第05話 今後の方針
さて翌日の朝だ、いつも通り5時前に目が覚めたので日課のランニングをする事にした、持ってきていたジャージに着替える。昨日の会議がどうなったか気になるが取り敢えずひとっ走りして朝風呂ならぬ朝温泉を堪能しようと思う。
玄関に行くと何人か起きている人を見かけたので「おはようございます」と挨拶を交わし外に出る。軽くストレッチをした後堤防沿いを走る。夏季休暇中の鍛錬の成果か学院で走っていた頃よりも同じ時間でだいたい倍は走れるようになっているが、朝風呂の事を考え適当なタイミングで折り返して帰ってきた。
戻っている途中砂浜の方では、ミカ会長を筆頭に御雷の今回の討伐隊として居る門下生一同が木刀で朝稽古をしているのが見えた。こちらに気付いたミカ会長に会釈だけして旅館に戻ってきた。部屋から着替え一式を取り昨日と合わせて3度めの温泉へ。
途中明海ちゃんと咲夜さんにも声をかけたのだけど、明海ちゃんも咲夜さんも反応がなかった、明海ちゃんは朝に弱いのでまだ寝ている気がする、咲夜さんは散歩でも行っているのだとうか、ランニングの時すれ違わなかったのでわからない。
お風呂場に行くと、そこには美玲さんと雪菜さんが居るだけだったので「おはようございます」と挨拶を交わし、余りゆっくりもしていられないのでさっと髪と体を洗い湯船に浸かる。
「おはようさん昨日は大変どしたなぁ」
「おはようございます美玲さん、急に鬼と会うとは思いもしませんでした」
「怜さんおはようございます、怪我もなく無事で良かったですね」
「雪菜さんもおはようございます、ご心配おかけしました」
少しの間お風呂で会話を交わしていると脱衣所がざわめき出した、きっと朝練をしていた人達が汗を流しにきたのだろう。汗も流せて温泉も堪能できたので揃ってあがることにする、あがる時に見えた姿はお二人共結構良いプロポーションをしていた。
普段は服で隠されているから分からなかったが、たわたに実った胸部と臀部は男性陣が見れば目を引きつけるだろう。とっさに自分の胸を見て違いを確認してしまったが、俺は何をやっているのだろうか……。
髪を乾かしお肌のケアも終わり、美玲さんと雪菜さんと別れ部屋に戻り荷物を置きその足で明海ちゃんの部屋に行く、寝てるなら流石に起こさないと朝食に間に合わないかもしれない。
軽くノックをしても反応がない、強めのノックをし少し待つと扉が少し開いた、扉を開くとまだ眠そうな評定をした明海ちゃんがいた。
「そろそろ準備しないと朝食に時間間に合わないよ」
「ふぅぁ、うん、起きた、用意する」
「はぁ、着るものとか出しておくからまず顔を洗って」
「わかった、お願い」
俺は部屋へ上がり込むと、明海ちゃんの旅行かばんから適当に服を取り出す、今日は動きやすいほうが良いだろうから、Tシャツの上にカラーシャツとでヌムのパンツを取り出しハンガーにかける。俺の方も温泉に入った後ジャージから同じチョイスの服に着替えている、未だに好き好んでスカートは履く気が起きない。
「明海ちゃんこれでいい?」
「怜ちゃんありがとう」
「着替え終わったら少し早いけど行くよ」
こんな事なら一人人部屋じゃなくて一緒の部屋にしてもらったほうが良かったかもしれない、後でミカ会長に相談してみようかな。着替え終わった明海ちゃんと大広間に移動する、既に半分くらいは埋まっていて生徒会の面々も揃っていて俺たちが最後のようだった。俺は「おはようございます」と言いながら空いている咲夜さんの隣に座る。
「お姉さまおはようございます、朝部屋に伺ったのですがおられなかったみたいで」
「あらそうなのね、ごめんなさいね少し朝から温泉に行っていたのよ、怜も呼べばよかったわね」
「そうなのですね、私はランニングの後に温泉へ行ったので何処かですれ違ったのかもしれませんね」
そんな話をしているとミカ会長がマイク片手に前方の壇上に上がってきた。
「お待たせしたしたようだな、食事の前にすまないが昨日の会議で決まった事と今後の方針について話しておこうと思う。まず今日の鬼ヶ島行きは一旦中止とする事に決まった」
部屋の中が少しざわつくがすぐ静かになる。
「その代わりと言っては何だが、今日一日この近辺の見回りをする事に決まった。謎の鬼が鬼ヶ島に渡ったとの情報とその鬼が友好的だった事、そしてその鬼はこのあたりの神隠しと思われる行方不明事件に関わってないという言葉を信じる事にした結果だ。
今日は鬼ヶ島の監視と近辺の見回りをしてもらう、どちらも異常があればその都度知らせてほしい。私からは以上だ何か質問があれば受付よう」
「よろしいでしょうか」
一人の男性が手を上げて立ち上がる。
「どうぞ」
「陰陽寮の柊です、我々の仲間が鬼ヶ島で生きている可能性はないと思えば良いのでしょうか」
「それに関しては申し訳ないが分からないとしか言えない、だが日が経っている上に自力で戻れないとなると生存は絶望的だと言えると思う」
「そう、ですか、わかりました」
「私からもいいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ」
「御雷刀剣流関東支部門下生の柳井です、今日の事はわかりました明日以降の予定はどうなっているのでしょうか」
「今日一日の様子を見て最終的にどうするか決めるが、何事もなければ明日鬼ヶ島に乗り込むつもりだ」
「わかりましたありがとうございます」
「他に質問などなければ私からは以上だ、朝食が済んだ後各々準備を済ませ9時に玄関ホールへ集合してほしい、班分けと巡回ルートなどはこちらで決めさせて頂くが、陰陽寮は陰陽寮でお願いしたいと思う、それでは食事としよう」
そう言うとミカ会長は壇上を降りて俺たちの所へ来て空いている席に座った。
「みなおはよう、今日は生徒会役員を2つに分け見回りと監視に別れようと思ういいかな?」
それぞれが挨拶と了承を示す。
「まあ、別けると言ってもわかりやすいように、高等部組が見回り中等部組が鬼ヶ島の監視だ、特に咲夜くんと怜くんにはまた鬼が接触してくるかもしれない気をつけてくれ、中等部組のまとめ役は詩織くんにお願いする頼むよ」
「わかりました」
「それと高等部なのだが私は全体の指揮を取らないといけない、そこで望さんにお願いしたいのだがよろしいでしょうか」
「わかったわ、そういう事なら高等部は私が面倒を見るわね」
「お願いします、それでは食事を済ますとしよう、いただきます」
「「「いただきます」」」
朝食はご飯に味噌汁と漬物、だし巻き卵に焼き鮭にサラダと小鉢が3つほどと朝から食べるのに苦労しそうな献立だった。




