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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
3章 夏の修練と鬼ヶ島での戦い

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第10話 それぞれの戦い

 俺と朱天に咲夜さん明海ちゃんはその場を動かずにいる。明海ちゃんは神楽笛を取り出し奏で始める。俺はの笛の音に合わすように神気をまとわせた鉾の石突を地面に叩きつけた。叩きつけた場所から波紋のように神気が広がっていく、そしてその神気に触れたアヤカシの動きが鈍くなるのが分かる。


 これも修練の効果だ、神気でのアヤカシの弱体化それが結界以外に俺が出来るもう一つの事、と言っても効果を確認できたのはこれが初めてだったりする、こういうのを目で見て実感できると修練を頑張った意味が見出せて嬉しくなる。咲夜さんは梓弓を片手に俺を守るように立っている、なにか朱天を睨んでいるようにも見えるが気のせいだろう。


「さて、わしもそろそろ行くかの」


「気をつけて下さいよ」


「クカカカカ、誰に言うておる」


 朱天はそう言って六角棒を片手に歩いて導師の元へ向かった。

 俺は朱天を見送ると、神気を振りまきながら各所を見てみることにした。


 まず目に入ったのは、猿と戦うミカ会長と静さんだ。ミカ会長は全身に雷をまとい直剣を振るっている、静さんは猿の視覚の外から苦無を投げたり短刀で切りつけたりして翻弄している。猿は自らが傷つく事など関係ないとばかりに拳をミカ会長めがけて打ち下ろし、その度に砂浜にクレーターを作っている。ミカ会長はその拳を避け時には去なし、カウンター気味に攻撃をするが余りダメージを与えているようには見えない。


「確かに強い、されど意思なき獣に負ける道理はなし、静少しだけこいつの動きを止めてくれ」


「はい、承りました───行きます、伊賀流忍術苦無八陣・影縫い」


 静さんは猿の背を蹴り頭上まで駆け上がった後頭を蹴り上げ上空へ飛び上がると苦無を猿を囲むように放った、それにより猿の動きが止まる。


「ミカヅチ流剣術中伝参の型・雷神」


 ミカ会長は動きの止まっている猿に近寄ると雷を纏った刀を一度ゆっくりと上段に構えた、と思えばいつの間にか振り下ろされていた、その動きは俺には全く見えなかった。そして猿は正中線から左右に分かれ黒いモヤとなっていた。黒いモヤは暫くその場に浮いていたが吸い込まれるように導師へと飛んでいき導師の体へと吸収されるように消えた。


 朱天と戦っていた導師の体は黒いモヤを吸収したからか急にその姿が大きさを増し膨れあがる。朱天は一度大きく下がりミカ会長と静さんと合流すると何言か言葉をかわし導師との戦いを再開させる。


 織ねぇとマリナさんに目を向けてみる。ちょうど織ねぇが犬のしっぽを両手でつかみ、身長差を物ともせずその場でぐるぐると回っている所が見えた。


「どっせーーーい、マリナさんお願いしまーす」


 という掛け声とともに空に向かってハンマー投げのように犬を放り投げた。


「─────────火炎」


 マリナさんが上空へ上がっていく犬に向けて杖を構え声なき声で呪文を唱えた。犬を囲むようにぽつぽつといくつもの小さな火球が現れたと思うと、その火球が犬を中心に回転を始めいつしかそれは竜巻のようになったと思うと急に消えた。後には猿と同じ様な黒いモヤが残っていたがそれも、吸い込まれるように導師へと向かい導師の吸収されるよう消えた。


 導師の体に再び変化が起き、腹部に犬の頭部が現れ足が犬の後ろ足の様に変化していた。犬の足になったためか先程より導師の動きが早くなっているようにみえる。そして織ねぇとマリナさんも導師との戦いに参戦するようだ。


 残った雉に目を向ける、流石に空を飛ぶ相手には無線するかと思ったけど、美玲さんと雪菜さんの二人により既に満身創痍な有様になっている。なんとか上空に逃れて応戦しようとしているようだけど、雪菜さんの投げた札が風の刃を生み出し、それにより翼を切り裂かれる。


 落下しながら翼を再生させ上空に逃れようとして又落とされるという事を繰り返している。そうしている内に美鈴さんの準備ができたようだ。


「雪菜さんおまたせしたわね、四門招来朱雀炎・急急如律令」


 美鈴さんが札を4枚投げると、札はまっすぐに飛んでいき雉に張り付くと雉の全体を包むように巨大な炎を生み出した、かなりの高温なのだろうこちらにまで熱が伝わってくる。そして炎が消え後には犬猿と同じ様に黒いモヤが残っており、導師の体へ吸収され消えた。


 ミカ会長と織ねぇと朱天に追い詰められていた導師は雉を吸収した事によりの背中から翼を生やすと逃れるように上空へと飛び上がる。


『きぃさぁまぁらぁ、わぁれぁのぁじぃゃぁまぁをぉすぅるぅかぁ』


「クカカカカ、貴様の目的が何かは知らぬがここで滅するがよかろう」


 朱天に織ねぇにミカ会長が導師にそれぞれの武器を向ける。その後ろでは、マリナさんが静かに呪文を唱え、合流した美鈴さんと雪菜さんがいつでも投げられるように札を構えている。そして俺は導師をこの場から逃さないように一体を囲むようにこっそりと結界を張った。


『……ふむやっと馴染んできたわ、我を滅するだとやれるものならやってみるが良い、我が名は桃幻導師かつては桃太郎と呼ばれ友らと共にアヤカシと戦いしモノなり」


 桃幻導師と名乗るアヤカシの姿が再び変わる、顔は狼のように精悍に、体は人のそれとなり、両腕と両足は全て白毛の筋肉質な四肢へと変化し、背に翼を背負っている。


「わしも名乗るとしよう、我が名は朱天、かつては大江山の酒呑童子と呼ばれしモノ、我はあるじを得た事により神気を賜りて鬼神となりしモノなり」


「流石に桃太郎と戦うとは思わなかったな、私は建御雷神タケミカヅチノカミの末なり、名を御雷瞳ミカヅチ流刀剣術の使い手にしてこの地を任されし者として貴殿を討たせてもらう」


「源乃詩織だ、私の身内に手を出した事を後悔しながら逝きなさい」


 前衛組の名乗りと共に、周りで小鬼や鬼と戦っていた人達は海岸へと避難を終える。そして俺と咲夜さんと明海ちゃんは後衛組に合流を済ます。


『「いざ参る」』


 朱天の六角棒と桃幻導師の拳がぶつかり、鬼ヶ島での最後の戦いが始まった。

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