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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
3章 夏の修練と鬼ヶ島での戦い

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閑話 朱天

 わしは今体内で暴れる神気を抑え込むのに集中していて主殿の声に答えることだ出来ないでいる。比売神家に由縁のある娘との契約、気まぐれと言えば気まぐれ名をもらった時に主殿の名を聞いて運命的な何かを感じての。


 その後がまずかった、比売神の血がこれほどの力を持っているとは思っても見なかった。そうでは無いな、この主殿の血が特殊すぎて想像以上で想定外だったゆえだの、わしが知っていた比売神の血にこれほどの神気濃度は無かった。


 主殿の血が殊更濃いのかも知れぬがの、それを取り込んだ事により体がおなごのそれになったのはまあ良い、むしろおなごになる事で神気を粗方消費出来たのが良かったのかも知れぬの。消費したにも関わらず抑えるのがやっとの始末、戦っている時は神気を使う事でなんとかなった、だが戦いが終わって消費することが出来ないのは如何ともし難い。


 と言うよりもだ、この様な神気を息をするように自然に自由自在に使えている主殿が異常なのだがの。主殿には眠ると行って依代に避難させてもらったが現状維持がやっとの状態だの、この状態は主殿の祖母殿比売神家の長老殿から頂いた神酒を飲む事でわし自身の器が広がり神気が暴れることも無くなった、正直助かったわ。


 続けて呑ませてもらった酒もまた甘露のように旨い酒であった。

 そして話は比売神(れい)の事に移る、玲とは150年ほど前にわしが連れ去ったおなごの事だ。どこぞの公家の男が懸想けそうしたとかでかなり揉めておったようだ、暇を持て余しておったわしがたまたまそれを聞き及び見聞に赴いた所、わし自身も玲に惚れてしまったのは笑い話にもならん事だの。


 それまで散々女を拐かしてきたが、惚れるなどという事はなかった、今思えばそれも比売神の血によるものだったのかも知れぬが今となってはどうでも良い事だの。

 あの時はわしも玲殿によく思われたくてのなるべく若い姿となったものよ。

 わしの名前の由来である童子のようにもなれたし偉丈夫の美青年にもなれた、まあ今は朱天と名が変わりおなごになった事により姿を変える事は出来ぬのだがな。


 玲は自分がこのまま比売神の家にいると一族に害が及ぶと考えたようで、わしの誘いに乗って自ら拐かされる事にしたようでの、そこで散々わしが暴れて玲を攫った。


 その後は人里から離れた場所でわし自身も玲に合わせて年をとるようにしながら共に暮らしたというわけだ。その間に娘が生まれ最後は幸せだったと笑いながらいきおったわ。その後は100年ほど娘とともに旅を続け、娘が独り立ちすると昔なじみに会いに行ったりと旅を続けそうして主殿と会う事になったわけだの。


 主殿を目にしても惚れるような事はなかったし、最初は比売神の者とも思えなかった、わしの領域に入った事から初めてその可能性に思い至ったくらいだしの。島で再開した時はわしは桃幻導師に隙きをつかれ散々な姿だった、玲の縁者をむざむざ死なすのも忍びなかった故に契約することにしたのだがの、流石におなごになる事は埒外な上に血があれほどの濃度とは思わなかったわ。


 名を貰い血を得て式となる事により、主殿との繋がりが出来たその繋がりを通して流れ込んでくる神気がわしの体中で暴れ始め、それを抑えるためにまともに力が出せぬとはなんとも情けなき事かとも思うたわ。なんとか雑魚どもを相手にし、桃幻導師を相手に消費する事で一時は抑える事は出来たがの。


 今は神酒のお陰で神気が暴れる事はなくなったが、それでも本来に実力の3割も出せぬのではなかろうか難儀な体になったものよな。されど祭りが始まるまでには万全となるようにしてみせようぞ。

 神気が安定したお陰でわしが持つ鬼人力との融合もやりやすくなった、全てが混ざり合い自由におのが力とした時こそ、わしは本来以上の力を振るえる様になると確信を抱いておる。


 さて娘を紹介するといった手前連絡をつけねばな、わしは一匹のカラスを呼び寄せ一本の髪を足にくくりつける、時間はかかるがこれであやつの所へ届くであろう、髪には現状と今後についての情報を刻んでおるからあやつが触れれば伝わる。


 後はわしが酒呑童子の名を捨て姿かたちも変わってしまった事により、わしの元々の部下だったモノたちがどうなったかが心配ではある。わしの抑えが無くなって暴れておらねばよいのだがの、まあ今更心配しても詮無きことよな。


 さてと、神気も落ち着いた事であるし本当に一眠りするとしよう。わしは主殿を起こさぬように依代の中へ入り込み眠る事にした。

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