第01話 高等部に進学しました
日課のランニングを終えてシャワーを浴びてから朝食を食べる。入学式も終わって高等部に上がってから既に一週間ほど経っている。制服が変わったせいか入学したばかりの初々しい中等部性を見ているとなんだか無性に懐かしく覚える。まあ制服変わってから一月も経ってないんだけどね。
俺の体の性別が男から女になってから3年過ぎたことになる。ここ3年の内容が濃すぎて既に男だった頃の事を余り覚えていない。何もわからないまま家の事情を知らされて、母や姉も祖母ですら元々が男性だったとか言われたり。
夢の中で神様と出会ったり、男だた頃は想像すらしなかった様々なことを知らされ、入学予定だった中学校から中高一貫の全寮制の女学院へと入学先が変わったり、そのせいで今では何とも思わないけど、当時は精神を削られるお買い物をするはめになったんだったね。
そして遅れての神樹女学院への入学、そこで出会ったのが咲夜さんだった。織ねぇによる突然の姉妹の契りを結ぶことになり、その関係は学院内で起きた事件により深まり、今でもその関係は少しずつだけど深まりながら続いている。
突然アヤカシ退治に駆り出されたり、朱天との出会いもあったりと、今思えば一年目から色々あったね。2年目も3年目も色々と大変な目にもあったけど、充実した日々だったかな。直近では血の繋がっているけど、年上の妹が出来たりなんて摩訶不思議な事もあったからね。
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さて生徒会も新体制となり、新入生も参加しております。
高等部生徒会長 源乃詩織 高3
副会長 芦田雪菜 高3
書紀 渡咲夜 高2
会計 姫神怜 高1
会計 源乃明海 高1
中等部生徒会長 斉穏寺楓 中3
副会長 真咲桜 中3
会計 東雲梓 中2
書紀 雷門桐華 中2
会計 姫神椿姫 中1
書紀 冬氷氷雨 中1
意外なこと、と思われるかも知れないけど、中等部の生徒会長は楓となりました。サポートとして桜さんがついているので問題ないでしょう。そして順当に椿姫も生徒会入りです。そしてなんと椿姫が新入生代表を務めるなんて位置場面もあった。
そして、冬氷氷雨さんはなんとアヤカシである雪女とのハーフだったりする。良いのかなーと思ったけど良いらしい。まあ椿姫もいるわけだし、それを言い出したら俺たち比売神家も神様の血の流れを持っているからね。
氷雨さんに聞いたのだけど、雪女の子どもはだいたい雪女となるようなんだけど、たまに氷雨さんみたいに、属性が人間よりのハーフが生まれるとのことだ。女性しか生まれない雪女ってなんだか俺たち比売神と似ているなと思わなくもない。
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ある日の土曜日、授業が午前で終わったので生徒会室でくつろいでいると生徒会室の扉が開かれた。
「やあやあ、みんなおそろいだね」
生徒会室でくつろいでいると、織ねぇが現れた。
「どうしたの急に?」
「いやね、なんだかずっとバタバタしてたせいで歓迎会をしていなかったと思ってね、今から自己紹介を兼ねて新入生の歓迎会やらない」
「今からですか?」
「お姉ちゃんはほんといつも急にそういう事言うよね」
咲夜さんの疑問と、明海ちゃんの言葉にうなずきながらも、たしかにちゃんと全員揃ってお自己紹介ってやっていない気がする。
「確かにみんなが揃っての歓迎会や自己紹介は未だにやっていませんでしたね」
「でしょう、だからみんなが揃っている今日やってしまおうと思ったんだよ」
「このままここでやるってことでいいのですか?」
「それもいいけど、どうせならお菓子とかジュースとか持って行って屋上とかどうかなと思ってるんだよね、外はいい天気だからね」
「みんなどう思う? 私は良いと思うけど」
高等部組は織ねぇが言い出したら止まらないのは理解しているので従うことに自然となっている、その辺りは桜さんや楓も同様だね。
「私は先輩方にお任せします」
東雲梓さんがそう言うと、雷門桐華さんもそれに追従する用意に頷いている。
「ボクも賛成だよ、屋上は晴れれてもいい風が吹いているからね、きっと気持ちいいよ」
「暑いのは苦手ですが、反対はいたしません」
椿姫と氷雨も参加するみたいだ。
「よーしそれじゃあ、予算は生徒会から出すので、怜ちゃんと咲夜さんは買い出し班ね、荷物持ちとして椿姫と氷雨も一緒に行ってもらえるかな」
「わかった、行って来るよ」
残った人は物置き場から敷きものとかを持って屋上に移動ね、使い捨てのお皿とかコップは横の準備室にあると思うから探して持って行ってね。
「それじゃあみんなそれぞれ行動しましょう、怜ちゃんは領収証忘れずにもらってきてね」
「わかったよ」
俺と咲夜さんに椿姫と氷雨で連れ立って商店街の方へ歩いていく。日差しが出ていて結構暖かい、氷雨はそれでも暑いのかちゃっかり日傘を差している。
「氷雨はやっぱり暑いの苦手なの?」
「ええ、暑いですね、今まで人里に降りた事があまりなかったので、山から降りるとこんなに暑いんですね」
「あー確かにね、ボクも山を降りるまで人の街がここまで暑いなんて思わなかったね、といってももう慣れたらそこまで暑いとは感じないけどね」
氷雨と椿姫が仲良さげに話している、どちらも半妖という事で気があったと聞いている、半妖特有の苦労とか色々と共感出来たのかも知れないね。そんな感じで話をしながら買い物っを済ませる。
大きなペットボトルのジュースや大袋のお菓子をいっぱい買ってから、手分けして屋上まで運ぶ。屋上の方に上がると、奥の社の下で敷物が敷かれて残った人たちが箒で掃き掃除をしているところだった。
「お待たせ、買ってきたよ」
「怜ちゃんもみんなもお帰り、よしみんな掃除はその辺りでいいでしょう、箒とか仕舞って戻ってきてね」
「「「はい」」」
桐華と梓の二人が桜さんと楓の分の掃除道具を受け取り社の裏の物置になおしに行った。二人が戻ってくるのを待ってから敷きものに座り、好きな飲物をついでそれぞれあいている所に座る。
「それじゃあ、自己紹介……の前に乾杯しましょうか、みんな飲み物を持ったら立ち上がってね」
織ねぇの言葉にしたがいたそれぞれがジュースを持って立ち上がる。
「それでは今年の生徒会の前途を祝してかんぱーい」
「「「かんぱーい」」」
久しぶりに飲んだ炭酸は意外とおいしかった。