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第04話 生徒会のお仕事 裏

「よし全員揃ったようだな、皆忙しい中よく集まってくれた、全員揃うのは新年度になってから始めてだと思う。今日集まってもらったのは他でもない、新しく生徒会に加わった仲間がいる、初めて顔を合わす者もいるだろうから改めて自己紹介するとしよう」


 そんなミカ会長の第一声から始まった自己紹介。


「まずは私からだ、高等部3年高等部生徒会長の御雷瞳みかづちひとみだ、昼にも言ったが気軽にミカ会長と呼んでくれ」


 ミカ会長はイケメンだ、黒い髪は頭上付近で紙で結ばれ垂らされている、時代劇などで見る下げ髪という髪型だと思う。

 切れ長の目とキリリとした眉が印象的な何というかオトコマエな見た目になっている、俺から見てもカッコ良いとしか言いようがない。


「次は私ですか、高等部3年で名を百地静ももちしずかと言います、役職は副会長で会長が不在の時の代わりや補助をやってます、以後お見知りおきを」


 闇色の髪色は肩口で切りそろえられ赤いカチューシャが目立っている、吊り目がちの目が少し冷たい印象を与えるそんな人だった。

 制服の上からでもわかるくらい大層な物をお持ちのようだ、何を?って察して下さい。


「次はわたくしどすね、高等部2年の藤川美玲ふじかわみれいと申します、会計を仰せつかっとります、今後ともよろしゅうおたの申します」


 京ことばが印象的で、白にも銀にも見える髪色だ、前髪が姫カットになっており背中の中ほどまである髪は青い紐で叶結びにされている、顔立ちは垂れ目気味で優しそうな見た目の人だ。


「星宮マリナ高等部1年書紀」


 うん、マリナさんらしい自己紹介だ。


「はい!中等部3年源乃詩織だ、中等部生徒会長、特技は殴る事!」


 相変わらずの織ねぇである、この中では一番背が低くそして一番年相応な感じなのが織ねぇだ。

 どうもこの学院の学生は総じて大人びているように思える。

 理由はなんとなく想像できる、この学院は外部との接触が極力減らされていて、緊急時やお仕事関係以外だと親元に帰れるのは、春夏冬の長期休暇だけになっている。


 そんなわけで親元を離れての寮生活や、ある程度自分でやらないといけないという生活を続ける内に自然と外の同年代よりしっかりしていいるのじゃないだろうか。

 流石に今年入った1年生はまだそうでもないけど、それでも家の名前を背負っている人が多いのか幾分しっかりしているように見える。


 今更になるけど、この学校の立地は、東南西が山で囲まれていて北側に海があり、日用品や食料はその北側にある港から運び込まれてきている。

 あとは山を含む敷地に認識阻害の結界が張ってあるようで、上空から撮影しても鬱蒼と茂った森しか見えないようだ。


 さて自己紹介の続きだ。


「副会長の芦田雪菜あしだゆきなです、中等部3年生でそちらにおれらる美玲さんとは従姉妹の間柄になります、副会長の職は詩織さんに無理やり押し付けられました」


 美玲さんと従姉妹と言うように、髪の色が同じで髪型は赤い紐で蝶々結びで二つ結びにしているようだ。

 そして織ねぇの被害者らしい、みんな「あー」と言いたそうな顔で頷いている。

 何故か織ねぇだけがドヤ顔しているのが謎である。


「私は渡咲耶わたりさくやです、中等部2年生の編入生になりますので、まだこの学院の事はあまりわかりません、諸先輩方のご指導のほどよろしくお願いします、私も源乃さんに誘われる形で生徒会入りしました、役職は会計です」


 咲夜さんは中等部2年の数少ない編入組だったようだ、確か中等部2年生の編入組は10人くらいしかいなかったはずだ。


「私は源乃明海です、中等部1年書紀を承りました、そこの駄目姉とは姉妹と思われたくないですが、残念ながら源乃詩織の妹になります、あと姫上怜さんとは従姉妹になります、よろしくお願いします」


 なんか毒がマシマシな明海ちゃんである。

 そして最後は俺だ。


「中等部1年姫上怜、諸事情により連休明けからの入学になりました、書紀をやることになりました聞かされたのは今日のお昼です、詩織さんと明海さんとは従姉妹になります、よろしくお願いします」


