる。


「ありがとうございますお姉さま」


 しばらく俺と咲夜さんの視線が合わさる。

 そっと手が握られる。


「あーわしはどこか別の場所へ行っていたほうがいいかの?」


 朱天の言葉で現実に戻される、ヤバい心臓がバクバクと鳴っている、朱天が居なければ一線を超えていたかもしれない、咲夜さんはもしかして俺とそう言う関係になりたいのだろうか、俺としては……分からない。


 この咲夜さんへの思いは何なのか分からないんだ、好きは好きなのだけどそれが愛なのか恋なのか、はたまた親愛や友愛なのか。俺がまだ子供だからか違いがわからないのだろうか。


「もうすぐ晩御飯だからそのままいてください」


 少し残念そうな表情をした咲夜さんに気づかないふりをして、朱天を押し留める。


「おばあちゃんから朱天にお酒預かってるから晩御飯の時にだすからね、なんか高そうなお酒だったよ」


「ほう、それは楽しみだの、おっと主殿すまぬがお茶のおかわりを貰えぬかの」


「はいはい、お姉さまもおかわりどうですか?」


「そうね、私もお願いしようかしら」


「はい、急須に入れてくるので少し待っていてくださいね」


 俺はソファーから立ち上がり台所へ向かう、これは朱天に助けられた事になるのだろうか、気まずくならなくて良かった。お茶を急須に入れて戻り晩御飯の時間までテレビを見て過ごす。咲夜さんも笑ってくれているので大丈夫だろう。


 晩ごはんの時間になった、お米のご飯とパーティ用オードブルとジュースを並べて、朱天にはおばあちゃんからのお酒を渡した。


「ほほう、これはうまそうな酒だの、さっそく頂くとするか」


 ご飯を食べる前にさっそく酒を飲み始める朱天。


「さて朱天はほっておいて、お姉さまご飯食べちゃいましょ」


「それじゃあ「いただきます」」


 普段はあまり食べない揚げ物中心のオードブルだからか、学院のご飯のほうが美味しい気がする。まあ自分でご飯作れるわけじゃないから文句は言うまい、そろそろ本気で料理に手を出すべきだろうか。


「朱天大丈夫ですか、顔真っ赤ですよ」


「おぉう、この酒は強いな、いやわしが酒に弱くなったのかの、この体は余り酒に強くないのかも知れぬの」


 ちびりちびりと舐めるように酒を飲んでいる。


「昔はウワバミだの大蛇おろちの再来などと言われておったこの酒吞が酒に弱いとはなんとも情けなき事よの……」


 朱天の顔がまっかっかになっている、表情がなんか寂しそうだ。そうこうしているうちに朱天は酒瓶に抱きついたまま寝てしまった、元々どれだけ飲めてたのかわからないけど、瓶の中身はほとんど減ってないようにみえる、ほんとお酒に弱くなってるのかもしれない。


 朱天って名付けたせいかと思うと少し申し訳ない気がしてくる。床にゴロンと寝てしまったので客間から布団を持ってきて掛けておく。食事も終わって片付けを終えて一休み。俺と咲夜さんはダイニングに移動をして、紅茶を入れてクリスマスケーキを食べる、朱天の分は切り分けて冷蔵庫に入れておく明日までは大丈夫だろう。


 晩ごはんで結構お腹が膨れてたと思ったけど意外と食べきることが出来た、甘味は別腹という言葉をよく耳にしていたけど自分の体で実感するとは思わなかった。咲夜さんも「意外と甘いものって食べれるものなのね」なんて言っていたのは俺と同じ様に感じてくれて嬉しく思った。

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