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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
3章 夏の修練と鬼ヶ島での戦い

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第12話 アヤカシの根源とは

 島での戦いの後の事を少し話しておこうか。結論から言うと島内での生存者は確認できなかった。確認できたのはぼろぼろになった衣服の残骸が人数分見つかっただけで遺体などは見つからず、多分骨すらも鬼に食われてしまったのだろうと言う事になった。


 一通り捜索も終わり遺品を回収した所で島から出ることになった。

  船に戻る前に問題が1つ出てきた、朱天をどうするかという問題だ、だけどそれは朱天自身がか解決してくれた。


「で、この数珠って何なの?」


「それはわしの依代となるものだの、主殿がそれを身に着けてくれればわしはその中で眠らせてもらう」


「それって数珠じゃないとだめ?もうちょっと配色とかどうにか出来ないかな」


「ふむ、見た目を変えれば良いのか、その程度なら問題ないがの」


 朱天に数珠を渡すと手で包みこむ、手が開かれるとやぼったかった数珠は朱色のブレスレットに変化していた。


「こんな感じで良かろうかの」


「おぉずいぶん可愛くなったじゃない」


 ブレスレットを受け取り腕につける、特に違和感もなくつけ心地も悪くない。


「それでどうするの」


「後はこうするだけだの」


 そう言うと朱天が目の前から消えた、周りを見回しても見当たらない。


(わしと主殿の繋がりを追えば何処にいるかは分かるであろう)


 そんな事しなくても流れ的にこのブレスレットの中なのは分かるけど一応繋がりを確認してみるとブレスレットの中から朱天との繋がりが感じられた。


(それではわしは暫くこの中で寝るとする、用がある時は呼んでくれれば良い)


 朱天はそれだけ言うと眠ったのか全く反応が返ってこなくなった、それにしてもこのブレスレットの中はどうなっているのだろうかすごく気になる、今度聞いてみようと思う。


 朱天の問題も解決したので船に戻るという所で俺は大いに困ることになった、そう俺だけ水着じゃない事に気づいてしまったのだ。

 他のみんなは水着なのに俺だけ巫女服着てる、この巫女服で船までの100m泳ぐのは無理となって最終的には下着の上から咲夜さんに借りたラッシュガードを着て泳ぐことになったのだけど、男性陣の視線が微妙に気になって仕方がなかった、なんやかんや言ってもやっぱり水着と下着じゃ恥ずかしさが違うのを実感させられた。

 この時は気づかなかった事だけど、朱天を無理矢理にでも起こして、俺を抱っこして船まで跳んで貰えばよかったなと。


 船で揺られていると眠気が襲ってくる、俺も徹夜だったけど俺が攫われたせいでみんなも徹夜だったのだと思う、旅館へたどり着く頃にはみんなふらふらの状態になっていた。

 俺だけ別行動で先に温泉を使わせてもらう事にした、他の人は水着から着替えてから順番に入るようだ。着替えは明海ちゃんにお願いしてラッシュガードと下着を脱ぎ洗い場で体と海水でゴワゴワになっている髪をしっかり洗って脱衣所から持ってきた備え付けのタオルで髪を巻いて入浴する。


「あ”ぁー」


 なんて声が自然と出てしまう、熱いお湯に包まれてやっとゆっくり出来た気分になる。


「主殿よ、言いたくなる気持ちはわかるがの、その声は頂けないのう」


 気付けば横にメロンが2つ浮いていた、ではなくて朱天が横で湯船に浸かっている。


「朱天か、ちゃんとかけ湯した?」


「アヤカシにそのようなものは必要ないわ、時間が経てば怪我なども含め汚れなども自然と治るのでな、例え髪が燃えても戻る様になっておる」


「それは手入れ要らずで羨ましいですね、それにしてもなんていうか、その体に馴染みすぎじゃないですか」


「クカカカカ、主殿も似たようなものであろうに、思うところはないではないがこれはこれで面白きことよ」


「ははは確かに人の事は言えませんね」


 暫く無言で温泉を堪能する、お湯が気持ち良すぎて少し眠くなってきた、一度お湯から立ち上がり火照った体を少し冷ますためにお風呂の縁に座り気になっていた事を朱天に聞いてみる事にする。


「朱天に聞きたいことが有るんだけどいいかな」


「わしが話せることなら何でも答えるぞ」


「アヤカシって死んだらどうなるものなの、あと浄化すると何が変わるの?」


「ふむその事か、簡単に言うとアヤカシと言う存在は不滅なのだよ、死して粒子となり消えてもそのうち復活することになる、それはわしにも当て嵌まる。そうさの今のわしが死すれば100年程度で復活するだろうの、そして復活したわしは酒天童子として蘇ることになる」


「それって、朱天としてのあなたはどうなるの」


「朱天としてのわしはお主あっての存在だからの、記憶は継承するがそれだけよ、まあそう不安がらなくともわしは簡単には死なぬよ」


「そう」


「さて話を続けるぞ、まずはわしを初めアヤカシと呼ばれるモノはなにがしかの根源なり原点が存在する、それが有る限りは消滅する事は無い、わしの場合は大江山の酒呑童子という物語が語られ続ける限り消滅はせぬわけだの、それは名を捨て名を変えても変わらぬ」


「そうなんだ、じゃああの桃幻導師は桃太郎と言うお話がある限りそのうち復活するって事かな」


「然りその通りそれと今回は主殿があやつを浄化した事により、恨みなどの記憶や感情が消えた状態で復活する事になるの。単純に浄化したからというわけではないぞ、桃太郎という存在が元々善性だったゆえそうなると言うわけだの。元の根源が善性なら善性に悪性なら悪性として復活を果たす訳だ、あやつの場合浄化せぬままだと恨み辛みが増して悪性として蘇ったであろうな。ちなみにわしは善性と悪性の両極を持つゆえ死ぬ前の記憶次第だの。他に何か聞きたいことは有るかの」


「話は変わってしまうけど1つだけ気になってた事が有るんだけどね、鬼ヶ島に私を連れてきた無数の手、あれって桃幻導師の仕業だったのかな……なんとなく違う気がするんだけど」


「ふむ無数の手か、確かにあやつの仕業では無さそうだの、それを調べていけばもしかすると今回の黒幕につながっているかも知れぬの、今後はわしも共にあるゆえそうそう攫われる事は無かろうが注意だけはしておいたほうが良いかも知れぬの」


「はぁー、もうなんか分かんないや」


 俺はため息と付きながらもう一度湯船に浸かり、手足のマッサージをしたり伸びをしたりして朱天と共に暫く温泉を堪能するのであった。

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