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第11話 新しい世界

 あの日から世界は随分と変わってしまった。大厄災直前も変わってはいたけど、今はそれ以上に変化を見せている。どう変わったかと言うと先祖返りとでも言えば良いのか、アヤカシの要素を持つ人達がそこかしこに現れだした。


 そしてアヤカシだけではなく、神々の要素を強く引き継いだ人たちも出始める。見た目は唯の人だとしても、身体能力が今までの倍になっているとかは普通になっていたりする。


 他にも神々の力を受け継いだ人も増えて、私たち比売神の人たちも、元々神気を持ていなかった人たちもあらかた神気が使えるようになってたりする。それも私たち比売神だけではなくて、他の神々に連なる人たちも同様みたいだ。


 それでも人とは慣れるもので、数ヶ月もしたらそれがあたり前のようになっていたりする。民族性とでも言えば良いのだろうか、私たちの国は世界が未だに混乱している中で、真っ先に落ち着きを取り戻している。


 一方朱天達アヤカシなのだけど、今までのように依代などに潜り込むことができなくなっている。なんて言って良いのか難しいけど、実態を持った? 肉体を持った? そんな感じらしい。


 この国で人と共に歩くことを決めたアヤカシ達は、それぞれ関わりのある家や組織で新しい立場に収まっているのが大半だけど、それから外れたアヤカシは陰陽寮がまとめて世話をする事になっている。ちなみに朱天達は比売神の預かりとなっていて今は本家で居候するとともに、色々とこき使われているみたいだ。


 敵対していたアヤカシである黒翼達は、生存が確認されているようだ。今はこの国から抜け出して大陸の方で暴れていると聞いている。


 どうも大陸の現政府は、太古から存在するアヤカシや仙人と完全に敵対しているようで混乱が収まる様子が見られない。彼の国の国民はアヤカシ側に傾いているようなのでそのうち別の国になるのかも知れないね。


 アヤカシやそれに類するものと強調する国、敵対する国様々だけど、暫くはどの国も落ち着くことはないのかも知れない。


 一方この国ではあれから数ヶ月たち、世間が落ち着きを取り戻した事により、私たちの日常も戻ることとなった。約一年ほど機能していなかった神樹女学院へ再び通う事になったわけだ。


 勉強の進み具合がちょっとばらつきがあるので、学院が正式に再開されるまでは補習補習の連続だった。そんななか一番大変だったのがきっと大学受験に挑んだ高等部3年生だと思う。


 年明けには落ち着きを取り戻した学生が学院へ戻り無事を確かめあった。中には残念な事に学院へ戻ることが叶わなかった人もいたようだけど、私の同級生はみんな無事に戻ってきていた。


 そして卒業式が行われ、織ねぇを始めとする高等部三年生は学院から巣立っていった。



 春、新年度の始業式を終えて私たちは生徒会室へと集まっている。その中で一人だけニューフェイスと言える人物がいる。そうあのアマテラスオオミカミから預かる形となった少女だ。


 彼女の名前は天城輝あまぎてるといい、中等部1年生になる。彼女はなんというか───。


「もう輝ちゃん、怜さまからそろそろ離れてください」


「いや」


「怜様も余り甘やかさないでください」


「楓うるさい」


「ぐっ、少しは上級生を敬いなさい」


「べー」


 輝が舌をだしている。


「あははは、ほら輝は一旦離れて座りなさい」


「はーい」


 やっと組んでいた腕を離して離れてくれた。まあ何ていうかこういう感じになっている。ちなみに部屋割りは3人部屋に移動して私と咲夜と輝の3人で使っている。私から離れた輝は咲夜の隣に座って大人しくしている。


 最初の頃は私か咲夜が近くにいないと子どものように泣きじゃくっていたのだけど、今では他の人とも普通に会話できるようになっている。まあ私と咲夜にベッタリなのは変わらないけどね。


 そう言えば学院に帰ってきてからいくつか変わったことがある。どうやら学院生の中にあの戦いの場にいた人が何人もいたようで、そういう人の注目の的になってしまっている。


 そんなわけなので色んな人から「お姉様」なんて言われ始めた。それに焦ったのか明日の休日に楓に鏡池に呼び出しを受けている。理由はまあわかる、今まで忙しさもあるけどあえて考えないようにしていたのだけど、それもそろそろ答えを出さないといけないと思っている。


 実は答えはすでに決めている。咲夜に相談した所「怜が自分で決めなさい、私はあなたの決断を尊重するから」と言ってくれた。私も楓も明日のことを周りに悟られないように普通に過ごしている。この感じだとバレては無いと思うんだけどね。

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