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第06話 前期中間テストとボッチ脱却

 6月になり前期中間テストが週明けに迫っていた。

 この学院は二学期制なのでこの時期に中間テストがあるようだ。

 そして教室での俺はボッチから脱却を果たしていた。

 切っ掛けは朝のランニングが関係している。


 何があったかというと、望姉さん直伝の美容術が役に立ったのだよ。

 毎朝挨拶をしてたまに一緒に走るようになった上級生から、髪が綺麗とか肌がピチピチで白くて羨ましいなど言われたので、その人に合う美容液の使い方などを教えたりしたのだ。


 それが切っ掛けで美容に関する輪が出来上がり、夜の入浴時に質問を受けたり答えたりしている内に同じ寮生のクラスメイトも輪の中に入り、それが切っ掛けでボッチから見事脱却できたのだ。


 ふとなんで美容の事を俺に聞いてきたのか疑問に思ったのだけど、よくよく考えてみればなんとなくこうなってしまったいくつかの理由は思い浮かぶ。


 まず単純に興味はあるが聞く相手がいなかった事だろうか。

 中等部から全寮制なわけで、外部との接触と言えば春夏冬の長期休暇のみ、そんな感じなので知識の仕入れ先なんて限られている。


 聞けば教えてくれそうな場所はいくつかある、学院敷地内の美容室やコスメショップに行けば懇切丁寧に教えてくれるとは思うが、興味がなければ店員に詳しく聞くこともないだろう。


 あとは見せる相手が同性しかいないのも理由の1つだろう。

 今の俺には分からない事だけど、女性は恋する相手にきれいに見られたいとかそういう感じで化粧とかしだすのじゃないかなと。

 まあここは女学院なわけで、中には怪しい関係の人もチラホラ見受けられる、そういう人ほど美容関係に興味を持ち出す感じではあるみたいだ。


 望姉さん曰く「若いときからやっておいたほうが良いわよ」らしいが、それが実感できるのはまだ先で、中等部高等部の年齢だとスキンケアが適当でもなんとかなってしまうのが若さなのだと思う。


 俺は望姉さんの調教で髪の手入れや肌の手入れを仕込まれて、実践する前と後の変化を実感できてしまったから手抜きをせずにずっと続けている。

 まあそんな俺でもまだ本格的な化粧には手を出していないので、教えられる事と言えば化粧水や乳液それと日焼け止めに関する知識だけなんだけど、後は髪の手入れくらいかな?

 一応肌質によって合う製品とか違うから一度美容室なり化粧品店で聞いてみたほうが良いとはアドバイスはしてはいる、全員が全員同じ肌質じゃないしな。


 そんなわけで、クラスでは新入組のグループに混ざる事が出来たわけである。

 相変わらず新入組と編入組の距離は開いたままだけど、これは時間が解決してくれる事を祈っている。


 そして生徒会活動だけど表の方は大体授業が終わってから1時間ほど集まって目安箱の確認をしたり、たまにある生徒の相談事にのったり雑用をこなす。

 役員も来たりこなかったりと結構自由だったりする、大体は集まってお茶を飲んで解散という風になっている。


 そして裏の活動だけど、週一回土曜日の昼に行われている。

 相性を見るということで、チームを変えたりしながら見回り、黒いモヤへ対処するのだけど、俺だけ攻撃手段が無いので足手まといになっている気がして仕方がない。


 織ねぇと回った時なのだけど、本当に殴って黒いモヤをちらしてたのはびっくりした「怜ちゃんはマネしちゃダメよ」って言われたけど誰もやらないって。

 いやでも、神気を纏った状態だと出来るのか?試したくないけど。


 そんな感じで色々チームを試した結果、最近は咲耶さんと明海ちゃんと三人で行動することが増えた。

 咲夜さんは梓弓で弦を鳴らして祓うとかスゴ技を見せてくれた、梓弓を使っている事から梓巫女の流れを持った一族なのだろうな。

 そして明海ちゃんは神楽笛を吹き鳴らし祓っている。

 咲夜さんも明海ちゃんも音に力を乗せているようだ、俺も神楽笛を借りて試してみたが無理だった、どうも採り物にも相性があるようだ。


 俺も鉾を出せばなんとかなりそうな気はするけど、神器をほいほい出すのはどうかと思って我慢している。

 そのうち採り物を一通り試してみようかとも思っているけど、今手元にないので夏季休暇で戻った時にでも挑戦してみるつもりだ。

 俺の神器が鉾と鈴とササが合わさったみたいになっているので、この3つが有力候補かな。今は足手まといながらも周りに助けられなんとかやっていけてる状態だ。


 そうそう咲夜さんとの指輪の交換時に俺に入ってきた何かに関して織ねぇに聞いてみた、あれは信仰心だったらしい。

 信仰を集め取り込めるのは位階を得た者だけらしいので、俺と咲夜さんに流れたみたい。俺たち以外に気分を悪くしてたのはそれとは別で、一気に溢れ出した感情に当てられたようでそちら方面に敏感な人だったみたいだ。


 すごく気持ち悪かったんだけど、あの場で流れてきた信仰心は善も悪も関係なくごちゃまぜになっていたので気持ち悪かったんじゃない?と言われた。

 今では信仰って一種の感情のような物と考えている、高まった感情が体外へ漏れ出てそれが思った相手に流れ込む感じだと思う。


 そして今も度々信仰が流れ込んできている、理由は美容関係を教えていたらいつの間にか流れてくるようになってた、こっちは悪い気がしないし微量なので特に気持ち悪くはない。この美容関係による信仰ってもしかしたら、この状況になるのを望姉さんは想定していて俺に仕込んだのかなとも思う、手のひらでコロコロされている気分だ。


 そして感情繋がりになるけど、黒いモヤの正体がその感情が集まって出来たものらしい。普通は集まる前に散ってしまうようだけど、ここには結界が張られていて、外部からの侵入を防ぐと同時に内部からも出ることができなくなっている、そして普通は散るはずのものが出れないせいで所々で融合しあい黒いモヤになってしまうみたいだ。


 親元を離れて生活する思春期の女の子は他よりしっかりしていると言っても、寂しさとかストレスや鬱憤などがどうしても溢れてしまう、その結果が黒いモヤと言う訳だ。


 そして前期中期末テスト前という事で、生徒会活動は表も裏も休止状態になっている。そんな中俺と明海ちゃんは部屋でテスト勉強に勤しんでいる。そこに織ねぇが邪魔しに来る、いつものパターンである。そして雪菜さんが織ねぇを引きずっていく、いつもと違う展開である。


「織ねぇはテスト大丈夫なのかな」


「姉さんはあれで入学してから一度も1位の座を譲ってないみたいですよ」


「ほわっと!りありー!?」


「It’s true」


 織ねぇって実は頭よかったんだな、あんななのに文武両道とか詐欺じゃないかな。


 そんなこんなで4日かけて行われた前期期末テストは、俺と明海ちゃんは総合上位5位以内に入る成績でテストを終えるのであった。

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