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第06話 普通にいらないんですけど

「大厄災とはのはるか昔に戻るとも言えような、人と人ならざるものが共に生きていた時代、神世の再来とでも言えばよいかの。大厄災いっておるが、別の視点から見ると祝祭と言えなくもないがの」


「つまり私達人にとっては厄災ですが、アヤカシなどにとっては祝祭、つまり朱天が言う所の祭りと言う感じなのかな」


「そなたの言うように、そう思うても良いかも知れぬな」


「ふと思ったのだけど、大厄災を無事越えたとして俺たちの変わってしまった世界は元に戻るものなの?」


「その問いに関しては否と、変わった世界は戻らぬ、そうよなもし戻るとしてもそれは数千年の後となるであろうな」


「数千年……」


 俺たちの生きているうちはもう元の世界には戻れないということか。朱天や椿姫と出会いを考えると正直アヤカシが表に出てきていない世界のほうが良かったとは言えない。


 大多数の今までそういう世界を知らなかった人たちの取っ手は迷惑な話なのかも知れないけどね。今後もこの世界が続いていくならそれはそれで良いかも知れないと思ってしまう。


「それぞれ思うことはあれども覚悟は決まったようじゃの」


 咲夜さん達に目を向けてみると、みんなそれぞれ自分の中に答えを見つけたような顔をしている。


「他に聞きたいことはあるかの?」


 急に言われても思いつかない、大体聞きたいことは聞いてような気もする。


「ふむないようじゃの、おっと忘れるところであったわ、比売神怜よお主に一つ贈り物を授けようと思って追ったのじゃ」


「贈り物ですか?」


「そうじゃ、きっとお主に似合うであろう」


 なんだかすっごくいい笑顔をしているけど、不安しか無いんだけど。


「えっと、それでその贈り物ってなんなのかな」


「それはの、我の着ておる服と同じものじゃよ、これを着ることによりお主の位階は更にあげることが出来るであろう」


「えっ、普通に嫌なんだけど」


 いやだってあの露出狂一歩手前のような布面積やら、ひらひらやらが付いた衣装なんてきたくないんだけど。


「露出狂とか普通に傷つくのじゃが、まあ着るか着ないかは好きにすれば良い(どうせ着るは目になるわけじゃがの)」


「今何かすごく不穏なことを言いませんでしたか?」


「気の所為じゃ、それではのお主らのが無事大厄災を超える様を見ておるでの」


 のじゃロリ神が柏手を打つと、俺の意識は闇に落ちた。



 目が覚めた、ここは多分神社の仮眠室かな? 衣服は奉納舞の時に着ていた巫女服のまま布団に寝かされていた。障子からは陽の光が透けて見える事から既に夜は明けているようだ。


 布団から起き上がると空腹なのに気がついた。部屋から出て廊下を歩いていると初詣の喧騒が聞こえてくる。毎年しているイベントは中止になっているけど初詣などは例年通り出来るようになっている。


「怜目が覚めたのね、とりあえず社務所に言ってご飯もらってきなさい」


「望姉さんおはよう、いつこっちに来たの?」


「今さっきよ、みんなが奉納舞の時に倒れたって聞いてね、お婆ちゃんとお祖父ちゃんも一緒に来ているわよ」


「そうなんだ」


「話は後で聞くって言ってるからまずはご飯ね、他の子はもう先に言ってるから、いってらっしゃい」


「うん、分かった行ってくる」


 望姉さんと分かれて社務所に行くと、俺以外はみんな食事をしている。


「咲夜さんおはようございます、明海ちゃん鈴ちゃん篠ちゃんおはよう」


「怜おはよう」


「怜ちゃんおはよう」


「怜さんおはようございます」


「(こくこく)」


「怜も座って、ちょうど用意ができた所だから一緒にいただきましょう」


 空いている席に座る、目の前には和紙が被されている食事が用意されていたので和紙をのけるとご飯とお味噌汁に漬物だった、今日はこれくらいがちょうどいいかも知れない。


「「「いただきます」」」


 お味噌汁を一口、あー空きっ腹には染みるー。大根の漬物が眠気を飛ばす、ご飯を食べてお味噌汁を飲んで漬物を食べる。食事の後はお茶をいただく、なんだかほっとする。


「ごちそうさま」


 食器を洗い場まで運んで洗って水切りかごに伏せておく。他のみんなも食事を終わらせたようで食器を持ってきたのでついでに洗うってかごに伏せておく。洗い物を終わらせもう一度席に座ってお茶をいただく。


「明海ちゃんこの後の予定なんかは聞いてる?」


「まだ聞いてないかな、私も怜ちゃんが来る少し前に起きたばかりでここに来たから、みんなそうだと思うよ」


「そうなんだ、じゃあここで待っていれば良いのかな」


「だと思うよ、それにしても私まで神器を授かるとは思わなかったよ」


「えっと明海ちゃんは笛だったよね、鈴ちゃんが五十鈴で篠ちゃんが扇だったかな」


「そうだよ」


 そう言って笛を取り出す。


「すこしだけ吹いてみたけど、なんかすごかったよ」


 何がどうすごいのかは分からないけど、明海ちゃんは満足のようだ。鈴ちゃんと篠ちゃんもそれぞれ神器を取り出して感触を確かめている。


 鈴ちゃんが五十鈴をなんと話に振ったと思ったら、鍔の部分が五十鈴の鉾らしきものが出てきた。


「おぉーなにそれすごい」


 急に鉾が出てきてフリーズしている鈴ちゃん。篠ちゃんが触ろうとしたけどやはりというか他の人の神器はさわれないようだ。


 それにしてもあののじゃロリ神は一体俺たちに何を求めているんだろうね。というか俺たち比売神って本家筋じゃなくて、分家筋のはずなんだけど本家の方は良いのかな。

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