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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
2章 指輪の交換と魂の姉妹

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閑話 渡咲夜 その1

 私が神樹女学院に通う事が決まったのは、中学2年に上がる前の春休みだった。


 私達天降(あもり)一族は、遥か昔から渡巫女として全国各地を回る一族だった。

 その起源は、神を目指した男がある神と契約し女性にょしょうとなり、されど試練の最中神となることを止めた、その変わり天より授かった男女の双子の片割れだと伝えられている。


 男の子は比売神となり、女の子は天降となった。神にならなかった女性となった男は男の子をある所に預け女の子を連れて旅に出た。

 いつしか男の子は女の子と変わり神の位に手を伸ばすようになる。

 そして女の子は女性となった男の神格を継ぎ神の位に手を伸ばすようになる。


 私達天降一族が渡と名乗るのは、その事情を知られないためでもある。

 時代が進み近代化が進むに連れ渡巫女としての役目がなくなり始め、私たちは懇意にしていた渡辺家に身を寄せるようになる。

 渡辺家とはあの渡辺綱を先祖に持つ家系だと聞いている、そして私達の先祖は渡辺綱に業力してアヤカシを祓う手伝いをした事により、渡という氏名を授かったと伝えられている。


 現代ではもう渡巫女としての活動はなくなり、ただその技だけを引き継いでいる形になっている。

 比売神家は女に変わる事で位を得るが、天降家は位を持つ女性が子を生むとその子に位が伝染るようになっている。

 つまり私は生まれた時から神への位を持っていた事になる、最近までそんな自覚は無かったのだけどね。


 それが変わったのが春休みに、おばあと一緒に比売神家へ訪れた時になる。おばあが言うには神託が下ったと言うことだった。

 今こそ比売神と天降の分かたれた者が1つになる時だとか、そしてたどり着いた比売神家での話し合いの結果、天降家も比売神の一族として加わることになった。

 一応名目は比売神の下に付く形にはなっているけど内部的には同格の家として受け入れると、あと普段の名乗りは天降ではなく渡で通すようにとの事だった。


 なんだかうちのおばあと比売神の当主様は出会った瞬間に意気投合して、あれよあれよと話がまとまってしまった、二人して従来の姉妹や親友が如く語り合う姿をなんだかなーと呆れのような気持ちで見ていた。

 その後に聞かされた話では、5年後に大厄災が起こる事や、私の片割れと言える子が今年から神樹女学院に通う事、そして私も神樹女学院に編入する事などだった。


 その子の名前は姫神怜ひめがみれい、てっきり学院に入る前に会えるのかと思っていたけど今はちょっと無理だと聞かされた。

 その代わりに合うことになったのが、姫神望さんだった姫神怜のお姉さんに当たる人だった。


 彼女には怜さんの事を色々教えてもらった、男から女になった後の事とか既に位階が3つほど進んでいるとか、中には使っている化粧品とかシャンプーなども教えられた。

 怜さんって少し前まで男の子だたはずなのに化粧水とか使ってるんだねとまっとうな疑問が出たのは仕方ないと思う。

 私が化粧水とか使ったこと無いと言ったら、なんか沢山の液体の入った入れ物を持って来て顔中をこねくり回された。


「怜ちゃんに気に入られたいならもう少しお肌と髪の手入れ気にしなさいよ」


 気づけばお肌もちもちになっていて感動した、ついつい望さんの事を「望お姉さま」と言ったのは仕方ないことだろう、望さんは苦笑していたけど。

 優しい人だと思うだけどよくわからない人だった、怜さんの事をすごく大事にしているのはわかった、一人っ子の私にがまだ見ぬ怜さんに嫉妬してしまうくらい望さんに惹かれていた。

 この時の私は望さん以上に惹かれる存在に出会うとは想像すらしていなかった。


 そんな出会を体験して、半月ほど比売神の屋敷で暮らしていると気付けば神樹女学院に編入の日を迎えていた。

 4月の半ば編入試験や制服の作成の関係上この時期になったみたい。あとは不思議な指輪が2つ送られてきた。

 一緒に送れてきた生徒手帳によると、学院内で姉妹関係を築くのに使うと書かれていた、望お姉さまから神気を貯める媒体としても使えるとアドバイスを頂いた。


 比売神家の車で高速などを使い4、5時間経っただろうか、いつの間にか結界らしき物を抜けた所に学院はあった、かなり広い敷地で校舎と学生寮以外にも、ショッピングモールらしきものがありその周りだけ見れば小さな街に見える。


 学生寮だけど編入生だけで1つの寮を使うようになっていた、そして私と同じ2年制はすごく少なかった。まだ全員とは挨拶をしていないけど2年制は10人くらいしかいないみたい。あまり人付き合いが得意ではないのでやっていけるのか不安しか無い。


 部屋は2人部屋で同じく編入生の2年の子と一緒になった。名前は忍足茅おしたりかやさん、なんでも編入組1年生の従者として編入してきたとみたいだ。

 本当はその子と同室になるはずだったのだけど、うっとしいと追い出され私と同室になることとなったみたい。


 学生寮で既に送られてきていた荷物を整理していると、学院長室に呼ばれ向かうことになった、そこには学院長である源乃沙織さんとその娘で中等部3年の源乃詩織さん待っていた。


「はじめましてよく来たわね、私がここの学院長をしている源乃沙織よ、話は当主から聞いているわ、何か困ったことがあれば頼ってくれていいわ」


「私は源乃詩織あなたの一つ上ね、後もう一人明海って妹がいるけど後で紹介するね」


「はじめまして渡咲夜です、こちらこそよろしくお願いします」


 挨拶を終えると、色々案内してあげると詩織さんに連れ出され、学院内を案内してもらった。詩織さんは元気っ娘と言う言葉が似合い感じの人だった。

 色々案内された後気付けば何故か生徒会役員に任命されていた……え?

 急な任命だったけど元々会計をしていた人にはものすごく感謝された、去年の九月からやっていたみたいだけど、力不足を気にしていたとかで引き継ぎの時話してくれた。


 力不足?何の事だろうと思ったけど、明海さんも怜さんも役員になるようでそれならと引き受けた、怜さんとはなるべく接点を多く持ったほうが良いみたいだからね。


 そして5月の連休明けに私は姫神怜という運命の片割れと出会う事になる。急に詩織さんに呼び出され向かった先は怜さんの教室。

 そこで目にした姫神怜という存在に私の魂は震えた、この娘こそが私の運命なのだと。そして行われる知っているのとは少し違う指輪の交換。なんだかその後の事はあまり記憶にない。


 指輪の交換はちゃんとされていたので夢ではなかったということは分かるけど、なんだか心がふわふわしていて暫く落ち着かなかった。それが悪かったのか怜さんとの二人での見回りの時あの事件が起こった。



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