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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
3章 夏の修練と鬼ヶ島での戦い

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第09話 合流、始まる戦い

 少し長い回想から意識を戻す。


 夜明けを迎えようとしている空は少しずつ白み始めている。背後を振り返ると船自体はまだ見えないが船の灯りがかすかに見える。船の速さは分からないがそれほど時間をかけずにここにたどり着くように思える。


 そして朱天は小鬼を蹴散らした後、3匹の巨大な犬と猿と雉と戦っている。状況だけ聞くとまるで桃太郎の家来と戦う鬼のようだが、実際は鬼のほうが見た目がよく家来のほうが化け物じみている。


 犬も猿も雉も体の所々の毛が皮膚ごと抜け落ちており腐っているのが見て取れる、朱天がこの状態にしたわけではなく最初からこの酷い状態だった。


 そして俺だが、戦いに混ざれるわけもなくぼーっとただ見ているだけというわけでもない、くだんの導師が朱天の邪魔をしないように牽制していたりする。


 俺にまともな攻撃手段がない事を相手は知らないわけで、普段は周りに分からない様にしている神気を今はわかるように纏っている、自然と俺の神気の濃度がわかるようにしているわけで、そうしたらどうなるかと言うと相手が勝手に警戒するという分けだ。


 最初見た導師の姿は、背中に雉の羽を生やし、体は猿のような体躯をしており、胸に犬の顔が付きだしていた、見た目からして気持ち悪いと言う感想しか出なかった。今は犬猿雉の部分が分離した事によりその姿は、坊主傘を被りボロボロの虚無僧装束をまとっていて見える内の部分はすべて包帯が巻かれている。


 そんなわけで俺はこの導師を相手にし牽制中なのだ、何かをしようとする度に神気を飛ばし邪魔をするそれを繰り返している、後どれくらいこれを続けないといけないのだろうか。なんて思っていたのが悪かったのか、急に導師が俺に接近してくる。


『コムスメジャマヲスルナ』


 神気を飛ばして近寄らせないように牽制をしたけど効果がないようだ。朱天を見てもこちらを気にする余裕が無いようで、どうしたものかと結界を強化しながら後ろに下がっていると、上空から神気を纏った一本の矢が導師に向かって振ってきた。


 導師は矢を避けると、朱天たちを飛び越える大きく後退し、ついでとばかりになにかの術を使い周囲に煙を吐き出し始めた。俺は導師の行方を横目で見ながら、背後をチラリ確認すると10隻近いの船が島を囲むように有る岩礁の手前で止まっているのが見えた。煙が広がりソレを嫌がったのか朱天が俺の所まで下がってきた。


「主殿いい具合に援軍が到着したようだの」


「そうだね、それにしてもあの敵は強いの?」


「ああ強い強いぞ、元々アヤツらはお主らの言うところの桃太郎と共に1つの鬼の島を滅ぼした存在だからの、別の事に集中して不意をつけれたとは言え、この姿になる前のわしをあそこまでにしたほどだの、一人ではどうにもならぬ所だの」


「やっぱり桃太郎と関係あったのね」


 朱天に導師の方を見てもらいながら海の方を見ると、咲夜さんとミカ会長に静さん、織ねぇに明海ちゃん、美玲さんに雪菜さんにマリナさん、生徒会の面々と御雷の門下生、陰陽寮の陰陽師全員が全員、なぜか水着姿しているようだった。


 ダイバースーツの人もいれば、ビキニ姿の人もいたり、水着の上からラッシュパーカーやラッシュガードを羽織っている人もいたりとてんでバラバラだ。中にはスクール水着を着ている子なんかもいて、残念ながら織ねぇは普通のワンピース型の水着だった。


 そして用意ができたのか船から降りてそのままこちらに向かってくる、海を走る人や普通に泳いでくる人がいたり、一足飛びでこちらに飛んでくるなんて猛者もいる、距離的に100mはあるはずなんだけどね。


「怜ちゃんおっまたせー」


 うん分かってると思うけど100m飛んできたのって織ねぇなんだ。


「織ねぇ、助けに来てくれたんだね、ありがとう」


「咲夜ちゃんがねまあ色々あったのよ、さて怜ちゃんそこの鬼は味方ってことでいいのかな」


 織ねぇが俺をかばうように前に出ようとしたのを「大丈夫です」と言って止める、説明するのはみんな揃ってからのほうが一回ですむし、少し待ってもらおう。見かけないと思っていた望姉さんは、何かあった時のためにあちらに残っていると教えてくれた。暫く話をしているとぞろぞろとみんな島に上陸してくる。その中には生徒会役員もいて俺はまっさきに咲夜さんの元へ向かい抱きついた。


「お姉さまご心配おかけしました」


「怜あなたが無事で良かったわ、すごく心配したのよ」


 自然と涙が溢れてくる、暫く抱き合い見つめ合う俺と咲夜さん、周りが少しざわついている気がするが気にならない。


「こほん、怜くんに咲夜くんそろそろ良いかな」


「あっ、はい、ミカ会長もご迷惑おかけしました」


「その件はいい、こちらも救援が遅くなって済まなかった、取り敢えず状況を教えてもらえると助かるのだが、そこの鬼の件についてもね」


「わかりました、そうですね……」


 俺は今の状況を簡単に説明することにした、まずは今は煙で何も見えながあそこには大陸から来た導師が居るということ、桃太郎由来の犬猿雉の屍体を操って居ること、それと朱天が俺と契約した事、そして元々ここに封印されていた鬼は既に消滅している事、最後にこの島の生存者は俺だけだという事を話した。


 話をしていると、少しずつ煙が晴れていくと同時に小鬼や大きめの鬼の姿が見えてくる。その鬼の集団の奥には犬猿雉を従えた導師が見えた。ミカ会長がみなより少し前に出て背負っていた直剣を鞘から抜き放ち前方に向ける。


「ミカヅチ組と陰陽寮の方々は雑魚の処理を、私と静は猿を、詩織くんとマリナくんは犬を、美玲くんと雪菜くんは雉をそれぞれ頼む、明海くんは全体の補助を、最後に咲夜くんと怜くんそれとそこの鬼の方は導師の牽制を頼みたい」


 それぞれ声を出し了承を伝える。


「総員抜剣!アヤカシどもを滅せよ!」


 皆それぞれの獲物を手に持つ、俺も神器を取り出し構える。


「ゆくぞ!」


「「「応!」」」


 その声を合図にアヤカシと人が互いに前進し戦いが始まった。

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