第03話 生徒会のお仕事
お茶を飲んで一息つきながら咲夜さんを見てみる、先程教室ではちゃんと見れなかったが改めて見ると顔立ちが比売神の家系に似ている気がする。今の俺と並べば本当に姉妹と言われそうだ、違う部分といえば咲夜さんは髪色が青みがかった夜色の所かな、あと肌が少し俺に比べると日焼けした感じになっている。
素材は良いのにあまりちゃんと手入れしてない感じがもったいなく感じる、日焼け止めクリームを勧めたほうがいいのだろうか。これは妹としてお手入れのお世話をするべきなのかもしれない。
そういえば咲夜さんとはちゃんと自己紹介してない気がする。俺が見ているのに気づいたのか咲夜さんはにこりと笑う。俺は席を立ち咲夜さんの前へ移動する。
「あの咲耶先輩少しよろしいでしょうか」
「ええ良いわよどうしたの?」
「姫神怜です、よろしくお願いします」
頭を下げる。
咲夜さんが立ち上がり、俺の手を取り指輪を撫でながら。
「渡咲耶よ、よろしくね姫神さん」
「ちょっとちょっと違うでしょ、怜ちゃんに咲耶ちゃん」
織ねぇが割り込んできた、何が違うのだろうか。
「怜ちゃんは咲耶ちゃんの事をお姉さまと言いなさいよ、咲耶ちゃんも怜ちゃんの事は怜って呼び捨てでいいのよ、二人共指輪の交換をして姉妹になったんだから」
急にそんな事言われてもどうしたら良いんだ?「お姉さま」とか何か危ない関係みたいで躊躇われるんだけど。
「詩織くん無理強いは良くないよ、咲耶くんと怜くんは先程初対面で指輪を交換したのだろ?そう急ぐ必要はないだろう、仲が深まれば自然と呼び方も変わるはずさ」
「ミカ会長の言う通りですよ姉さん、指輪の交換でさえ姉さんが勢いでやったようなものですから」
織ねぇが責められて涙目になっているのをあえて無視して、咲耶さんとどうしようかと相談した所、俺は「咲耶さん」と呼ぶ事になった、一方咲夜さんは「怜さん」と呼ぶ事にしたようだ。
一応怜と呼び捨てか、みんなが呼ぶ怜ちゃんでも良いですよと言ったのだけど、怜さんがいいとの事だった。
パンパンとミカ会長が手を叩き注目を集めた。
「さて時間もいい塩梅だろう、生徒会室には放課後に再び集合だ昼来なかった者との顔合わせをする、それと怜くんは生徒会の活動について明海くんから教えてもらうと良い、以上だ他に何かあるかな」
今更ながらやっぱりここは生徒会室だったのか。
「ふむ何も無いようだな、では解散」
ミカ会長を先頭に連れ立って部屋を出る、高等部組に頭を下げてから中等部の方へ移動。
生徒会室は3階にあったようで階段の所でまずは織ねぇと分かれる、階を1つ降りるた所で咲夜さんと別れ、一階で西側の中等部校舎の方に移動する。
角を曲がって1つ目の教室が1年雪組で俺の教室になる、ここで明海ちゃんと別れ教室に恐る恐る入るが、先程の喧騒が嘘のように教室の中は落ち着いている。
相変わらず俺の姿を見ると、ひそひそ話が始まったけど。
少しだけ校舎の位置関係を思い浮かべる、1年生は3クラスある中等部高等部共に1フロアに教室は3つになっていて、今年は中等部1年以外は1教室空いている状態だ。
西側校舎の教室の位置は角から花組、トイレ、階段、月組、雪組、階段という感じになり北側校舎に曲がった所にトイレが有る。
その横が保健室、玄関へ続いて今は使われていない購買跡地が有り再びトイレになっている。
東側校舎の配置は西側と同じと思ってもらえればいいだろう、クラス名が芍薬、牡丹、百合となっている以外は。
西と東の校舎の南の奥に非常扉が有って、外に非常階段が設定されている。
北側校舎の教室の配置はちゃんとまだ確認していないけど、教員室と学院長室と来客用の部屋などは2階に固まっていて、外から直接2階にいけるように来客用玄関が備え付けられている。来客用玄関から一階に降りて北側に暫く進むと、教員宿舎があるみたいだ。
