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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
8章 始まりは平穏に、不穏な冬を超え、戻る平穏
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第08話 壊れる結界

 何度もヘリコプターで移動を繰り返しただろうか、座りっぱなしなので腰が痛い。思ってたよりもヘリコプターというものは早いようで、思っていたよりも多くの人達の移動を手助けすることが出来たみたいだ。


 日が暮れる前には結界での輸送お補助はおわり、今は望姉さんと咲夜さんに椿姫と茨木姉さんと合流してホテルで休んでいる。ホテルと言ってもラブな所ではなくて、高級と名が付く豪華なホテルだった。今日はイヴだし普通のホテルからラブなホテルまで満室なんじゃないだろうか。


 家族用なのか寝室が3部屋あり、一部屋のベッドが2個あり、なんとベランダにはプールが備え付けられているという豪華仕様だった。プールがあっても外は雪が降っていて寒すぎて使えないけどね。


 俺も咲夜さんは未成年ということで夜はゆっくり休ませてもらえる、それに付き合う形で望姉さんも保護者として休ませてもらえるみたい。そもそも未成年の俺たちを働かせるのはどうなのだろうと思わなくもないけど、こんなご時世だし生まれた家がそういう家系なので仕方ないなと思っている。


 お酒は出ないけど、食事は部屋に人数分運んでもらって、今はみんなお風呂をすませて食事を食べている。


「望姉さん、咲夜さん、椿姫、茨木姉様お疲れ様です」


「怜もお疲れ、よくやりきったわね」


「ほんとヘトヘトですよ、結界を張るのは大したことはなかったのですけど、座りっぱなしで腰やら肩やら節々が痛いよ」


「なーに年寄りみたいなこと言ってるのよ、まあその気持は分かるけどね」


 望姉さんも座ったまま肩を回したり首を回したりしている。


「咲夜さんたちの方はどんな感じでした?」


「私たちの方はこのホテルの大部屋で待機していたわ、そうそう元会長の御雷みかづちさんや元副会長の静さんも来ていたわよ」


「そうでした、御雷さんと静さんとそのご家族って私の乗ったヘリコプターで連れてきたんですよ」


「あらそうだったのね、あちらは挨拶などで忙しそうにしていたから、余り話せなかったのよ」


「そうなのですね、私の方もご家族が一緒だったので挨拶しただけですよ」


 御雷さんは現当主の御雷茜みかづちあかねさんとその夫だと思われる人などもいたので軽く挨拶をすますだけだった。この件が済んだら話す機会もあるとは思うけどね。


「それで咲夜は今はどういう状態なのか聞いている?」


「今は北海道を抜けて、東北でなんとか留めているみたいだけどそれもどうなるかって所みたいです」


 望姉さんの質問に咲夜さんがそう答えている。


「その感じだと勝負は明日という所でしょうね、もしかしたら早く起きることも有るかもしれないから今日は早く寝ましょうか」


「それが良いかもしれないね、それじゃあ僕たちは隣の部屋の方で休むから」


 そう言って椿姫と茨木姉様が部屋を出ていき、朱天は「わしも休むとするかの」と依代に入ろうとした所で望姉さんに捕まって「朱天さんは今日はこっちよ」ともう一室に引きずられていった。


 気がつけば咲夜さんと二人きりになっていた。食事を終えた食器などは電話した所廊下に置いてあるワゴンカートに乗せておけばいいとのことなので、二人で後片付けをすませた。


「怜、私達ももう寝ましょうか」


 さっと歯磨きをして空いている寝室へ向かう。椿姫は分からないけど望姉さんはきっと俺と咲夜さんが一緒に過ごせるように気を使ってくれたんだろうね。


「咲夜さん、あの、その……」


「ほら怜、いらっしゃい一緒に寝ましょう、一人だと寒いでしょ」


「いいのですか?」


「うふふふ、良いも悪いも私が一緒に寝たいのよ」


 空いているベッドの枕を持って咲夜さんの寝ている布団に入り込む。


「おじゃまします」


 咲夜さんの顔が眼の前にある。


「こうやって一緒に寝るのも久しぶりな気がするわね」


「そうですね」


 自然とつながる手と手。もう何度も一緒に寝ているのにドキドキが止まらない。


「咲夜さんおやすみなさい」


「怜おやすみ」


 自然と重なる唇と唇。体の体温がぐっと上がる、なんだか嬉しいけど恥ずかしい。離れた唇の感触がいつまでも残っている。眼の前にはほほ笑みを浮かべている咲夜さんの顔、俺の顔をきっと赤面のため赤くなっているのかも知れない。もう一度おやすみなさいと言ってから目を閉じると、疲れのためかすぐに眠りに落ちた。



 世界が割れるようなそんな感覚で目が覚めた、とっさに全力で結界を張っていた。今いる建物全体を包むような結界が張られる、結界を張ったのは俺だけじゃないようだ、二重にも三重にも張られた結界が元から張られていた結界が消滅する直前に完成したようで一瞬感じた焦燥感が消えていく。


「怜何があったの?」


「わかりません、わかりませんが何かが起きたようです、とりあえず着替えて備えたほうが良いかも知れません」


 素早く戦闘服(巫女服)に着替えた俺と咲夜さんが部屋を出ると、既に着替えを終えている望姉さんと朱天が待っていて、同じタイミングで椿姫と茨木の姉さんが部屋から出てきた。


「望姉さん何があったの?」


「怜も結界を張ったみたいね、とりあえず下に行くわよ」


 急いで部屋を出て階段を駆け下りていく、エレベーターは停止しているようだし本気で走れば階段を使うほうが早い。50階ほどの階段をひたすら駆け下りるのはかなり大変だったけどなんと1階のエントランスに到着したけど、まだそれほどの人数は揃ってないようだ。


「姫神姉妹、お主らがこの結界を?」


「はい私と怜と、後は誰かはわかりませんが、もうお一人の方が今結界を維持しています」


「助かった、そのまま結界の維持をお願いしたい。今は招集と何が起きたのかを調べている所での、暫く待っていてもらいたい」


 名前は聞いてないけど、狩衣かりぎぬを着ていることから陰陽師系の偉い人なんだろう。


「今の方は今回中心として動いておられる、蘆足道矢あしたりどうや様よ、とそれじゃあ私と怜はこのまま結界の維持を努めましょうか。咲夜ちゃん達はこのまま私達の護衛をお願いするわね」


「わかりました」


 さて、何が起きたのかは分からないけど今も結界を何者かが攻撃してきているのを感じている。もしかしたら予定より早く冬将軍が来たのだろうか?

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