 中等部の役員って全員織ねぇの被害者じゃないだろうか、それより織ねぇを中等部の生徒会長に据えたのが誰だか微妙に気になるし務まっているのだろうか。


「自己紹介が済んだ所だが、さっそく生徒会の裏の活動について教えておこうと思う、生徒会の表の仕事は対して忙しくもない、部活や委員会と呼ばれるものも無いから会議も必要ない、予算配分がどうとかいう仕事は学院側がやってくれている」


 ミカ会長が確認するように俺たちを見回した後続きを話し始める。

 裏の仕事と言うのは気になるが説明してくれるようなので聞きに徹する。


「表の仕事の大半が目安箱に入れられた意見を纏め学院に伝える事や、生徒の相談事に対応するなどの雑用が主な活動になっている。では裏の活動とは何か……ふむそうだな、まずは自分の目で見てもらったほうが良いかもしれないな、みな少し移動するとしようか」


 そう言うとミカ会長は立ち上がり移動を促してきた。


「目的地はこの上の時計塔の更に上になる、一般生徒の立入禁止区画となっている、ではついてくるように」


 中央階段を登り施錠されている扉を抜けると大時計の裏側に出た、そこからまだ上に登るり、再び施錠された扉を抜けると不思議な場所が目に入ってきた。そこには祭壇のような物と神楽殿かぐらでんと思しき建物が建っていた。

 外から見ても決して見ることが出来ない建物それがこの神楽殿だと教えてくれた。


「さてここがどういう場所なのかは今はいいだろう、中等部の咲耶くん、明海くん、怜くんの3人は何故生徒会役員に選ばれたか疑問に思った事だろう。詩織くんの暴走と思っているかもしれないが……半分はそういう側面もあるが君達を承認したのは私だ」


 俺と明海ちゃんに関しては織ねぇのわがままだと思っていたけど、それだけではないようだ。


「生徒会役員になる条件で一番大事なのは優秀であることだ、と言っても勉学が優れているとか運動神経が良いという優秀ではない、それと家柄でもない。そうだな怜くん君は神気を扱えるだろう、それも近年稀に見ないほどの物を」


 自然とミカ会長を警戒する心持ちになった、俺の事を知っているのはこの学院内だと織ねぇと明海ちゃんそれと沙織さんだけのはずだ。


「すまないね、私の目は特別製でね普通に見れないものが見えるのだよ、咲耶くんそれに明海くんもそれぞれ優秀な力を持っているのも見えている、ああ安心したまえここいいる者以外に知らせる気はない、例えそれが教師でも学院長でもね」


 ニヤリと笑いを浮かべるミカ会長、織ねぇは知っていたのか特に反応はない、咲夜さんと明海ちゃんはどう反応したら良いのか決めかねているようだ。


「君達が選ばれた理由は理解してくれたかな、私達生徒会の中でなら君達は力を隠す必要がないとだけ今は理解してもらえば良い、生徒会の裏の仕事には君達の力が必要なのでね」


 俺の神気に関してはばれるのは時間の問題だと思っていたけど、入学して1週間程で知られるとは思ってもいなかった。

 神気については知られても特に何かあるわけでは無いし、問題があるとしたら位階がバレることだろうか、それがバレると色々な所からちょっかいがかかるかもとは聞いている。


「ふむ、それぞれ考えは纏まったようだな、では改めてここに来てもらった理由だ、みなそれぞれの力を使ってここから敷地全体を見回してみてほしい」


 取り敢えず言われた通り見てみよう、俺は神気を体全体に巡らせてまずは北側の手すりまで移動し外を見てみる。

 周囲は夜に向かって周りは茜色に染まっている。


 まず見えたのは全体を囲むように張られた結界、神気を纏って見るとああいうものも見えたりする。

 次に見えたのは黒いモヤのような物だった、見ているだけで気分が悪くなりそうだ。見せたかったのは多分これなのだと思う。


「ミカ会長あれは何なのでしょうか?」


 俺と同じ様に神気を纏っている咲耶さんがミカ会長に聞いている姿が目に入った、濃度は分からないが身内以外で初めて神気を使っている人を見た気がする。


 周りを見てみると、神気を纏っているのは俺と咲夜さんのみで、他の人達は神気とは違う力を使っているみたいなのだけどよくわからない。

 織ねぇと明海ちゃんも神気ではない力を使っている、比売神の家系は神気だと思っていたが違うことにびっくりした。


「皆見えたようだな、あれを祓いもしくは退治するのが我らが生徒会の裏の仕事になるのだよ、そして現在あれらに対処できる力量を持つと私が判断したのが君達だ」


 ミカ会長は、金色に変わった瞳で俺たちを見ながらそう言った。

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