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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
2章 指輪の交換と魂の姉妹

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第11話 お姉さまとの語らい

 ホッとしたからか急に空腹をお覚えたと同時にお腹が『ぐぅー』と音を鳴らした。


「ふふふ、怜はまだベッドで休んでなさい、食堂で何かを作ってもらってくるから、それと皆にあなたが目を覚ましたこと言ってくるわ」


「えっと、お願いしますお姉さま」


「行ってくるわね」


 そう言うと咲夜さんは部屋を出ていった。

 確かにまだ本調子でないのか疲れているようだ、素直にベッドに横になっておく。

 寝ながら少し考える、起きてからあえて無視していた事なんだけど、ずっと信仰心が流れてきている。


 舞をしていた時に比べると少ないが信仰心が俺の器に注ぎ込まれていて、その器がそろそろいっぱいになりそうなのが感覚的に分かっている。

 多分この器が満たされれば俺はもう一段回位階を上げることになる、その結果どうなるかはわからないけど止められそうにない。

 女になった時、のじゃロリ神と合うために薬を飲んだ時、そして神器を授かった時の合計3回階位を得ている、そして今回位階が上がれば4階位と言う事になる。


 急に信仰心が集まりだした切っ掛けはあの神楽殿での舞だと思う、そして一気に増えたのが咲夜さんとの神気でのやり取り、あの場には生徒会役員以外いなかったのだが役員からの信仰心は殆どなかったと思う。

 なんとなく原因は分かるけど確信には至らない。

 そんな事をぐるぐると考えているといつの間にか眠っていた。


 遠くから「怜」と呼ぶ声が聞こえた気がした、そこで目が覚めた。

 まだ痛む体を起こすとそこには咲夜さんと織ねぇと明海ちゃんがいた。


「眠っている所起こしてごめんね、おかゆを貰ってきたわ」


「ありがとうございます、お姉さまわざわざすいません」


「おっ怜ちゃんなになに?私がいない間に何かあったの?頑なに言っていなかったお姉さま呼びするなんて」


 目ざといというかこの人はほんとに「いいえ何もありませんよ、それに織ねぇには関係ないことです」と冷ややかに言ってみる。


「え?咲耶ちゃんなんか怜ちゃんが酷いんだけど、私何かしちゃったかな?」


「知りません」と顔をそらしながら答える咲夜さん。


「なにこれ、怜ちゃんも咲耶ちゃんもなにを怒ってるの全然わからないんだけど、明海なにか知ってる?」


「いえ、知りませんが、なんとなく察しはつきます。怜ちゃん無事に目が覚めたようで安心しました、お母さんからは今日と明日はそのまま休んでていいので、後日院長室に顔をだすようにと伝言を預かっています」


「うん、分かったよ、なんかまだ本調子じゃないみたいだし、お姉さまの持ってきてくれたおかゆを食べてから眠ることにする」


「それでは私はご飯とお風呂済ませて来ますね、その間は咲夜さん怜ちゃんの事はお願いします」


「ええ、任されたわゆっくりしていらっしゃい」


「ほら姉さんもいじけてないで行きますよ」


「はいはいそんなに引っ張らなくても行きますよ、それより怜ちゃんあなた今すごく有名人になってるからあまりうろつかないようにね、詳細は咲夜ちゃんにでも聞いてね」


 そう言って織ねぇは引きずるように明海ちゃんと部屋から出ていった。

 なんだ、今の不穏なセリフは。


「えっと咲夜さん今の話はなんなのでしょうか」


「そうね、知っておいたほうが良いかもしれないわね、ご飯の前にお話しましょうか」


 そう言って咲夜さんは色々と現状を話してくれた。

 簡単にまとめると、俺が神気を使ったことで神楽殿にかかっていた認識阻害の結界を壊してしまったようだ。

 それにより神楽殿にいる俺たちの姿が学生寮の屋上から見れるようになって、あれよあれよの内に人が集まり信仰心が流れてくるようになったようだ。

 困ったというか恥ずかしいのが俺と咲夜さんがした神気での会話が一部分読み解かれて広まっているなんて羞恥でしか無い状況になっているとか。

 それに関連して、あの黒い鬼との戦いも見られていたようで、高等部の生徒会役員は対処に追われているらしい、主に告白というイベント回避に。


 話が一段落したのでご飯を食べることになった。

 俺はベッドから起き上がり、お盆の上に濡れタオルが置かれ小さめの土鍋、その鍋の蓋を取ると中にはシンプルなおかゆが入っている。

 テーブルの傍らに女の子座りで座るとそのタイミングを待っていたようにお姉さまがおかゆを掬い、そのスプーンにふうふう息を吹きかけた後こちらに近づけながら「あーん」と言って来た。


