表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/131

第04話 新たな日常

「朱天そっち行ったよ、気をつけてね」


「クカカカカ、任された」


 正気を失ったように襲い来るアヤカシの群れに向かって朱天が六角棒を持って走り出す。少しでも数を減らそうと遠距離の攻撃ができる人たちが前衛の邪魔にならないように後方へ攻撃を集中させている。


 俺はパンッと音を響かせるように柏手かしわでを鳴らし敵が侵入できないように結界を貼る。そこかしこで轟音と光が乱舞している。


 秋も終わり冬も目前と言うこの時期に俺たちは北陸の海に面した街に来ている。集まった人たちの数は100を優に超えている。街の住人は避難を済ませていている。


 そして戦いは日が落ちるとともに始まった。海から這い出てくる水死体の様なモノたちや、半魚人のようなものたち、そして大海蛇の様な大型のものまでいる。


 こういう戦いはもう慣れたものである程度パターン化がされている、まずは、弓矢札術などを就寝とした遠距離攻撃から始まり、次の攻撃をするまでの時間稼ぎとして近接の攻撃手段を持つ人達が突撃していく。


 近接攻撃者はある程度間隔を開けて味方を巻き込まないように範囲攻撃を仕掛ける。そしてその奥を狙うように再び遠距離の攻撃をする感じだ。


 その中俺みたいに結界を張れるものが、敵だけを通さない結界を張り時間を稼ぐ、それの繰り返しだ。大体の敵のアヤカシは、何者かに操られているようにただひたすら突撃を繰り返してくる。


 何が狙いなのか全くわからないこの状況が最近は繰り返されている、大体この流れは日が昇れば終わる。最近は完全に夜型人間になっていたりする。


「咲夜さん大丈夫ですか」


 俺の横で神器の弓を使い雨のように矢を降らせる五月雨打ちをし続けている。


「ええ大丈夫よ、怜こそ無理しないようにね」


「私は結界を張ってるだけですので大した負担はないですよ」


「怜ちゃんのそれは普通じゃないからね」


 笛を吹いていた明海ちゃんが呆れたように言ってくる。


「怜様ってなんだか日に日に力がまして行ってる気がします」


 俺の警護として待機している楓も呆れ顔だ。そんなこと言われてもなんでそうなっているのかいまいちわからないんだよね、たしかにここ最近神気の量が増しているのはわかる。でも結局結界を張るくらいにしか使えないへっぽこぶりだ。


 その結界もバリエーションが増えて、少しは攻撃の約にも経つようになっているのだけどね。俺の結界に無理やり入り込めばアヤカシは動きが鈍り、逆に人は力を増すようになっている。


 神域結界というらしい、今の時代で使える人は殆どいないとか、特に国内では使える人は俺を合わせて3人しかいないらしい。といっても神域結界は流石に長時間張れないので奥の手って感じになっている。


 そうこうしている内に、大海蛇が倒されたようで襲ってきていたアヤカシが海へと引き上げ始めている。どうやら今回はあの大海蛇が中核だったみたいだ。今までの経緯からしてあの大海蛇には、千手姫などに打ち込まれていた黒い杭が刺さっているはずだ。


 あの杭を刺されたものが多数のアヤカシを従えて人の世に出てくる、そしてその杭を持つアヤカシを退治するか杭を抜くことができればアヤカシも自然と引き上げていくようになっている。


 なんだかゲームのようにも感じられるそんなのが今の現実になっている。念のため索敵効果のある結界を広範囲に広げて調べるが特に異変はないようなので、今回の戦闘はこれで終わりのようだ。


「朱天、咲夜さん、明海ちゃんもお疲れさま」


 朱天が飛んで俺のそばに着地するとあくびをしながら依代の中に引きこもってしまう。


「桜さんと楓もお疲れさま、今回は早く終わってよかったね」


「怜様もお疲れ様です、怜様の結界のお陰で今回も怪我人は殆いないようですよ」


「そう言ってもらえると私も嬉しいかな」


 まとめ役の人が点呼をグループごとに点呼を取って、近くにある旅館へ向かう。今日はこのまま旅館に泊まり朝には本家へ戻ることになっている。


 いま学院は半閉鎖のような状態になったいたりする、いま学院に残っているのは教師陣と戦うちからを持たない学生だけになっている。たたけない学生は元々こういう自体になった時の避難場所として学院に多額の資金を出している。


 現在色々な予言や占いなどの力を使える人が言うには、年が開けたら世界はもっと混沌となるという話だ。それに備えるために、政治家などは強固な結界に守られた場所に住まいと政府機能を移している。


 一般の人達もそれぞれの戦いをしている、特にインフラ関係者は電気やガスの供給が止まらないように奔走している。そして外の学校は学級閉鎖となっている、どうしてもそこまで手が回らないのだとか。


 それに子どもが能力に目覚めという事例が増えている、学校で能力が暴走などしたりしたら大変な事になるのが目に見えているからね。能力が目覚めた子どもはその能力の特性によって指導を受けたりもできるようにはなっている。


 ちなみにうちの比売神家にも何人かの子どもを預かっている。といっても俺のように女になるってわけではなく、元から女の子なのだけどね。


 この状態は大厄災が終わるまで続くんだろうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