午後の授業も問題なく終わった、終礼も終わりクラスメイトは教室を出ていく。
授業と授業の合間の10分休憩に何度かクラスメイトから話しかけられそうな気配を感じたけど、結局誰にも話しかけられる事もなく放課後になった。
このまま俺の学生生活はクラス内ボッチで過ごすことになるのだろうか。
2人組か3人組作りましょうって時に一人ハブられるとかなったら泣くぞ。
まあいいまだ学院生活は始まったばかりこれから時間はあるしなんとかなるはずだ。
生徒会室に向かうため席を立つ、丁度明海ちゃんが教室の前に来たので一緒に行く事に。
歩きながら書紀の仕事について聞いて見たけど、大体想像通りな感じだった。
会議での話の内容を議事録に記録、後は学内に設置されている目安箱に届いた意見集約、それからこれは全役員が関わる事らしいけど、学内の問題解決といった所らしい。
例年なら1学年に一人だけど、今年の中等部1年は人数が倍近くになったので二人入れることにしたらしく、織ねぇの暴走……計らいで俺が入ることになったらしい。
変わっている所と言えば、生徒会は選挙などで選ばれるのではなく、役員による指名によって選ばれるという話だ。
この学院自体が特殊な学校なので、生徒会=雑用係みたいな側面が強くて誰もやりたがらない時期が続き今の指名性になったみたいだ。
どういう所が特殊な学校なのかと言うと、まず部活というものが無い、次に文化祭や体育祭と言うものも無い、あと音楽や体育の授業も無いしプールの授業も無いので体操服もないし学校指定のジャージも水着なんてものもないわけだ。
逆に普通の学校にないものと言うと、選択式になっているが神学と陰陽、魔法魔術錬金などの授業があったりする。
放課後や土日の活動としては、部活の代わりに各種の宗派や派閥で集まり勉強や修練をする形になっている。
その辺りはそのうち語る機会があるかもしれないし無いかもしれない、だってこの学院だと俺や織ねぇに明海ちゃんは属す派閥がなかったりするからだ、それに全員が全員どこかに所属するってわけでもないので、フリーな人も結構多いるらしいのだ。
特に今年は編入があったせいで、様々な事情で本家やら分家やらややこしい人間関係が多すぎて学院側も匙を投げている状態なのだと。
この辺りの話は、入寮した時に学院長である沙織さんにお呼ばれして聞かされた。
他にも色々聞かされたが、正直面倒くさいなーとしか思えない事情が多かった、その辺りも機会があれば話すタイミングもあるかも知れない。
そんな感じのことを考えていると生徒会室に着いた、まだ誰も来ていないようだ。
生徒会室の中は、入って正面奥に大きな机がありその前に長いテーブルが2つ少し離れて置いてありテーブルの上にはノートパソコンが置かれている。
右側の壁には黒板左側には本棚がありファイルが並べられている。
最初連れられて来た部屋は隣の休憩室だとの事だ、そちらを覗いてみると中央にテーブルが有りそれを挟むように俺と咲耶さんが寝かされていたソファーがあった。
奥には給湯スペースがあり冷蔵庫に電子レンジ、電子ケトルと小さめの食器棚が見えた。湯呑やカップなどは各自が自前で用意すると良いみたい、茶葉などは経費で落ちるので会計に申請したら用意してくれるとの事だ。
今の生徒会の人達は緑茶派が多い様で、色々な茶葉が置いているみたいだ。
休憩室から生徒会室に戻ると、織ねぇ以外は集まっているようだ。
「すまないが、怜くんと明海くんは隣の空き部屋からテーブルを1つと椅子を2つほど持ってきてもらえないだろうか、今あるテーブルだと少し窮屈になりそうなのでね」
確かに今までより俺一人分増えると狭くなりそうだ、了承の返事をして2人でテーブルを運んで来る、椅子はマリナさんが手伝って運んでくれた。
運び終わってテーブルを雑巾で拭いていると、織ねぇも来て生徒会役員全員集合である。