「え、あ、あーん」と戸惑いながらも口を開けてもぐもぐ、薄味だけど美味しい胃にしみるようだ。いやそうじゃないあーんってなんだよ、どうして俺はそれをやった。


 再びおかゆを持ったスプーンを近づけてきて「怜ほらもう一度あーんよ」と、いや自分で食べれるし、そのなんだか恥ずかしいので辞めてほしいと目線で訴えるも通じなかったようだ。

 その後は土鍋の中身が無くなるまで「あーん」を繰り返すことになった、正直言うと恥ずかしいけど嬉しかったのは俺だけの秘密としておきたい。


 食べ終わった後お姉さまが「そろそろ私も行くわね、ゆっくりお休みなさい」とお盆を持ち立ち上がり部屋から出ようとしている、見送りするために立ち上がり近寄ると、扉を開ける前にこちらを振り向き「怜今日は嬉しかったわ」と笑顔を向けてくる「私も色々話を聞いてもらい、それを受け入れてもらって嬉しかったです、ありがとうございますお姉さま」と両手を揃えお辞儀をした。


 お姉さまは両手がふさがっているので俺が扉を開けると「ここで良いから、それじゃあね」と部屋を出ていった。誰もいなくなった部屋は妙に寒々しく感じた、時計に目をやると19時半になってる、窓に目を向けると外は夕焼け色に染まっていた。


 ああ、そうだ眠る前にシャワーを浴びないと……それから痛む体を我慢しながらシャワーに歯磨きそれと髪を乾かした後再び眠りにおちる。


 そして次に目覚めた時俺の器は満たされていて、神へ至る位階が1階位上がったのを理解した、だからといって何が変わったのかと言われると困る、俺自身がわからないわけで分かることと言えば扱える神気の量が増えたと感覚的に分かるくらいだろうか。あと身長が少し伸び胸部装甲も少し大きくなった気がする、そのうち新しいブラを新調しないといけないのかと思うと色々複雑だ。


 それからは嬉しい誤算と言えば良いのだろうか、前回クラスボッチから開放されたのは話したと思うけど、今回の事で色々な人に話しかけられる事になった。

 ミカ会長経由だと思うが事情を知る上級生からは「よくがんばったわね」とか「今度美容のこと教えてね」などのお声がけを頂くようになった。


 そしてクラスなのだけど、編入組からもちらほら声がかかるようになり今では新入組と編入組の垣根はほぼなくなったようで、いい結果に落ち着いたのではないだろうか。理由はまあその、指輪の交換ブームが巻き起こったからだと思う、色々聞かれるんだよ、同級生だけじゃなく上級生にも。


 例年だと指輪の交換と言うのは、興味があり相手がおり一歩を踏み出せる人という条件を突破して大体3割の人が指輪の交換をしているらしいのだが、今回の俺と咲夜さんの心から通じ合う姉妹関係に触発されなんと6割近くの生徒が指輪の交換をしたとか(生徒会調べ)。

 俺から特に言うことはないけど、せっかく指輪の交換をしたのだから、学院にいる間だけでもこじれること無く仲良くしてもらいたいなとは思う。


 それと俺と咲夜さんは暇があれば一緒にいる時間が増えた、一緒にいると心地いいのだ、土日を使ってデートである。学院生公認のような現状なので誰はばかること無く一緒にいられるのは今回の出来事の最大の収穫かもしれない。


 咲夜さんが俺の事を知っていたとか、神気が使える理由とかその辺りはあえて聞いてない、どうせ夏季休暇に入れば一緒に比売神の本家へ一緒に行く事になっている、その時にまとめて教えてもらえば良いことだしな。


 そう今は7月半ばもうすぐ長期の夏季休暇だ、多分本家では本格的に舞や儀式の修練に励むことになるだろう、夏は長いのだ修練以外にも咲夜さんと色んな所に行ってみたいと思う。


 前方に私を待つ咲夜さんの姿を見つけ駆け出しその手を取る。


「おはようございますお姉さま」


「おはよう怜」


 朝に交わす言葉はこれだけ、だけど心は通じ合っている。

 繋いでいる私の左手の薬指にある指輪と咲夜さんの右手の薬指にある指輪がふれあい通じ合っていることを証明するように微かに温もりを与えてくれる。


 見上げた空はどこまでも澄んだ青い空、夏は目前今から楽しみだ。



3章「夏の修練と鬼ヶ島での戦い」へ続く(予定)。

一章から続きここまでお付き合い頂きありがとうございます。

面白かったと思っていただけましたらブクマや★をいただけると私が喜びますのでよろしくお願いします。

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